大千里 佳子 院長の独自取材記事
オレンジ歯科医院
(さいたま市北区/加茂宮駅)
最終更新日:2026/01/15
土呂駅から徒歩14分、ステラタウンの一角に鮮やかなオレンジ色の外観が目を引く「オレンジ歯科医院」がある。2005年の開業から、地域のランドマーク的存在として親しまれる同院の院長を務めるのは、大千里佳子先生。特に小児の予防に力を注ぎ、歯科医院嫌いにならないための診療を実践してきた。時間をかけて育ててきた芽が実を結び、泣いていた子が歯科衛生士をめざしたいと話してくれたり、開院当時は幼児だった子が親になって子どもの検診に来るなど、世代を超えた信頼関係を築いているという。1日にたくさんの患者と話すことを「天職」と語り、障害がある子どもや外国人の親子も分け隔てなく受け入れる。「毎日これだけの人と話せる仕事って他にない」と人との出会いを心から楽しむ大千里院長に、20年の歩みと地域医療への思いを聞いた。
(取材日2025年12月12日)
20年の歴史が紡ぐ、世代を超えた地域の歯科医院
ステラタウンとほぼ同時期に開業され20年たつそうですが、振り返っていかがですか?

2005年にステラタウン開業の1年後、こちらにオレンジ歯科を開設しました。開院当時は完璧主義で、スタッフにも苦労をかけることが多く大変なこともありましたね。キャリアを重ね、患者さんの生活スタイルや希望に寄り添える余裕ができ、相手の心をまずは大事に、柔軟に対応できるようになりました。20年たって、最初に来た時は小学校入学前だった子が出産して、1歳6ヵ月健診に子どもを連れて来てくれることも。ほかにも、成人式の写真を見せてくれたり、妊娠の報告をしてくれたり、進路相談をしてくれたり……。これまでアットホームにやってきたことが、20年たって実を結んでいるなと実感しています。
先生が小児歯科を専門にされた理由をお聞かせください。
大学では小児歯科と子どもの障害者治療を中心に学んでいました。私たちの大学では小児歯科の領域で、一般歯科から、口腔外科、矯正まですべて経験できたんです。女性ならではの視点もありますし、何より子どもが好きっていうのが大きかったですね。何かに特化しなくても、子どもの歯科領域の中で全部が完結できることに魅力を感じました。実は医局に残りながら早い時期に開業したんですが、最初は上の先生につきながら、小児以外の分野の技術も磨いてきました。もともと理系分野への進学を考えていましたが、父から「人を幸せにできる仕事に就いてほしい」という言葉をもらったことがきっかけで、医療に興味を持ちました。細かい作業に集中することが得意だったこともあり、歯科医師の道を選びました。今は、自分の強みを生かし、口腔内の健康を通じて人を幸せにできる歯科医師という仕事を、まさに天職だと感じています。
泣いていた子が歯科衛生士をめざすようになったというエピソードがあるそうですね。

はい、当院でよく泣いていた子が「歯科衛生士の学校をめざします」「入学しました」と報告してくれるんです。実は、1人だけでなく何人もいて、「あんなに歯科医院が嫌いだったのに!」と驚いています。こうしてわざわざ報告に来てくれることが、本当にうれしいですね。また、当院は今ではちょっとした地域のランドマーク的存在になっているんですよ。例えば、学校帰りの子どもの待ち合わせ場所になっていたり、家に親御さんがいないときは、「先生に伝えておくからここで待ってて」とお母さんに言われ当院で待っている子がいたり。こうした関わりができているのは、診療だけじゃなく、地域に密着した場所として成り立っているからなんだなと感じます。患者さん同士でも待合室で話をしたり、ここがコミュニティーの場にもなっているんです。
「徹底した予防」で、歯科医院嫌いにならないように
小児の予防歯科についてどのような取り組みをされていますか?

