中川 晃成 院長の独自取材記事
中川歯科医院
(鳥栖市/鳥栖駅)
最終更新日:2025/04/11

鳥栖駅から徒歩約10分の住宅街の一角にある「中川歯科医院」は、鳥栖市で育った中川晃成院長が、2002年に開業した。中川院長は、「全身の健康は口の健康から」という考えのもと、噛むという機能を重視した診療を行っている。中でも、子どもの成長や発育に悪影響を及ぼす可能性がある口腔機能発達不全症や、年齢とともに食事や滑舌などに支障が出る口腔機能低下症の診療に力を入れている。さらに、歯を失ってもきちんと噛めるようインプラント治療にも専門的に取り組む。「私自身も食べることが好きなので、食べる楽しみを支えたいんです」と、優しい笑顔で話す中川院長に、クリニックの特徴や診療にかける思いなどを聞いた。
(取材日2025年2月6日)
噛むことをはじめとする口腔機能の改善に注力
貴院の特徴を教えてください。

当院では、「噛む」という機能を重視しています。十分に噛めないと、栄養が不足してお子さんの成長や発達にも悪影響を与えてしまう可能性があります。ご高齢の方の場合、遠方への旅行などが難しくなり、食べることが一番の楽しみという方が少なくありません。そんな楽しみをいつまでもサポートしたいのです。私自身も食べることが大好きですから。生活の質の維持向上という点でも、噛むことは大事でないでしょうか。そこで、歯を失う原因となる歯周病治療や歯を失った場合の補綴治療としてのインプラント治療、さらには口腔機能発達不全症や口腔機能低下症の診療に力を入れています。
口腔機能発達不全症や口腔機能低下症は、近年注目されるようになった疾患ですね。
お子さんにおいて、食べる・話す・呼吸するなどの機能が十分に発達していない状態を口腔機能発達不全症といいます。歯並びや噛み合わせの乱れ、虫歯や歯周病のリスクが高まるなど、さまざまな弊害があります。親御さんが気にかけて受診されるケースも増えていますが、痛みなどはないので気づかないことも少なくありません。ですから、こちらから「こんな困り事はないですか?」と、お聞きするようにしています。主な治療法は、口周りの筋肉のトレーニングによって正しい成長を促すことです。マウスピース型装置や拡大床装置を用いる場合もあり、矯正専門の歯科医師と連携しながら診療にあたっています。口腔機能低下症は、年齢とともに食事の時にむせることが多くなる、口が渇いて口臭が気になるなどの症状が見られます。ただ、それが口腔機能低下症だと認識されてないケースも多いです。診断が下りた場合は、口腔機能のリハビリテーションを行います。
噛むという観点から、インプラント治療にも力を入れているのですね。

インプラントは、他の健康な歯に負担をかけず、自分の歯とほぼ同じような噛み心地をめざせるのが利点です。当院では、安心して治療を受けられるよう専用の処置室を設けています。より精度の高い治療のために、歯科用CTで撮影したデータをもとに、インプラントの埋入位置や角度をシミュレーションするためのシステムを用いたガイデッドサージェリーも取り入れました。さらに、院内に歯科技工室を設け、歯科技工士も勤務しています。歯科技工士が作製したかぶせ物の形はデータ上でチェックでき、修正指示もその場で出せるため、治療期間の短縮が見込めます。
より良い治療のためにデジタル化や新しい試みを推進
歯科医師をめざした理由をお聞かせください。

