池田 拓夢 院長の独自取材記事
ゆうあい歯科医院
(川口市/蕨駅)
最終更新日:2025/12/10
蕨駅から徒歩12分、住宅街の一角で30年以上地域医療を支えてきた「ゆうあい歯科医院」。2025年、池田拓夢先生は父が開業したクリニックに戻り、院長に就任した。「感謝をされる仕事だよ」という父の言葉に感銘を受けて歯科医師の道を選んだ池田院長。東北大学で高齢者歯科を研鑽し、小児歯科専門クリニックで診療を経験する中で、幅広い世代に対応できる診療技術を身につけてきた。「患者さんのご要望をちゃんと聞いて、なるべくそれに寄り添うということが一番大事ですね」と穏やかに語る姿からは、「押しつけない診療」への信念が感じられる。取材からは、歯科衛生士でもある母と妻への信頼や、親子3代で通う患者への感謝など池田院長の温かな思いがひしひしと伝わってきた。
(取材日2025年10月27日)
父から受け継いだ、地域に密着した医療への思い
30年以上の歴史を持つクリニックを継承された経緯は?

結婚して子どもが生まれたことが一つの転機でした。子育てをする環境として、親類が近くにいる自分の育った街がいいなと考えるようになったんです。父は一度も自分が開業した当院に帰ってこいとは言いませんでしたが、相談したところ、どこか「ついに来たか」というような雰囲気で迎えてくれました。このクリニックは父が30年以上前に開業し、別の先生が受け継いでくださり、ずっと地域の方々に支えられてきた場所です。開業当時から通ってくださる患者さんもいらっしゃいますし、その信頼関係を大切に守りながら、新しい技術も取り入れて発展させていきたいという思いで戻ってきました。父は今、別のクリニックで診療をしていますが、当院が築いてきた温かい雰囲気と患者さんとの関係性はそのまま引き継いでいきたいと考えています。
歯科医師を志したのはお父さまの影響もあったのでしょうか。
進路を決める時期に、高校の授業の一環でなりたい職業についてインタビューする課題があったのですが、父に話を聞いてみたところ、「感謝をされる仕事だよ」と言われたんです。その言葉がすごく印象的で、いいなと思いました。それに、小さい頃から父の働く姿を見ていて、家での穏やかな様子と、診療中は熱意に満ちあふれていて矯正なども自分から学んでいる姿にいい意味でギャップを感じていたんですよ。新しいことにも積極的に取り組む父の姿勢と患者さんから感謝される仕事の価値。この2つが重なって、心のどこかでずっと歯科医師という選択肢があったのかもしれません。今、実際に歯科医師として働いてみて、父の言葉の意味がよくわかります。
親子3代で通う患者さんもいらっしゃるとか。

はい。今日来院されていた方もそうですが、30年以上前の開業当初からお付き合いが続いていて、息子さんとお孫さんまで通ってくださっています。患者さんには地元の方が多く、4割以上が60歳以上になりますね。母が受付をしていることもあって、すごく良い関係が築けていると思います。また、痛みを訴えるおじいちゃん、おばあちゃんが急にいらっしゃった場合でも、予約の患者さんが「ちょっと待ってるから先に診てあげて」と言ってくださるんです。それは私の力ではなく、母と患者さんとの長年の信頼関係があるからこそ。こうした温かい関係性こそが当院の一番の財産だと思っています。
各世代に寄り添う専門的な診療
先生はもともと高齢者歯科が専門だとか。その経験はどう生きていますか?

