齊藤 宏和 院長の独自取材記事
嘉島さいとう内科クリニック
(上益城郡嘉島町/健軍町駅)
最終更新日:2024/10/25
上益城郡嘉島町の大型ショッピングモールに隣接、国道266号線嘉島町上仲間交差点の近くに位置する「嘉島さいとう内科クリニック」は、よしむら内科・循環器科内科を引き継ぐかたちで2024年6月新規開業した。院長の齊藤宏和先生は、日本内科学会総合内科専門医、日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医、日本消化器病学会消化器病専門医、日本肝臓学会肝臓専門医でもある。特に得意としているのは消化器内科と内視鏡検査で、大学病院や基幹病院で豊富な経験を積んできた。大規模病院で生死に関わる難病の患者を治すことにやりがいを感じていた勤務医時代を経て、開業後は地域に根差すドクターとして、丁寧にコミュニケーションしながら患者の一生を支えることにやりがいを感じている。そんな齊藤院長に同院の診療内容について話を聞いた。
(取材日2024年8月10日)
内科、消化器、内視鏡検査、肝臓に精通したドクター
開業まで、どんなご経験を積まれていたのですか?
2008年に熊本大学医学部を卒業後、熊本赤十字病院に勤めました。救急をメインにいろいろな診療科を回り最初は大変でしたが、重症症例を含め、さまざまな症例に対応できたことで、徐々に自信がつきました。その時の経験は開業してからもとても役に立っています。その後は主に消化器の専門家として、熊本大学病院、済生会熊本病院、熊本中央病院、熊本市民病院に勤め、熊本市民病院では、消化器内科医長兼、内視鏡センター副センター長を務めました。仕事は激務でしたが、私自身、あまり大変だと感じたことはなかったですね。診療が楽しかったし、日に日に自分の知識が増えていき、できることが増えていくことにやりがいを感じていました。
先生は、専門医資格を4つもお持ちなんですね。
私が最も専門とするのは消化器内科で、内視鏡検査に力を入れているのですが、その専門的な診療も、それ以外の日々の日常診療も基本的なベースとなるのはやはり総合的な内科です。そこで、診療の基本の地固めをするためにも、総合内科専門医、消化器内視鏡専門医、消化器病専門医、肝臓専門医という4つの専門医資格を取得しました。
論文もたくさんお書きになっています。
英文の論文で30本ぐらいでしょうか。どんなに優秀な医師でも、日常診療で疑問に思うことってたくさんあると思うんですよ。その疑問の答えは教科書には載っていない。医学の世界は、まだ解明されていないことが多い領域です。でも私は、何か疑問を感じたら自分の中でちゃんと解決したいんです。疑問を解決することが、安全で良質な診療につながると考えています。そのため、常に問題意識を持って診療しており、新しい知見や研究成果を得たら、論文や研究報告として、コンスタントに国内外で発表しています。胆膵内視鏡と胆管結石について書いた私の論文が、日本消化器病学会の「胆石症診療ガイドライン2021」のエビデンスの1つとして引用されたこともあります。日本の医師が治療指針とするガイドラインですから、その時はうれしかったですね。
情熱と優しさの「ハートあるクリニック」がスローガン
開業されたきっかけを教えていただけますか?
ずっと大学病院や基幹病院で、重症例に対する先端の治療に携わってきましたので、もっと患者さんと近い距離で診療に取り組みたいという思いを抱いていました。そんな時、熊本大学の先輩である吉村力也先生が自分のクリニックの勇退を考えておられて、そのタイミングで事業を引き継ぎました。内視鏡は高性能のものを新しく導入しました。拡大倍率は100倍という顕微鏡レベルで、詳細に検査可能です。適切な診断につながります。
診療理念を教えていただけますか?