「子どもの予防歯科」がうまくいくかは周りの大人に責任があると思っています。歯科医院が嫌いになるのは、虫歯になって治療されるからなんだと考えています。だから歯が生えてから検診で来てもらい、2ヵ月に1回遊びに来る感覚でフッ素を塗って帰る。話をして、予防処置をして、それが生活の中にうまく入り込んでくれると、歯科医院嫌いにはならないのではと。親御さんと一緒に生活習慣の中での予防方法を考えていきます。唾液の飲み方で歯並びが悪くなることもあるので、毎日一緒にいると見逃してしまう癖を一緒に見つけて改善していく。そうやって虫歯にさせない、治療をさせないことにこだわっています。
お子さんの診療で特に心がけていることを教えてください。
親御さんには決して「痛くないよとは言わないでください」と伝えています。子どもは疑問を持って来るので、その時に親御さんが「痛くないよ」って言ってしまって、もし痛かったとその子が感じた場合、それが原因で歯科医院嫌いになってしまうんです。治療には多かれ少なかれ、痛みは生じます。まったく痛くないことはないので、それはうそをつくことにつながってしまう。ですので、当院では子どもの質問には私がきちんと答えるので、「先生に聞いてごらん」と振ってもらうようにしています。当院は3歳以上は親の入室なしで、子どもと直接信頼関係を築きます。最初は泣く子もいますが、座るところから始めて段階的に慣れていってもらいます。私は正直にはっきりと言うこともあるけど、親御さんは家で褒めてあげてくださいと、お互いに役割分担をするんです。子どもはきちんと向き合えば、本音で話してくれる相手だとわかるので、信頼関係が築いていけるんです。
小児矯正についてはどのような方針で診療されていますか?

大がかりな矯正が必要になる前、幼少期から歯並びが悪くなる原因を生活の中から見つけています。小さい頃から来てるからこそできることで、指しゃぶりや唇を噛む癖とかですね。「うちの子は癖はないです」と親御さんは言いますが、歯並びを見ると歯科医師は何か原因があるはずだとわかります。一緒に探すとタオルをかじってたとか何らかの前兆があり、まず癖を排除して、矯正に移行しなくて済むような形を作っていきます。家族で来られていると「遺伝的にあるかも」とか、兄弟姉妹の症状を見て早めに対策することもできます。ただ、小学生の中高学年で本格的な矯正が必要な場合は、専門の先生にご紹介しています。適材適所で、プロフェッショナルな治療を受けてもらうことも大切です。
地域に根差し、さまざまな人を受け入れる包括的医療
障害がある子どもや外国人の親子の診療にも関わられているとか。

はい。障害者歯科に関する相談にも積極的に対応しています。障害があるお子さんの歯科診察は親の負担が大きく、なかなか手が回らないご家庭が多いんです。子どもには未来があるし、ここは私が長年関わってきた分野です。食べられるようになると笑顔が出てきたり、親御さんの心もほぐれてきます。そういったところにもっと光を当ててあげたい。学校からの要請で、外国人の親子のケア支援も行っています。うがいの仕方もわからない子に翻訳しながら、教えています。言葉が通じないことも多く最初は本当に大変でしたが、やっぱり子どもはかわいいですし、私の力で少しでも困っている人を救い上げられたかなって思えた時は本当にうれしいです。
スタッフの方々との関係についてお聞かせください。
本当にスタッフには感謝しています。10年以上働いてくれている人が多くて、家族のような関係です。何かあれば先回りして動いてくれるスタッフに心から感謝しています。彼女たちの作ってくれた土台の上で、私が手のひらで動かしてもらってるという感覚にもなるくらい頼もしいです。私が悩んでいる時でも「先生飲みに行こう」って連れて行ってくれて。普通逆ですよね。これから恩返ししていきたいですね。カプセルトイや院内のおもちゃも、アイデアを出して「これかわいいから」と持ってきてくれるなど、いつも私のこと、当院のことを考え、助けてくれている最高のスタッフです。
地域の方へのメッセージをお願いします。

この地域の皆さんと「歯科医師と患者さん」である前に、人と人とのお付き合いができることが、本当にうれしいことだと思っています。今いる患者さんをこれからも大事にしていきたいですし、スタッフとは子ども食堂もやってみたいと話しています。これからも地域の皆さんに支えられて、一緒に成長していきたいです。皆さんのおかげで、今があると思っています。これからも地域に根差した診療を行っていきたいですね。
自由診療費用の目安
自由診療とは小児矯正/5万円~、ホワイトニング/2万円~、インプラント治療/25万円~

