須藤 隆之 院長、須藤 さちこ 先生の独自取材記事
いぶき歯科クリニック
(高崎市/高崎駅)
最終更新日:2022/09/21
開業して21年。群馬県高崎市にある「いぶき歯科クリニック」は、地元住民から厚い信頼を寄せられているクリニックだ。「将来的には歯科医師の出番がなくなり、メンテナンスや予防ケアを行う歯科衛生士がメインとなるのが理想」と語る須藤隆之院長と、妻で副院長の須藤さちこ先生が診療を行っている。予防歯科に力を入れ、患者とより良い関係を築くために、「心」を大切にした診療を行ってきた2人。隆之院長とさちこ先生の穏やかでやわらかい雰囲気が、スタッフをはじめクリニック全体にも行きわたっているようだ。隆之院長とさちこ先生に、クリニックの診療の特徴や、同院が歯科医院としてめざす姿について詳しく聞かせてもらった。
(取材日2022年7月13日)
予防歯科の主役は患者自身
お二人には、将来的にめざす歯科医療のビジョンがあるそうですね。
【隆之院長】このクリニックを開業する時から、予防ケアを行う歯科衛生士が中心となって患者さんと関わるような歯科医院をめざしていこうと考えていました。予防に重点を置いて患者さんと関わっていくと、患者さんのほうでも虫歯にならないようにしっかり予防しようと思ってくれるようになりますし、そういう患者さんが増えていくんです。
【さちこ先生】将来的には私たち歯科医師の出番がなくなって、歯科衛生士さんがメインで患者さんの予防ケアを行うのが一番いいなと思うんです。虫歯や歯周病で苦しむ患者さんがゼロになるのが、私たちの理想ですね。
どのようなスタンスで予防歯科に取り組んでいますか?
【隆之院長】これまで、患者さんに「予防が大事だから定期的に来てくださいね」と伝え続けてきました。そのかいあってか、多くの方が定期的に来院してくださるようになりました。しかし、それだけでは患者さん側は「予防のために、ここに通っていれば大丈夫だ」と歯科医院任せになりがちなんです。頼ってもらうのはありがたいのですが、私たちがめざすゴールはそこではないことに気づいたんです。大事なのは、ご自身でお口の管理がしっかりできるようになること。そのためのお手伝いをしていくことが私たちの考える予防歯科です。例えば、3ヵ月に1回通っていた人が自分でうまく管理できるようになって、半年や1年に1回くらいの来院で済むようになったらうれしいですね。最終目標は、「自立」ですがそう簡単ではないと思いますのでしっかり寄り添っていきたいと思います。
今通っている患者さんたちはどういった方々でしょうか。
【隆之院長】午前中は年配の方が多く、午後は半分くらいが子どもの患者さんです。最初は治療目的の方が多かったのですが、予防が大切ということを繰り返し繰り返し伝えていくうちに、予防やメンテナンスで通ってくれる人がどんどん増えていきました。通うペースとしては4ヵ月と6ヵ月に1回が標準ですが、年配の方や自分で上手にメンテナンスできない人は、お口の中の状態によって、その方に合った頻度を提案しています。
【さちこ先生】患者さんではありますが、必ず年に2回か3回は会う人って、家族以外になかなかないですよね(笑)。その関係をずっと続けていけるのはとてもいいなと思っています。
【隆之院長】お付き合いしていくうちに、いろんなお話をしたりして少しずつその人のことを知ることができますしね。長く深いお付き合いをしていけるといいですね。
口の中は全身の健康状態をあらわすバロメーター
最近はお口の健康と体の健康の関係が注目されています。
【さちこ先生】口の中の健康と体の健康は、深く関連しています。歯周病が糖尿病や脳梗塞、心筋梗塞などと関係していることもわかってきていますよね。口の中を清潔に保ち健康な状態を維持することで、成人病の予防とか全身を整えることにつながるといわれているんですよ。
【隆之院長】口と鼻は体の入り口ですから、そこをきれいにしておくことは全身にとってたいへん重要です。国のほうでも、口のメンテナンスがきちんとできている人は医療費を抑えやすいということもあり、国民皆歯科健診の議論も始まっていますよね。口の中のクリーニングをしたことでさまざまな病気の数値に良い影響を与えたという報告もあります。口は命の入り口です。だからこそ予防の大切さを伝えていきたいんです。