やはり内科全般の診療が基本だと思っています。そのため、糖尿病、高血圧症、脂質異常症、心臓病、そういった一般内科の患者さんをきちんと正確に診断し、的確な治療をすることが重要です。全臓器を診た上で、私の専門である内視鏡、肝臓、膵臓、胆嚢などを診ていきたいと考えています。スローガンは「ハートあるクリニック」です。1つは「情熱」のハート。情熱がないとやっぱり駄目ですよね。常により良い診療がしたいという向上心を持って仕事に努めます。もう1つは「優しさ」のハートです。医療には優しさが必要不可欠です。院長の私はもちろんのこと、スタッフにもハートを常に意識してほしいと考えています。もっともスタッフは皆優しい方ばかりですし、熱い情熱もお持ちで、私が何も言わなくてもスキルアップしてくれています。
こちらの強みはやはり内視鏡検査でしょうか?
そうですね。私は胃、大腸ともに内視鏡検査を数多く経験していますので、良質の診療を提供できると自負しています。どんな小さな病変も逃さない正確な診断と、痛くない・苦しくない検査手技に努めています。具体的には痛みを感じないような麻酔の工夫と、レベルの高い手技です。いくら麻酔を上手に使っても手技が心もとなかったら駄目ですし、逆に手技に長けていても麻酔のかけ方が良くなかったら質の高い検査にはなりにくいでしょう。体内の状態や体格、年齢など、こういった患者さんにはこれぐらいというように、患者さん個々によって麻酔も手技も違ってくるため、さじ加減が重要なんです。内視鏡検査というと痛いのが当たり前という風潮がまだまだあると思うのですが、せっかく当院を選んで来てくださったのですから、患者さんには痛みの少ない満足できる内視鏡検査を体験していただきたいです。
どんな主訴の患者も、頭から足先まですべて診察
患者さんのために心がけていることはありますか?
患者さんとのコミュニケーションをしっかり取り信頼関係を築くことです。患者さんのお話をきちんと傾聴し、患者説明も丁寧に行います。時には患者さんの身の上話を聞くこともあります。あと、主訴に関係なく、どんな患者さんでも頭から足先まで、全部診察するようにしています。そうすることで今まで見えていなかった細かい異常が発見できたりするものです。患者さんにとっても、きちんと診てもらっているという安心感や満足感につながるのではないでしょうか。医師として、どんな些細な不調でもなんとかしてあげたいという気持ちがあります。それが私の専門なら手を尽くしますし、専門外なら自分が信頼している先生を紹介します。大きな病院へはもちろん、症状に応じてクリニック同士のネットワークを生かして最善を尽くしますので、安心してお任せください。
ところで、先生が医師をめざしたきっかけは何だったのでしょう。
特にかっこいい理由はないんですよ(笑)。強いて言えば、人の役に立つ仕事がしたいという気持ちでしょうか。高校の時、向上心のあるクラスメートの影響があって一緒に勉強を頑張っていたら、自然と医学部への道を選んでいました。でも不思議なもので、医学の勉強をして実際医師になってみると、天職だと感じます。勤務医時代は、自分の診断力や治療技術を駆使し、重篤な疾患の患者さんたちの治療に精いっぱい取り組みました。なので、患者さんたちに「ありがとう」と声をかけられると本当にうれしかったですね。開業して地域のかかりつけ医となった今、扱う病気の重症度は大きな病院に勤務していた時とは異なりますが、患者さんたちが、皆さん、ほんのちょっとしたことでも「ありがとう」とすごく喜んでくれるんです。その一言をもらう瞬間は、自分がやったことの大きい、小さいではなく、同じぐらいうれしいしやりがいを感じます。
今後の展望を教えていただけますか?
クリニックの目標としては、当院の強みである「きつくない内視鏡検査」を継続して行い、胃がんや大腸がんの早期発見につなげたいという思いがありますね。さらに、心筋梗塞や脳梗塞を起こさないように、循環器疾患や糖尿病、高血圧症、脂質異常症といった生活習慣病にも注力していきます。循環器疾患、糖尿病といった慢性疾患と並行して、質の高い内視鏡診療も行う二刀流です。両方を同時に診療するメリットはとても大きいと信じています。あとは地域の皆さん、一人ひとりの患者さんを大切にして地道に誠実に診療していきたいですね。