人体の仕組みについて興味があったことから、医療分野を志しました。父が薬の開発の仕事をしていたことにも、影響を受けたかもしれません。九州大学歯学部在学中には、歯科全般を学びながら、「噛む」ということに関心を持つようになりました。というのも、歯はそろっているけれどなぜかよく噛めないとか、入れ歯がしっくりこなくて噛めないとか、いろいろなパターンで噛むことに苦労している人が周囲にいたんです。そのため、「しっかり噛めるようにしてあげたい」と考えるようになりました。卒業後に勤務した歯科クリニックには、インプラント治療や口腔外科に強い先生がいらっしゃったので、たくさん勉強させてもらいました。
歯科クリニックで4年間経験を積んだ後、2002年にこちらで開業されたのですね。
小学校から高校まで、ここ鳥栖市で育ったんです。いつかは地元で開業しようと思っていました。鳥栖市は交通の要衝ですからどこへ行くにも便利で、離れる理由はないなと。開業後も注力する治療の一つとしてインプラント治療を行ってきましたが、顎の骨の量が十分でなくてはインプラントを埋入できません。骨造成に関してさらなる研鑽を積みたいと考えていたところ、母校の大学院で勉強できる機会をいただきました。クリニックの業務と並行して研究にも励み、2007年に修了しました。また、歯科医師会の委員会活動を通じて、医科歯科連携の大切さを改めて感じ、糖尿病についても勉強をしました。当院の患者さんの中にも、糖尿病を抱えた方は多くいらっしゃいますからね。
常により良い治療を追求し続けているのですね。

そうですね。大学時代の仲間がそれぞれ専門分野を持っていて、診療について密にアドバイスし合う関係を築いているのも、その一つかもしれません。基本的には当院で歯科治療全般を行えますが、より難易度が上がった時には、それぞれの専門の歯科医師と連携して対応します。また、インプラント治療の話でもふれましたが、より良い治療のために歯科診療のデジタル化も推進しており、歯科技工室を拡充しました。患者さんの負担が大きい印象材による歯の型採りをなくしたくて、補綴物の設計や削り出しを行うシステムも取り入れました。今後も毎年何か一つは新しい試みをしたいと考えています。昨年は治療プロセス効率化のためにペーパーレス化を進め、やっと形になりつつあります。今年は、高精度のCTを導入しました。矯正用のエックス線画像も同時に撮影可能ですので、撮影回数が減り被ばく量の減少につながるというメリットもあります。
全身の健康の礎となる口の健康をチームで支える
診療において心がけていることはどんなことですか?

まずは患者さんから怖がられないことですかね(笑)。私が子どもの頃は、歯科クリニックは怖い所というイメージがあったんです。来院をためらって、治療の開始が遅くなることはデメリットしかありません。患者さんの訴えをよく聞き、不安を解消できるよう心がけるとともに、治療の最初と最後に説明の時間を設けるようにしています。診療体制についていえば、歯科医師も歯科衛生士も肉眼の約10倍に拡大して見るための拡大鏡を用いて処置を行っています。また、患者さんの細かな変化に気づけるよう、歯科衛生士は担当制としています。歯科医師、歯科衛生士、歯科助手、受付、歯科技工士と、スタッフも多くいますが、チーム医療で患者さんの治療にあたれるような組織づくりを実践しています。
チーム医療や組織全体の質の向上のために、具体的にどのようなことに取り組んでいますか?
それぞれの職域に幹部がいて、リーダーとしてまとめてもらうというのが、まず一つです。あとは週に1回、患者さんや治療について情報共有の時間を設け、月に2回研修も行っています。研修のうち1回はフリーランスの歯科衛生士さんに来ていただいて、スキルアップを図っています。また、組織風土の向上のために、定期的にアドバイザーに入っていただき、スタッフからの意見を吸いあげ、意見交換を行っています。大まかな方針は私が決めるのですが、それをどう実現していくかについては、全員で決めていくのが当院らしいかなと思っています。
最後に、今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

当院では、「全身の健康は口の健康から」という考えのもと、噛むという機能にフォーカスしています。虫歯や歯周病といった基本の治療も精密に行いながら、「噛める幸せをかなえる」歯科クリニックでありたいと考えています。咀嚼機能や舌の運動機能などを測る検査器具も各種そろえていますので、気になる方はご相談ください。歯科は治療が終わってからがスタートです。自分が行った仕事が患者さんのためになっているかをしっかりと見守り、患者さん一人ひとりの健康を支えていきたいですね。
自由診療費用の目安
自由診療とはインプラント治療/48万円~、マウスピース型装置/10万円~、拡大床装置/15万円~