松下 幸誠 院長の独自取材記事
高見馬場歯科
(鹿児島市/高見馬場駅)
最終更新日:2025/03/07

鹿児島の繁華街・天文館に近く、交通にも非常に便利な高見馬場に立地する「高見馬場歯科」。院長の松下幸誠(まつした・こうせい)先生は、生まれ育った鹿児島で「先端の治療を提供したい」と2003年に同院を開業。松下院長が特に得意とするのが根管治療で、マイクロスコープを使用した精密根管治療に注力している。歯列矯正では、舌側矯正、マウスピース型装置を用いた矯正、小児の床矯正などを数多く実施。また、予防歯科においては、患者の自律性を尊重するデンタルフィットネスというシステムを導入。管理栄養士による栄養指導も行うなど、歯だけに留まらず、「口」から患者の健康を守ることをめざしているという。熱い思いを内に秘めつつも、とても穏やかな口調が印象的な松下院長に診療への思いなどを聞いた。
(取材日2025年1月22日)
生まれ育った地で、住民の健康を支える先端の治療を
先生はもともと鹿児島のご出身ですか?

はい。私は鹿児島市内で生まれ育ち、鹿児島大学歯学部を卒業後、東京の一般開業医のもとで勤務し、こちらに戻ってきました。鹿児島市立病院などでも経験を積み、開業したのは2003年です。できるだけ先端の診療をしたいということで、繁華街に近いこの場所を選びました。交通の便も良いので、近隣の方だけでなく、地方や離島といった遠方からの患者さんもいらっしゃいます。離島の方は、他の科に治療で来た際に「歯医者にも行っておこう」という方も多いように思いますね。
とても清潔感を感じる院内ですが、院内設備で先生のこだわりはありますか。
やはり、滅菌・消毒には力を入れています。ヨーロッパ基準というものがあるんですけれど、それに準拠した滅菌システムの機器を導入し、徹底して行っているところはアピールできる点かもしれませんね。そのほかの治療機器に関しては、歯科用CT、口腔内スキャナー、マイクロスコープなど、必要なものはそろっていると思います。あとは、患者さんの管理などはすべてペーパーレス化して、スタッフもタブレットを片手にさまざまな仕事をしていますし、診療を効率化するためにもITは欠かせず、機器の導入にはかなり力を入れています。
労働衛生コンサルタントの資格をお持ちだと聞きました。それはどのようなものですか。

労働衛生コンサルタントは、職場の労働衛生を最適化するための国家資格です。職場の健康診断というとどうしても体のことだけで、口は含まれないですよね。でも、病気は口から始まると思っていますし、皆さんもそう実感するところはあるのではないかと思います。ですから、その観点を持ちながら、事業所健診に対応したり、労働者の健康を推進する機関の相談員をしたりしています。あとは、歯科医師会から依頼されて、そういうお話をする機会もあります。当院での日々の診療に直接役立てるというより、社会貢献という意識から行っていますね。
特に得意とするのは根管治療、口腔機能の向上にも注力
先端の米国式精密根管治療をされているそうですが、それはどういった治療ですか。

精密根管治療は、まずマイクロスコープを使って、患部を拡大して確認することで、取り残しなく病巣を除去することをめざします。歯の根の病気の主な原因は細菌です。そこに十分配慮し、器具などの徹底した滅菌はもちろんのこと、唾液からの細菌感染を防ぐため、処置を行う歯以外はラバーダムと呼ばれるゴムのシートでカバーして治療します。そういう細菌の感染対策を徹底し、じっくりと時間をかけて治療を行うところは大きな特徴だと思います。国内で実施している歯科医院はまだ多くなく、鹿児島でも世界標準の治療をご提供したいと学んできました。根管治療の重要性と、どういうことに気をつけながら治療したら良いのかを患者さんと事前にお話をし、説明と確認をしながら治療に移ります。
矯正に関しても、数多くの治療をされてきたそうですね。
昔は大人の矯正に関わることが多かったのですが、もっと早い段階で口腔機能に注目していれば、そこまで大がかりな治療にならなかったと考えられることが多く、最近はできるだけ早めの矯正や噛み合わせの育成に力を入れています。口腔機能発達不全に該当する人は結構多く、今では国を挙げての取り組みにもなっていますね。小児の場合は顎の発達なども考え、既成の機能的矯正装置と口腔機能訓練を組み合わせて行う場合が多いですね。また大人の矯正では、目立たない裏側からの舌側矯正やマウスピース型装置を用いた矯正をよく行っています。マウスピース型装置は、ご自身で外したり着けたりできるということで利便性は高い一方で、決められた時間装着し続けるための努力が必要になります。見た目以外にも、生活スタイルやご自身の性格なども踏まえて選択されると良いかなと思います。
お子さんの口腔機能訓練に注力されているとのことですが、口腔機能は高齢になってからも重要ですよね。

