服部 俊嗣 院長の独自取材記事
はっとり歯科医院
(三養基郡上峰町/吉野ケ里公園駅)
最終更新日:2025/03/04

西鉄バス下津毛停留所から徒歩約10分。住宅と田んぼに囲まれたのどかな風景の中にあるのが「はっとり歯科医院」だ。同院は1991年に開業し、30年以上地域住民の歯の健康を守っている。院長の服部俊嗣先生は歯科医師になった当初より勉強やトレーニングを積み、現在では口腔内を総合的に診療する歯科医院となった。歯周病、根管治療、補綴治療、インプラント治療、矯正など幅広い治療に対応しているが、「一番大切なのは自然な歯をできるだけ残す治療をすること。患者さんには健康な口腔状態をめざしてほしいです」と語る服部先生。今回は、服部先生に同院の特徴や患者との向き合い方、スタッフとのコミュニケーションなどについてざっくばらんに聞いてみた。
(取材日2025年1月29日)
勉強を継続した結果「一人総合歯科医院」を志す
先生のご専門の分野についてお聞かせください。

九州大学卒業後、ビーチ先生が創設したHPI研究所の診療システム導入した「ア歯科」に勤務し、そこで歯科用の小さな鏡を使って治療を行うミラーテクニックを習得しました。この経験は現在のマイクロ治療にも生かされています。開業後は「一人総合歯科医院」をめざし、根管治療、補綴、インプラント、矯正、顎運動など幅広い分野の研鑽を重ねてきました。45歳を過ぎてからは、より専門性を高めるため、対象患者の多い歯周病の分野にも注力することを決意したんですね。そして現在は、日本歯周病学会の歯周病専門医の資格も取得しました。特に矯正と歯周組織の再生療法を組み合わせた治療では高い有用性を感じており、一つの分野に限定せず総合的なアプローチで患者さんの歯科治療に取り組んでいます。
どんな患者さんが来院されますか?
初診の患者さんは、2~3軒の歯科医院を回った後、当院の特徴を調べて来院されるケースが多くなっています。先日も、佐賀市で3軒の歯科医院を受診された後、適切な治療を見つけられずに当院に来院された方がいらっしゃいました。できる限り対応したいとは思っていますが、高齢になるほど根本から改善を図ることが難しくなってしまうという面もあります。現在は、長年メンテナンスの目的で通ってくださる患者さんが中心となっています。そのため、「痛い時だけ通院して治したい」という方よりも、継続的な治療やメンテナンスに理解を示してくださる患者さんに多く来院いただいています。
開業から30年以上たち、診療スタイルで変化した部分はありますか?

開業当初は、朝から晩まで入れ歯治療を行い、「痛くなったら来てください」というスタイルでしたが、大きく変化してきました。まず、義歯を減らしたいという思いから、インプラント治療や歯周病治療を中心とした治療へと移行していったんですね。また開業23年目のある日、飛び込みの方が来られて予約の患者さんをお待たせしてしまったことがありました。それを機に予約制を徹底したことで、そのようなトラブルが減ったように思います。さらに、日本歯周病学会歯周病専門医の取得をきっかけに、初診時の説明のシステムをより明確にしました。このように開業以来、一貫して学びを続け、治療の質を高めながら患者さんとの信頼関係を重視した診療スタイルへと進化してきたんですね。これまでさまざまなことがありましたが、それらの経験がすべて現在につながっています。
できるだけ歯を削らず歯周病のコントロールをめざす
貴院で力を入れている治療についてお伺いします。

「一人総合歯科医院」とうたっているとおり、ただ虫歯を治したり詰め物をしたりするだけではないですね。患者さん一人ひとりに合わせた治療プランを考え、時には歯周病の治療後に矯正をし、噛み合わせも調整していくこともあります。患者さんの天然の歯をできるだけ守るためにも、歯周病のコントロールを図りながら口腔内の環境を良くするための治療に力を入れています。
ミラーテクニックとはどういうものなのでしょうか?
ミラーテクニックとは、お口の中の死角になっている部分を、歯科用の小さなミラーで見ながら治療することです。ホームポジションという正しい姿勢を保ちながら治療をします。また、ミラーテクニックとマイクロスコープを組み合わせることで、より精度の高い治療が可能になります。歯科医師を長年やっていると、だんだんつらくなってくるのが奥歯の治療です。しかしミラーテクニックを習得していると、身体的な苦痛がないためストレスなく治療が続けられます。私は歯科医師になりたての頃に、正しい姿勢でなければ治療の質を担保できないという教育を受けているので、それが今でも生きているのだと思います。
これまでの治療のご経験から感じる先生の想いをお聞かせください。

長年の臨床経験を通じて最も強く感じているのは、「抜髄していない天然の歯に勝るものはない」ということです。40年間の経験を振り返り、過剰に患者さんの歯を削っても決して良い結果につながらないのではと感じています。そのため現在は、歯周病のコントロールを図り、できるだけ歯を削らないようにと心がけています。必要に応じて矯正治療も組み合わせることで、より良い結果につながればと思っています。事故などの特別な場合を除き、若い世代の方なら適切な歯周病管理と噛み合わせのコントロールを図ることによって、インプラントの必要性は理論的にはないはずだと考えています。経験を重ねるほど、エビデンスを踏まえた上で、一人ひとりの患者さんに合わせた総合的なアプローチの重要性を実感しています。
自身の積んだ研鑽を、診療へ生かしたい
初診時には患者さんとどんなお話をされますか?

初診の患者さんには、まず主訴に対する検査と説明をして、その後、当院の特徴についてお話しさせていただいています。具体的には、長期的なメインテナンス、噛み合わせの重要性、重度の歯周病の実例など約30分かけて丁寧にご説明します。特に大切にしているのは、初対面だからこそ、当院の医療に関する考え方や情報を包み隠さずお伝えすることです。その上で、患者さんとの間で治療に関する約束事を確認させていただいています。ご理解いただけた方には、全体的な検査へと進んでいただきます。このように初診時にしっかりとお互いの理解を深めることで、私たちと患者さん側の認識の違いが減り、より良い治療につながると思っています。
先生がめざす歯科医師の姿とはどんなものでしょうか?
ビーチ先生の言葉に「医療の目標はヘルスケアゼロ」というものがあります。これは、歯科治療が必要なくなるほど健康な口腔状態を実現するという理想を表しているんですね。実際、佐賀県でも若い世代の虫歯や欠損は減少傾向にあります。私は開業以来、「一人総合歯科医院」をめざす中で、年齢を重ねた今でも新しい治療法や技術の習得に励んでいます。歯科医師としてめざすのは、確かな技術と知識を持ちながら、患者さんの天然の歯を守る治療をすることです。私のモットーは「今できることをちゃんとする」。これからも時代の変化に対応しながら、患者さんの健康な口腔状態の維持に貢献できる歯科医師でありたいと考えています。
今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

一人でできることに限界はありますが、自分自身の歯科医療のレベルをより上げていきたいです。同時にスタッフが働きやすい環境を維持したいと思います。当院は院長と少人数のスタッフで診療を行っているため、勤務時間などには配慮しています。当院を支えてくれているスタッフには今後も気持ち良く働いてもらいたいですね。これから当院に来てくださる方とは、先に述べたとおり治療方針や約束事などお互いに納得した上で、治療を進めたいと思っています。お困りの際は平日の午前中にお電話ください。
自由診療費用の目安
自由診療とはインプラント治療/40万円~、歯列矯正(装置代含む)/70万円~
※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。