林徹院長の独自取材記事

はやし歯科医院高茶屋診療所

(津市／高茶屋駅)

最終更新日：2021/10/12

津市高茶小森町の近鉄道路沿い、大きなショッピングモールの横にあるのが林徹院長が開業した「はやし歯科医院高茶屋診療所」だ。ビルの2階部分までを改装した同院は、ホテルのような美しい外観が目を引く。院内に入ると、シャンデリアや革張りのソファーがあり、とても上品な雰囲気。林院長は、インプラント治療の経験と知識が豊富な歯科医師で、矯正にも注力している。同院には一般歯科を専門とする歯科医師も常勤しており、口腔内の幅広い症状に対応し、「歯科の総合診療科」をめざす。質問一つ一つに丁寧に受け答えする林院長に、治療のコンセプトや今後の展望など幅広く聞いた。

（取材日2021年6月18日）

完全個室、プライバシーや感染対策にも配慮した院内
どんな口の症状でも相談可能な「歯の総合診療科」
地域との関わりを大切にし、専門性の高い医療を提供

完全個室、プライバシーや感染対策にも配慮した院内

医師をめざされたきっかけを教えてください。

子どもの頃に私自身が歯並びに悩み、矯正したのがきっかけです。歯科医院で矯正をしてもらったのですが、自分が思い描いていた理想の歯並びにはならなかったんです。それなら、自分で矯正の勉強をして、歯並びを治そうと思いました。ただ、当時はまだ小さかったので、矯正に興味を持ったとはいえ、スポーツ選手になりたいという夢もありましたけれど（笑）。その後、細身だったこともあってスポーツ選手は難しいと考え、やはり歯科医師をめざそうと決めました。歯科医師の仕事に興味を持ったきっかけが矯正だったので、今でも力を入れています。

インプラント治療がご専門とのことですが、選ばれた理由は何でしょうか？

実は、きっかけは私の父なんです。父には奥歯がなかったので、歯を入れてあげたいという気持ちが始まりでした。今はその希望はかないましたよ。私たちが学生の時代は、大学でインプラント治療の講義や実習というのはなかったので、卒業後にたくさん勉強しました。セミナーや講義を受け、模型を使ったトレーニングを積みましたね。一時期、インプラント治療に批判的な意見もあり、受け入れてもらうまで時間がかかりました。しかし、今は学問として考えられており、私も母校の朝日大学にインプラント治療の講義や実習をしに行っています。学生さんたちがインプラント治療への興味を損なわないようにしながら、日々進歩していく技術を勉強する大切さや危険性についてもきちんと教えています。

すてきな雰囲気のクリニックですが、どんなところにこだわって建てられたのですか？

このビルの2階部分までを当院に改装したのですが、こだわったのは診察室が全室個室というところです。全個室に大きな窓があり、プライバシーの保護だけでなく感染予防にも配慮しています。今回、新型コロナウイルスのことがあって、皆さん感染対策に敏感になったかと思いますが、私たちは開業する時から感染対策に着目していました。そのかいがあって、コロナ禍でも患者さんが減ることはなく、むしろ増えたくらいなんですよ。個室の壁紙が一つずつ異なるのは、患者さんに「赤い部屋に入ってください」と言えば、間違えることがないからです。また、キッズスペースはガラス張りにして、受付からも見られるようにしました。事前におっしゃっていただければ、お子さんを託児室で預かることもできます。

どんな口の症状でも相談可能な「歯の総合診療科」

治療のコンセプトをお聞かせください。

なるべく患者さんの体への負担を少なくすることです。可能な限り歯を抜かない治療を心がけ、残せるところは残すようにしています。矯正において、歯を抜いて歯並びを整えるのは比較的簡単ですが、歯をすべて残すことがとても大切だと考えています。矯正は、歯科医師と患者さんがお互いの考えを擦り合わせることによって、完了に向かっていく治療だと思います。歯科医師は患者さんの理想の歯並びをお聞きして、そこに近づける努力をするべきですが、やはり実現不可能な場合もあります。そんなときは、歯を抜くリスクやどういう形なら実現できるかを歯科医師としてお話しして、患者さんが納得し、お互いが良いと思える完成形に持っていくように努めています。

