佐藤 彰恭 院長の独自取材記事
医療法人社団 笠幡歯科医院
(川越市/笠幡駅)
最終更新日:2025/11/10
JR川越線・笠幡駅から徒歩約3分、駅の東側にある踏切を渡るとすぐ右手に、暖色系の屋根や外壁が温かみを感じさせる「医療法人社団 笠幡歯科医院」の建物が見える。1998年開業の同院は、レトロモダンな外観で、院内は明るい雰囲気を持つ。待合室には日の光が入り込み、木製の椅子が置かれている。キッズスペースやカウンセリングルームも完備し、先進の機器を積極的に導入。虫歯や歯周病の治療から矯正まで多岐にわたる診療を提供する同院は、幼児から高齢者まで幅広い層が訪れている。診療において佐藤彰恭(あきやす)院長が最も大切にするのが、患者とのコミュニケーションだ。患者の要望を優先し、常に優しく接することがポリシーという佐藤院長。インタビューからも親しみやすい人柄が感じられ、地域住民に頼られる理由がよくわかった。
(取材日2025年9月24日)
患者の要望を最優先し、押しつけはしない
歯科医師をめざしたきっかけを教えてください。

高校時代はオートバイが好きでレーサーになりたかったんですが、親が「大学には行ったほうがいいだろう」と、歯科大学に通っている家庭教師をつけたんです。家庭教師の先生に「将来、何になりたいの?」と聞かれ、「バイクのレーサー」と答えました。すると「勉強しないで、そっちに行けばいいじゃない。でも芽が出るのは難しいと思うよ」と言われて。「じゃあ整備関係、メカニックもいいな」と言うと、手先は器用かと聞かれ、昔からプラモデル作りなども好きだったので「悪くはないと思います」と答えたんです。すると「歯科医師にならない?」と誘われたんです。もともと会社勤めより技術で生きていくのがいいかなと思っていたので、それを機に歯科医師の道を考え始め、歯学部受験をめざしました。その結果、家庭教師の先生と同じ歯科大学に合格したんです。歯科大学に行かせてくれた親と、きっかけをくれた家庭教師の先生に感謝しています。
治療の際、大切にしている信念はありますか?
とにかく患者さんに寄り添い、話を聞くことです。患者さんが何を望んでいるのかを伺い、患者さんファーストを貫き、過剰な治療や押しつけは一切しません。患者さんには「歯を抜かれた」とか「○○された」という気持ちにさせたくないと思っています。例えば、虫歯や歯周病が見つかった場合、きちんと状態や治療の説明はしますが、患者さんに「どうしますか?」とまず問いかけるスタンスでいます。極端な話、ご本人が「痛くないから治療しなくていい」と言ったら、治療はしません。もちろん、すべて治療して、メンテナンスに通っていただくのが理想ですが、無理強いはできません。その代わり「何ヵ月後に来てくださいね」「痛くなったらすぐに電話してください」というように、経過観察やフォローはしっかり行います。
フォローという意味でも、定期的なメンテナンスは大切ですよね。

当院では、患者さんの状態に応じて次の受診目安を伝え、診療の予約をして帰ってもらうようにしています。定期的に来院していただき、お口のチェックと歯石除去など専門家の手によるクリーニングを行います。入れ歯の方にも、入れ歯とお口の掃除に来ていただくことをお勧めしています。ただ、予防意識が高い方ばかりではなく、歯科医院は治療だけする場所という考えの方もいます。でも、患者さんの意思を尊重し、ご自分から来ていただくのを待ちます。数年ぶりに歯茎が腫れたからと申し訳なさそうに来る方もいますが、絶対に患者さんを叱ったりせず、「よく来てくれましたね」と迎え入れます。そうするうちに、「次は3ヵ月後に来ようかな」などと自主性が芽生えるのではないかと考えています。
治療のDX化で精度を高め、患者の負担軽減を図る
地域に密着した歯科医院とお聞きしました。

