井関 琢哉 院長の独自取材記事
いせき耳鼻咽喉科
(藤沢市/藤沢駅)
最終更新日:2026/01/06
藤沢駅から程近いの医療ビルの一角にある「いせき耳鼻咽喉科」。2005年の開業以来20年にわたり、院長の井関琢哉氏は耳・鼻・喉の症状を総合的に診る姿勢を大切にし、地域の健康を支える診療を続けてきた。開業前から現在に至るまで大学病院の外来にも携わり、そこで培った豊富な経験をもとに、難聴をはじめとする聞こえのトラブルにも力を注いでいる。「耳鼻咽喉科のすべての領域で、地域の方々の健康を守りたい」と語る井関院長に、認知症予防や子どもの発達における”聞こえ”の重要性、そして診療を通じた地域医療への思いを聞いた。
(取材日2025年10月14日)
藤沢で受け継いだ医療への思い
20年前にこの地で開業された経緯を教えてください。

私は藤沢生まれの藤沢育ちです。母も藤沢で小児科医として、また幼稚園の園医として子どもたちの健康を見守っていたので、幼い頃から、地域の中で、医師が果たす役割を身近に感じてきたと思います。そうした環境の中で、子どもから高齢者まで幅広い世代を診られる耳鼻咽喉科医として、地域に関わって行きたい、と考えるようになったんです。耳・鼻・喉は、日常生活や成長、コミュニケーションに深く関わる分野です。生まれ育った大好きな湘南の地で、これまで培ってきた経験を生かし、自分を育ててくれた地域に恩返しがしたい。そんな思いから、この場所で開業しました。
耳鼻咽喉科を選ばれた理由は?
耳鼻咽喉科は首から上のうち、目と脳と歯を除いた部位を幅広く診る診療科なんです。例えば、「聞こえが悪い」という症状の場合、その原因を詳しく探っていくと、実は聞こえが悪くなる前に、喉の痛みを伴う風邪をひき、その後、鼻水が出て副鼻腔炎になり、さらに中耳炎へとつながった結果、聴力に影響が出ていた、というケースがあります。特にお子さんでは、このような経過をたどることが少なくありません。耳・鼻・喉はすべてつながっているため、一つの症状だけに着目してしまうと、なかなか早期の改善につながらない場合があります。これらを総合的に考慮し、トータルで診療できることが耳鼻咽喉科の強みだと考えています。
診療で心がけていることはありますか?

患者さんの不安に対して、的確な診断をし、適切な治療を行うことはもちろんですが、症状が患者さんの生活にどのような影響を及ぼしているかにも目を向けています。例えば、難聴の中には徐々に症状が変化していくものもあるのですが、若い方では仕事やコミュニケーションに支障を来すことがあり、高齢の方では聞こえづらさによって、認知症の進行に影響することに加え、会話が減り、孤立やうつ病の発症、生活の質の低下につながることもあります。そうした中で、症状を完全に治すことが難しい場合であっても、必要に応じて補聴器なども活用しながら、患者さん一人ひとりの状況に応じた対応を行い、元気に社会とつながり続けられるようサポートすることが、私たちの大切な役割だと考えています。
聞こえの改善を図ることで生活の質向上へ
先生は聞こえの問題にお詳しいと伺いました。

東邦大学医療センター大森病院では20年以上、現在も当院での診療と並行して、月に1回、補聴器の外来を担当しています。これまで子どもから高齢者まで、幅広い世代の「聞こえ」と向き合ってきましたが、聞こえが生活の質に与える影響は本当に大きいと感じています。高齢の方では難聴が認知症のリスク因子となることがわかっていますが、実際に、補聴器が壊れたまま使わずにいたことで認知症が進行したり、耳垢を放置して難聴が悪化し、その影響が認知機能に及んだケースをいくつも見てきました。一方で、お子さんの場合は、聞こえの問題が脳の発達に影響を与えることが知られています。また、若い世代でも軽い難聴を放置すると、勉強や仕事、またコミュニケーションに支障が出ることもあります。だからこそ耳の状態を的確に診断し、必要な治療やケアを行うことが大切です。聞こえの改善の重要性を、より多くの方に知っていただきたいですね。
補聴器での診療のポイントは何ですか?
大切なのは、まず耳の状態を正確に診断し、本当に補聴器が必要かどうかを見極めることです。難聴の原因には、治療で改善が見込めるものや、耳垢が原因となっている場合もあります。補聴器ありきではなく、診断が出発点になります。その上で必要と判断された場合に、補聴器の診療が始まります。
補聴器が必要になった場合、使う上で大切なことは何でしょうか?