在籍していた大学での高齢者歯科の経験は、今の診療に直結しています。というのも、高齢の患者さんは全身の機能が下がってきているので、若い方とは違う配慮が必要です。例えば、認知症で手が動かない方は歯磨きがうまくできず、歯にかなり汚れがついている状態で来院されたり、口に水をためておくことができなかったりします。血液をサラサラにするための薬を飲んでいて外科処置ができない方もいらっしゃいます。ですから、一人ひとりの状態を理解して対応することが大切なんです。入れ歯についても学びましたし、症例に応じて院内で作ることもできます。高齢者歯科で学んだ知識と研修時代の経験が高齢の方の診療に役立っているんですよ。
小児歯科の診療で心がけていることは何ですか?
前職は小児専用フロアがあるようなクリニックで、一日中お子さんだけを診る日もありました。そこで学んだのは、お子さんの性格を見極めることの大切さです。でも一番考え方が変わったのは、自分に子どもができてから。2歳と5歳の子がいるのですが、妻から「やめてって言うんじゃなくて、肯定的に伝えて」と教わったんです。診療中も「口を閉じないで」ではなくて「上手に口を開けてるね、偉いね」と言うと、「うまいでしょ」ともっと大きく口を開けてくれる。危ないことをただ「やめて」と言ってやめさせるのではなく、「上手に置けたね」といった言葉で褒める。これは妻から学んだ育児の知恵ですが、診療でも同じように実践しています。お子さんが通院を嫌がるようになってしまうと、親子さんも無理をさせたくないと思って、歯科医院から足が遠のいてしまうこともありますからね。ポジティブな印象を残せるようにしています。
患者さんの意思を最優先にされているそうですね。

そうですね。一番大切にしているのは、患者さんの望む診療をきちんと聞いて、なるべくそれに沿うということです。抜かなければいけない歯でも「どうしても嫌だ」という方もおられます。そういう時は無理強いせず、話をするだけで帰ってもらってもいいんです。納得してもらってから診療することが大切ですから。予約も基本30分ですが、通院回数を少なくしたい方には1時間、2時間取ることもありますし、場合によっては、お話しするだけという予約の取り方も可能です。柔軟な姿勢と対応で、患者さんが「治療してください」と言ってくださるまで待ちます。それが、どんな小さなことでも、お口に関することなら何でも相談しに来てもらえる関係をつくることにつながると思っています。
地域との温かな関係をこれからも守りたい
先生のお母さまと奥さまも診療を支えていらっしゃるそうですね。

先ほどもお話ししたとおり母は受付を務めているのですが、歯科衛生士としても長年働いていて、患者さんとの信頼関係がすごく強いんです。私の妻も歯科衛生士で、今は育児を頑張りながら、午前中の診療を手伝ってくれています。妻からは「審美歯科にもっと力を入れたらどうかな?」とホワイトニングの強化やエアフローという着色を落とす機械の導入など、若い歯科衛生士目線でのアドバイスをもらっています。家族で営んでいるからこそ生まれる温かい雰囲気と、お互いの意見を素直に聞ける関係性。この環境があるから、患者さんも安心して通ってくださるのかなと思います。家族みんなで地域の方々の健康を支えているという実感があります。
今後このクリニックをどのように発展させていきたいですか?
今、当院はすごくいい状態だと思っています。ですから、すでにある患者さんとの信頼関係を維持しながら、これから来てくれる方々とも同じような関係を築いていく、というのが一つの目標です。一方で設備面は、新しいものを順次導入していく必要があると感じています。妻が提案してくれた審美歯科の強化も進めていきたいですね。私個人としては、技術の研鑽をずっと続けていきたいと思っています。大学病院から紹介を受けた患者さんの根管治療を行う機会などがこれまでにありましたが、そんな時に患者さんにも、紹介元の先生にも喜んでいただけるような治療ができれば何よりだな、という思いがあります。地域密着を大切にしながら、技術面でも信頼される歯科医院として、父が築いてきたものを守りつつ発展させていきたいです。
最後に、地域の皆さんへメッセージをお願いします。

どんな小さなことでもいいので、「口に関してちょっと気になることがあるから話しに行ってみよう」くらいの気持ちでいつでもお越しいただきたいと思っています。歯が痛い、すぐに診てほしいという場合はもちろんですが、そうでなくても構いません。心配事の解消につなげて、安心して帰っていただけるなら十分です。当院はこれまで30年以上、父の代から地域の皆さんに支えられてきました。本当にありがたいことだと思っています。これからも変わらず、一番身近で、気軽に相談できる歯科医院でありたい。そのために地域に深く根を下ろして、皆さんの口の健康を文字どおり家族一丸となって支えていきます。
自由診療費用の目安
自由診療とはホワイトニング 上下およそ3万円~