小さいお子さんから90代まで幅広い年代の患者さんが受診し、ほとんどが近隣の方です。長くお住まいの方が多いですが、新しく引っ越して来た若いご夫婦も多いですね。中には3世代でいらっしゃるご家族もおられます。診察室や待合室でおしゃべりするのを楽しみに来るおばあちゃんもいますよ。私は、こういう患者さんが気軽に来院してくれるのも、クリニックの理想なのではないかなと思っています。高度な技術面を全面に出しても患者さんにはわかりにくいと思いますし、技術があっての患者さんというよりは、患者さんあっての技術ですしね。
先進の機器を積極的に導入されているそうですね。
治療面でのDX化を図り、口腔内スキャナーとミリングマシンを使用しています。従来は、詰め物やかぶせ物といった補綴物を作製する場合、アルジネート印象材や寒天印象材、シリコン印象材などを使用して型採りをし、それに石膏を流し込んで歯の形や歯並びを再現したものを歯科技工所に送付していました。しかし現在は、ハンディータイプのスキャナーで口の中をスキャンしたデータを、ミリングマシンで院内加工しています。精度の高い補綴物がスピーディーに作製できるだけでなく、嘔吐反射を抑えたり、長時間大きな口を開けずに済んだりと、患者さんの負担軽減にも役立ちます。
治療のDX化で、患者側にはどのようなメリットがあるのでしょうか?

口腔内スキャナーとミリングマシンにより、CAD/CAM冠という保険適用の白い補綴物を作製できます。CAD/CAM冠はプラスチックとセラミックを組み合わせた素材で、近年、保険適用の範囲が拡大しました。銀歯に比べて白く自然な見た目がめざせるだけでなく、金属アレルギーになりにくいなどのメリットがあります。当院では、患者さんが銀歯を希望される場合などを除き、基本的にCAD/CAM冠を採用しています。また、患者さんにわかりやすく説明することを大切にしているので、ノートパソコンと口腔内スキャナーを接続して患者さんの口腔内のリアルな3D画像を見せながら説明し、治療計画を立てています。虫歯の治療から矯正、インプラントの説明まで幅広く活用しています。
地域密着型の歯科医院として口の中から健康を支えたい
歯や口の健康について、啓発したいことはありますか?

高齢化社会ということもあり、摂食・嚥下機能の重要性をお伝えしたいですね。健康の基本ともいえる食べる行為を支えるのは、食べ物をしっかり噛み、舌を使って動かし、飲み込むという一連の動作です。そのためには、まずは噛む力が大切です。ご自分の歯が一番ですが、歯を失ってしまっても、患者さんに合わせた入れ歯で噛める状態をめざします。そして、口の中の機能を保ち、飲み込むための筋力をつけることも大切です。それらの機能や筋力を高めるためのトレーニングもあります。歯の土台の歯茎を守るために、歯周病にも気をつけていただきたいですね。定期的な受診で歯石を除去し、異常があれば早期に治療するのが理想です。でも、虫歯と違って、がまんできない痛みなどもなく、見過ごされがちなんです。歯茎が腫れる・歯磨きで出血するなど症状があれば、必ず受診してほしいです。
大切な歯を守るため、セルフケアのアドバイスもお願いします。
毎日のブラッシングですね。特に、寝る前の歯ブラシは習慣づけ、忘れないでほしいです。歯磨き粉の種類などは関係なく、しっかりブラッシングして、さらにデンタルフロスで歯間をきれいにすると、虫歯や歯周病の予防になります。よく言うのは、「磨いている」と「磨けている」は違う、ということです。自分ではしっかり歯磨きしているつもりでも、きちんと磨けていない方が多いんです。正しいブラッシングを伝えて「磨いている」から「磨けている」にしましょうと呼びかけると、皆さん、頑張ってくれますよ。
最後に、今後の展望と読者の皆さんへのメッセージをお願いします。

開業初日に来院してくださった患者さんで、現在も2~3ヵ月に1回など定期的に来てくださる方がいたり、乳幼児だった患者さんが成長してお子さんを連れて来院してくれたりと、長く続けてきて良かったと思うこともしばしばです。そして、私の姿を見て育った息子が、歯科医師を将来の選択肢に考えていると聞き、面はゆい気持ちになりました。先の話なので、息子が歯科医師になって当院を継ぐかはわかりませんけどね。これからも地域の皆さんに頼られ、親しまれる歯科医院でありたいと考えています。患者さんに頼られるのは本当にありがたいので、どんな些細なことでも遠慮せずに来ていただきたいですね。
自由診療費用の目安
自由診療とはインプラント治療/31万5000円~、歯列矯正65万円~
※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。