そのとおりです。加齢による心身の機能が衰える状態を「フレイル」といいますが、高齢になって口腔機能が低下すると全身的なフレイルにもつながり、心身の虚弱の前に口の虚弱が始まるともいわれています。口腔機能低下により誤嚥も多くなりますし、会話がうまくいかなくなることもあります。会話が少なくなって社会との隔絶が出るということも、フレイルを加速させます。あとは、やはり「食べる」ことですよね。口腔機能の低下は食事に大きく影響します。硬いものを食べられないと糖質が過多になって、栄養が偏ります。タンパク質が取れていないと筋肉も痩せますし、最終的にはやはり全身的なフレイルにつながっていくわけです。
「口」という器官を通して、幅広く健康をサポートする
予防歯科では、「デンタルフィットネス」を提唱しているそうですが、それはどのようなものですか。

治療の延長にあるメンテナンスではなく、一番のキーワードは患者さんの「自律と習慣化」です。いわゆる歯科医院による管理ではなく、患者さんの自律性に重きを置いた予防歯科です。管理型の予防歯科だと、ほとんどの方が長続きしないんですよね。それは「させられてる」「指導されている」と感じるからだと思います。デンタルフィットネスのコンセプトとして、スポーツジムに通うように、自分の意識で自分を変える・維持するために頑張る、というところに着目しています。そういう意味では健康な方に来院していただく歯科医院をめざしています。そこに賛同してくださった患者さんが、現在は3ヵ月に1度をめどに定期的に来院されています。昔は、保険診療ではその辺りの予防の概念が取り組みにくかったのですが、最近は「歯科においては予防が一番」という認識になってきており、多くの部分を保険診療で対応しやすくなっています。
管理栄養士による栄養指導も行っているとお聞きしました。歯科医院ではたいへん珍しいことですよね。
そうですね。患者さん全員にというわけではないですが、希望される方には、管理栄養士による栄養指導を行っています。歯科は「食べる」ことに直結する科ですからね。口腔機能が低下することで麺類など食べやすいものばかり選んで、栄養が偏ってしまうこともあります。歯の治療をして形が整ったとしても、偏った食生活を続けていたら、せっかく歯は健康になっても、体を壊してしまうこともあるわけです。「どういう食べ物をどういう食べ方をするか」を聞ける機会って意外とないですよね。糖尿病になって、内科で栄養指導を受けることはありますが、それでは遅いんですね。歯科には、比較的健康的な方が来院されますが、その中にも病気一歩手前の方はたくさんいらっしゃいます。ですから、未病対策として栄養管理は非常に重要です。年齢層も幅広く、お子さんの離乳食やおやつについての相談や、義歯の方の食事相談などでご利用いただいています。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

患者さんのお悩みや望んでいることを聞き、いかにお応えするかということを常に考えながら診療しています。お話をできるだけよく聞いて、どうやってそこを引き出すかに注力して、そこに専門家としてのコメントをできるだけフェアにご提示しています。わからないことがあれば何度でも聞いていただいて、患者さんが納得して治療を受けていただけるよう、心がけています。歯科医師は、「口」という生きる上で大事な器官をお預かりしている仕事です。「食べる」ということがどんなに幸せなことなのか。それを一緒に共有できるような診療を行い、地域の健康ステーションとなれるよう取り組んでまいります。
自由診療費用の目安
自由診療とは舌側矯正/160万円~(検査・診断料:6000円(税込)、調整料:7500円(税込))、マウスピース型装置を用いた矯正/105万円~(検査・診断料:6000円(税込)、調整料:7500円(税込))、小児矯正/1期治療:42万円~(調整料:4800円(税込))、精密根管治療/1歯7万1500~19万2500円(税込)