どんな歯科医院をめざしていらっしゃるのでしょうか。

「歯科における総合診療科」をめざしています。大学病院などでは、患者さんが来られたらまず総合診療科を受診してもらい、どのような治療が必要かを見極めて専門性の高いところへ案内します。当院でもそういった歯科のコンシェルジュのような役割を果たしたいと考えています。当院には一般歯科の歯科医師も1人常勤しており、偏りの少ない治療の提供が可能です。入院施設はありませんので、腫瘍に関する外科手術など入院が必要な方は紹介することになります。連携先としては三重大学医学部附属病院があり、当院で予約することもできます。

患者と接する際に大切にしていることを教えてください。

まずは患者さんの主訴と、どうなりたいかという理想をしっかりお聞きすることを大切にしています。しかし、どうしても患者さんが思い描く理想と現実の差がある場合もありますので、きちんと説明して、方向性をしっかり患者さんと擦り合わせていきます。どんな形なら実現可能か、それで患者さんに満足していただけるのかを確認し、理解してもらえるように努めています。それでも専門性の高い話や患者さんにとって難しい話もあると思いますので、患者さん側からもわからないことをご質問していただけると助かります。当院ではカウンセリングも重要視していて、矯正やインプラント治療をご希望の患者さんの場合は、私が直接お話を伺っています。メンテナンスやケアについては、歯科衛生士が専門知識を持っていますので、彼女たちがお話をさせてもらいます。

地域との関わりを大切にし、専門性の高い医療を提供

インプラント治療をお考えの方に伝えたいことはありますか。

インプラント治療は高額で外科手術も必要なので、受けるかどうか迷われる方も多いと思います。しかし、インプラントは食事がしやすく審美性も高いです。歯が抜けてしまっても、そのまま生活していらっしゃる方もいますが、歯がないと力が入らないだけでなく体に悪影響を及ぼす場合もあります。当院はインプラント治療のための設備を充実させていますので、外科手術も安心して受けていただけると思います。また、入れ歯のがたつきに悩んでいる方もいらっしゃるかと思いますが、入れ歯を固定するインプラントもあります。インプラントを入れるには、基礎疾患の有無などさまざまな条件がありますので、ご希望の方は一度ご相談に来ていただければと思います。

ホームページのコラムを拝見しましたが、すごい情報量ですね。

ありがとうございます。ホームページのコラムは、少しでも患者さんへの情報提供になれば良いなと思って、頻繁に更新しています。当院に通ってくれている患者さんも見てくれているようですよ。他にも、全国のさまざまな情報を掲載しているインターネットサイトの歯科情報のページも、歯科衛生士に協力してもらいながら私が監修しています。もともと、私は三重の出身ではないのですが、こういったことを通して多くの方とつながりを築けました。今では、津市内や松阪方面の高齢者施設へ週に1度訪問診療に行くなど、地域との関わりを持てています。

今後の展望をお聞かせください。

今後はインプラント治療だけでなく、矯正のほうにもさらに力を入れていきたいと思っています。成人矯正をテーマにした比較的新しい集まりがありますので、私もそこに参加させていただいて勉強しています。子どもの頃に矯正していなくて、大人になってから歯並びに悩んでいるという方はかなり多く、そこから興味を持ちました。実は、この1年矯正希望の方が増えたんです。最初は理由がわからなかったんですが、患者さんから話を聞くうちに、感染予防でマスクをすると矯正をしていても見えないために需要が増えたことがわかりました。見た目が気になるワイヤーでも、マウスピース型装置での矯正より早く矯正が終わることから希望する方が増えていたんです。今後も、一人でも多くの歯並びに悩んでいる方に手を差し伸べられたらと思います。