新福 泰弘 院長の独自取材記事
インぺリオクリニック
(宮崎市/宮崎神宮駅)
最終更新日:2021/12/23

コの字型の構造が特徴的な「インペリオクリニック」は、国内外で研鑽を重ねた新福泰弘院長が2001年に開院した歯科医院。患者一人ひとりに十分な時間をかけ、満足度の高い治療の提供をめざしている。新福院長は「最新の知識や技術を得たい」という欲求のもと、開業後も世界各国へ足を運ぶバイタリティーにあふれた歯科医師。現地から持ち帰った情報は国内の仲間にも共有しており、まさに日本の歯科医療の発展に貢献する存在といえる。診療では、患者と認識のずれが起きないよう、デジタル技術を用いて治療計画を作成。「治療後の『こんなつもりじゃなかった』を極力防ぎたいのです」と話す院長に、自身のキャリアやクリニックの特徴、診療に対する考え方などについて聞いた。
(取材日2021年11月5日)
「全身の健康を考えたインプラント治療」がコンセプト
最初に、先生のご経歴について伺います。

私は日本大学松戸歯学部への入学を機に一度宮崎を離れ、卒業後は同大学の附属病院で10年間大学教員・研究員として勤務しました。うち2年間は米アラバマ大学に留学し、免疫学を研究していました。帰国後は再び大学で診療しながら研究し、博士号を取得。当時は臨床病理検査を専門にしており、診療のほかに入院患者さんの採血も担当していたことから、口腔だけでなく全身のことも考える癖がいつの間にか身につきました。宮崎に戻って開業した後もこの考え方は変わらず、「全身の健康を考えた歯科治療」を追求した結果、そのまま当院のコンセプトとなりました。患者さんは歯に対する意識が高い方が多く、治療にも相応の価値を求められますので、できるだけ多くの治療法をご用意・提供しています。
コンセプトである「全身の健康を考えたインプラント治療」について教えてください。
インプラントが長期にわたって機能するよう、プレコンディショニングとしての問診と血液検査からスタートします。歯科で行うのは口腔内の治療ですので、場合によってはお口以外の箇所をまったく見ずに治療が終わることもあります。しかし近年は、口腔のさまざまな問題が全身の健康に関わることは一般的にも知られています。よく例として挙げられる歯周病と糖尿病の関連性のほかにも、健康状態に相互に悪影響を与える疾患はまだまだあるのです。私はかねてより「全身を考慮した歯科治療を行う先生のもとで学びたい」という思いを持っていました。そこで、さまざまな分野の海外の先生にコンタクトを取り、直接指導を受けに行きました。開業してからは、クリニックを1週間ほど休院して海外へ行くというサイクルをほぼ毎月繰り返しています。
そこまで先生を突き動かしている原動力は何なのでしょうか?

周りが知らない情報をいち早くキャッチし、知識として得たいという思いですね。これは私の「人がやっていないことをやるのが好き」という性格もあります(笑)。欧州では、口腔と全身を分けない考え方がスタンダード。そして日本国内にも、私のように医療先進国の知識や技術を学びたいという歯科医師が少なからずいます。現地から持ち帰ってきた情報をレクチャーするセミナーも、実は毎月開催しているんですよ。もちろん当院の診療にも役立てており、全身の健康以外に、顎関節の位置や顎運動の正常化にも重きを置いています。顎関節は顎の開閉の支点であり、ここがずれるとうまく噛めない、顎が痛いなどの問題が起きかねません。そのため、顎関節を適切な位置に戻して、咬合機能を正常化させる目的の治療を進めています。当院では、インプラント治療を求めて来院する患者さんが多いので、その期待にも応えたいというのが一番の原動力ですね。
デジタル技術を駆使し、治療後のイメージを明確に共有
クリニックの内装や設計でこだわった部分はありますか?