口の中を見て患者さんの疲れなどを感じることがあるとか。
【隆之院長】疲れなど体の変化はもちろん、ストレスなど心の変化も、口の中にあらわれてくるんです。特に長年お付き合いしている患者さんの場合は、その方のお口の状態をずっと見てきているので、少しの変化でも気づくことができるんです。「お忙しいのかな?」「悩み事?」。しっかりメンテナンスに来てくれているのに悪くなる人というのは、歯ぎしりや食いしばりなど歯に力の負担がかかっている方が多くみられます。最近多いのは「虫歯じゃないのに歯がしみる。」CMでおなじみの知覚過敏です。そこには一般的に言われているストレスの他に、悪い姿勢や口呼吸などさまざまな要因が関わっています。
【さちこ先生】そういったことがあると、口が乾いたりしますから歯肉や粘膜の状態も変わってきます。ご本人も気づかないような小さな変化に気づいてあげることが予防歯科の大きな役割なのかもしれませんね。
各自の持ち味を生かしたチーム力で、理想の歯科医療を
小児歯科にも力を入れているそうですね。
【さちこ先生】顎が小さく歯並びやかみ合わせの悪いお子さんがとても増えているんです。これは母乳の飲み方や赤ちゃんの抱き方、寝かせ方なども関係しています。呼吸や嚥下(飲み込み)に使う口の周りの筋肉がうまく使えてないことが原因で、口呼吸になっていることが多いです。口呼吸は正常な顎の成長を阻害してしまうんです。そこで、当院では、舌の動かし方や嚥下の練習など口腔筋機能の発達を助けるトレーニングを行っています。遺伝的に本来想定される顔に成長できるよう、早い段階からの指導が必要ですが、それにはご家族の理解と協力がとても大切なんです。 【隆之院長】人間本来の鼻呼吸を行うことは、アトピーなどのアレルギー疾患や感染性疾患の予防などにもとても重要で、もっともっと伝えていきたい課題ですね。
スタッフさんの役割について教えてください。
【隆之院長】私たちが理想とする歯科医療を行っていくには、スタッフの力がとても重要になります。患者さんの中には歯科医師に話すのはハードルが高いと感じる人もいますので、そういう声を聞き出してくれるのが受付や歯科衛生士、歯科助手のみんなです。そんな大切なスタッフについて、まず僕が取り組んだのはスタッフ教育を含めた環境づくりでした。マニュアルどおり同じ人財を育てるのではなく、今は一人ひとりの個性を大事にしています。いろいろな患者さんがいるように、違ったスタッフがいたほうがそれぞれの役割があってチームとして機能するんです。そのほうが皆、伸び伸び自分らしく働けて良いパフォーマンスが発揮できますから。それぞれの長所を伸ばすことで短所を補い合うことができる。そんなチームづくりをしてきました。まず自分たちがやりがいをもって生き生きしていてこそ患者さんに元気になってもらえると思っています。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
【さちこ先生】子どもの患者さんが多いので、お母さんと接することも多いのですが、皆さん自分のことは後回しの毎日を送っていますよね。お子さんが小さいうちはその時間を取るのは大変だと思いますが、できる限りでいいので自分を大事にしてほしいです。自分にご褒美をあげるつもりで、お口のケアや体のケア、心のケアをして、自分の心の余裕をつくってくださいね。
【隆之院長】当院は、これ以上、歯を削らない、神経を抜かない、歯を抜かないよう、定期メンテナンスをはじめとした予防歯科に力を入れている歯科医院です。初診の患者さんの予約が入ると、予約の日までに「当院はこういう歯科医院ですよ」という自己紹介を兼ねたお手紙をお送りし、初診ではじっくり時間をかけて皆さまのお話を聞かせていただきます。お口の悩みや、今後の予防ケアについてじっくり相談に乗りますので、安心してご来院ください。
自由診療費用の目安
自由診療とは小児矯正/(咬合育成)60万円~
※インプラント治療は現在行っておりません