補聴器が必要な場合に大切なのは、毎日装着しながら、少しずつ脳を新しい聞こえに慣らしていくことです。最初から目標とする音量で使うと、音を強く感じ、うるさくて使い続けられなくなることがあります。そのため、例えば必要な音量が10だとしたら最初は7ぐらいから始め、徐々に8、9と上げていく過程を大切にしています。そのためには、寝る時や入浴時を除き、朝から晩まで装着し続けることが基本です。補聴器に脳を慣らすことは、若い世代の方でも簡単ではありません。だからこそ診察の中では、補聴器は「脳のトレーニング」でもあることを、できるだけわかりやすい言葉でお伝えするようにしています。いきなり目標の音量で使ってしまい、騒がしく感じて外してしまっては、結果的に聞こえの改善につながりません。無理なく続けられるよう、調整とフォローを重ねていくことも大切だと考えています。
聞こえづらさにはどのような原因が考えられますか。
聞こえづらさの原因はさまざまで、急に聞こえが悪くなる突発性難聴や、メニエール病、低音障害型感音難聴などの病気が隠れていることがあります。また、大きな音に長期間さらされることで起こる騒音性難聴も原因の一つです。中高年の方では加齢による聴力の低下が主な原因となる一方、若い頃のバンド活動やヘッドフォンで音楽を大音量で聞いていた影響が、後になって現れるケースもあります。さらに、遺伝的な要因や幼少期のウイルス感染が関係している場合もあります。その他にも、耳垢が詰まっていたり、中耳炎をきっかけに軽度の難聴が起こることもあります。聞こえに違和感を覚えたら、早めに受診することで重症化を防ぎ、適切な治療につながりますので、気になることがあれば気軽に相談してほしいですね。
地域のかかりつけ医として歩み続ける
こちらのクリニックの特徴について教えてください。

当院の特徴でもあり、当院が入っているこの医療ビルならではの特徴ですが、診察券が他のクリニックと共通になっており、1枚でビル内の複数のクリニックを受診することができます。また、日曜診療も行っています。日曜日は藤沢市内だけでなく、市外から来られる方もいらっしゃいます。耳が痛くて我慢できない、喉が腫れて明日まで待てないという急な症状の方が、休日でも予約なしで受診できる体制を整えることは、地域医療を支える上で重要なことだと思っています。施設面では、車いすや大型のベビーカーが、そのまま診察室まで入れるバリアフリー設計にしました。
設備面などで、こだわっている点はありますか?
20年前の開業当初から電子カルテを導入し、その2、3年後に予約システムも開始しました。昨年にはウェブ問診も導入し、予約から会計までの一連の流れがスムーズに行える体制を整えています。耳鼻咽喉科は混雑しやすいのですが、診察は丁寧にしつつ、それ以外の業務はできるだけ効率化し、患者さんをなるべくお待たせしないよう心がけています。また、画像ファイリングシステムを導入し、ファイバースコープで撮影した鼻や喉の画像を患者さんにお見せしながら、よりわかりやすく、より納得いただける診療を行っています。さらに、標準的な聴力検査機だけでなく、耳管という耳と鼻を結ぶ管の動きを確認する耳管機能検査機も導入しています。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

首から上の症状で少しでもご不安がありましたら、どうぞお気軽にご相談ください。「聞こえ」に関するお悩みはもちろん、「魚の骨が刺さった」「耳の掃除をしてほしい」といったご相談でも構いません。何の病気かわからない段階でも、不安をきちんと整理し、適切な診断を行うことが私たちの役割です。当院でしっかり診察した上で、必要に応じて適切な診療科や病院へのご紹介も行っています。お子さんの中耳炎、アレルギーやめまい、補聴器のご相談など気になる症状があればお気軽に受診してください。この地域で20年にわたり診療を続けてまいりました。これからも皆さまの健康を守るために、一人ひとりの患者さんと誠実に向き合っていきたいと思っております。