歯科医院に特化した設計事務所さんに設計をお願いしました。過去にログハウスの設計に携わったこともあるそうなのですが、アイデアが非常に斬新で、図面を見た時は感動しましたね。クリニック全体は動線として好ましいコの字型で、正面玄関から入ると受付があり、受付から診療室のドアを開けるとプライバシーを守る配置でユニットがずらりと並んでいます。そのエリアから渡り廊下を歩くと、オペ室などがある別エリアに行けるという構造です。こだわりとしては、中庭部分に竹を植栽し、風情のあるやわらかい雰囲気にしました。患者さんの目を楽しませるだけでなく、私も診療の合間に疲れた目を休めることができ、気に入っています。
診療で心がけていることは何でしょうか?
当院では、インプラント治療後に患者さんから「こうなるとは思わなかった」と言われないような治療をめざしています。特に見た目を重視するインプラントでは、歯の形や長さなどでイメージの相違が起こりがちなので、デジタル技術を活用して治療計画を作成し、治療後の状態をよりわかりやすく共有するように心がけています。具体的には、まずオーラルスキャンによって口腔内の情報を、歯科用CTによって骨の状態を、フェイススキャンによって顔面の3D情報を取得。それらをコンピューター上で組み合わせると、患者さんの顔の中で歯がどのように位置づけられているのかがわかります。さらに、歯列の完成イメージとその見え方も、データを用いて3次元的に構築。精密なシミュレーションによって、実際の治療の再現性を高めています。
デジタル技術を活用することで、実際の治療もスムーズに進みそうですね。

1回の診療時間は長くなりますが、代わりに来院回数は少ないです。こまめな受診が難しい方にとっては、この点はメリットに感じられるかもしれませんね。当院は1日あたりの患者さんの数を限定しているので、2~3時間かけていろいろな検査を実施し、治療計画のご説明も丁寧に行うことができています。説明で大切にしているのは、とにかくエビデンスベースで、患者さんに誤解を与えないようにお話しすること。写真や検査データをお見せするのはもちろん、「こう思います」などと主観で話さないように心がけ、視覚的・客観的にお伝えしています。
口腔と全身の健康を守るため、情報は常にアップデート
メタルフリーの治療にも取り組まれていると聞きました。

こちらもまさにエビデンスに基づいたポリシーといえますね。近年は世界各国で、歯科用の金属に関するさまざまな報告がなされています。歯科用の金属にはプラーク(歯垢)やバイオフィルム(細菌の集合体によって形成された膜)が付着しやすく、感染症のリスクが高まるという話もその一つ。また、インプラントなどに使用されるチタンという金属が粒子化し、全身に拡散することも報告されています。そうした全身の健康への影響を踏まえ、当院ではお口の中に金属を入れないメタルフリー治療を実践しています。世界的な主流も金属のチタンインプラントから、ジルコニアインプラントにシフトしてきています。当院においても、非金属への需要が高まってきており、「健康と見た目の美しさ」からジルコニアを選択される方が多いです。
休日の過ごし方や、実践されている健康法を教えてください。
新型コロナウイルス感染症が流行する前はよく海外に行っていたため、勉強をしつつ、時間があれば観光地まで足を延ばしたり、サッカー観戦をしたりと満喫していました。現在はウェブのセミナーに参加するほか、自身でもセミナーを開催しており、休日といっても何かと仕事関連の作業をしていますね。自宅で過ごす時間が増えた分、健康にはより気を使っています。睡眠は8~10時間となるべく多めに確保して、食生活においても野菜やオメガ3脂肪酸の豊富なサバなどを積極的に食べています。
今後の展望と、読者へのメッセージをお願いします。

同じことを続けるのが一番だと考えておりますので、これまで積み重ねてきたものを今後もグレードアップしていく方針です。診療のデジタル化にも一層取り組み、よりシンプルかつ完成度の高い治療を患者さんにご提供したいですね。また、セミナーを通して同業の先生方にも新たな情報を発信できるよう、常にアンテナを張って深く学ぶ姿勢を持ち続けたいと思います。当院の診療には、必ず「全身」というキーワードが存在します。お口の健康が歯科治療の最終目的とはいえ、口腔の問題と全身の問題はダイレクトに関係があるのです。歯科医師というライセンスの中でできることは限られていますが、お口の健康を阻害する要因が全身にあるのなら、それを放置せず、改善策をご提案します。私のこうした考え方や診療のコンセプトを理解してくださる方は、ぜひ一度お越しください。
自由診療費用の目安
自由診療とはインプラント治療/49万5000円〜(税込)
詳しくはクリニックまでお問い合わせください。