中島 稔博 院長の独自取材記事
なかしま歯科クリニック
(北九州市若松区/若松駅)
最終更新日:2021/10/12
「口腔内全体のバランスが取れてこそ、より良い治療結果につながると考えています」。こう語るのは、北九州市若松区の住宅地にある「なかしま歯科クリニック」の中島稔博院長だ。来年開院20周年を迎える同院のコンセプトは「トータル的な改善をめざす」こと。主訴の原因が噛み合わせや歯周病など、他に起因していることも多く、その場限りの治療では根本的な改善は図れないという考えから、トータルバランスを重視した包括的治療に注力しているのだそう。そのため歯科用マイクロスコープなど精密機器を導入し、勉強会にも積極的に参加。どんな症状にも対応できるスキルを身につけるべく努力を重ねてきたという。そんな勉強熱心かつ飾らない人柄が印象的な中島院長に、同院が取り組む診療内容を中心に話を聞いた。
(取材日2021年9月8日)
口腔内全体のバランスを重視した包括的治療が特徴
小さな頃から歯科医療が身近にある環境だったそうですね。
ええ、父が歯科医師をしていまして、兄も同じ道に進んだりと、身近にある環境ではあったのですが、小さな時はまさか自分が歯科医師になるとは思っていませんでした。小学生の頃は野球をしたり外で元気に遊び回る日々でしたし、通知表には落ち着きがないと書かれたこともあるくらい活発な子どもだったので、歯科医療にはまったく興味を持つこともなく(笑)。その後も配線をいじったりするのが好きだったので、将来は工学部に進みたいと思っていました。ですが、歯科家系なものですから、どうしても意識せざるを得ないようになったのが高校生の時。進路を決めるにあたり、やはり歯科医療の方向に進んだほうがいいのかなと思い、福岡歯科大学へ進学しました。
実際の大学生活はいかがでしたか?
楽しかったですね。大学ではアメリカンフットボール部に入部しました。そこには高校時代の先輩もいまして、その先輩は歯科医師になってからも勉強会に声をかけてくださり、歯科医療の面白さを知るきっかけをつくってくれた方なんですよ。歯科医療に対し明確な目標を見いだせていなかったので、先輩との出会いがなければ今の自分はなかったと思います。ご縁に感謝ですね。卒業後は父と親しい開業医の先生のところで4年間お世話になり、歯科治療の基本的な処置と並行して全顎矯正治療を学ばせていただきました。その後も勉強会でお世話になっている先生のクリニックで1年半ほど経験を積ませてもらい、すべての治療に妥協を許さない先生を見て自分の実力のなさを痛感する日々。原点に戻り基本的な治療の精度を見直す機会をいただきました。そこで学んだことは、2002年の開院後も私の臨床手技や診療システムの源となっています。
診療スタイルについてはどのように構築されていかれたのでしょう。
開院当初はどのようにすれば独自のカラーを出して診療していけるかということで頭がいっぱいでした。しかし、基本的な治療を手を抜かずに行い継続することで、患者さんに迎合するのではなく、歯科医療のプロフェッショナルとして、患者さん自身の口腔内に対するモチベーション向上へと導く診療スタイルが徐々に構築できていったように感じます。具体的に言うと、部分的な処置では長期的な安定が図れないため、トータルバランスを重視した包括的な治療で根本的改善につなげる、そして治療後のメンテナンスが不可欠であることを理解していただけるようアドバイスをしたり、資料を作成して患者さんの意識にアプローチしたりするのが診療の軸になっています。
治療後は予防に対する知識を高めてもらうアプローチを
幅広い診療内容は、包括的な治療を重視されているからこそなのですね。
そうです。包括的な治療をするために勉強会にも積極的に足を運び、そこで得たものを患者さんに還元することを繰り返し、早いもので来年20周年。とはいえ、新しい手技も次々に出てくるため、勉強に終わりはありません。この辺りは高齢者の方やファミリー層が多いので、それぞれの年代に合った治療というのも求められますからなおさらです。そういった意味では、さまざまなニーズにお応えできる環境を整えられたと言えるでしょう。それこそフッ素塗布など小児の予防から虫歯、歯周病、審美、インプラント、矯正、高齢者の義歯や入れ歯まで。中でも多いのは歯周病や歯を欠損された方への対応ですね。
そのような症状にはどのように対応されているのですか?
患者数が多いことから特に歯周病治療には力を入れて取り組んでいるんですね。重視しているのはご自身の口腔内の状態を十分に知っていただくこと。最初に撮影した口腔内の画像を実際に見てもらいますし、多くの方に知っていただけるように待合室にもさまざまな症例などの掲示物を貼っています。歯周病治療には一貫してメンテナンスが不可欠ですので、やはり予防が大事になってきますね。予期せぬ事故などを除けば、歯の欠損に関しても歯周病との関わりが非常に強いですから、予防の重要性をすべての患者さんに知っていただけるよう努めています。
治療の流れについても教えてください。
まず、歯周病に限らず主訴をお聞きし、口腔内を撮影したり、診断に必要な資料を準備します。そこでそろえた資料をもとに、口腔内全体を精査、診断。そして患者さんへ口腔内の画像を見てもらいながらご説明し、ご納得いただいてから治療開始という流れになります。治療後は定期的なメンテナンスに移行しますので、そこへのご理解、知識を深めてもらうアプローチも。メンテナンスに関しては、何か症状があるわけではないので、ご自身の意識を高めてもらわなければ実現しません。治療を受けたことがない方が予防を希望されて来られるケースは少ないですが、何らかの治療を経験された方はつらい思いを実感されていますので、再治療せずに済むようにしなければという意識が高まりやすいというのはありますね。高齢者の方は特にメンテナンスに来られる方がぐっと増えました。
スタッフ、患者と三位一体となり、前進をめざす
では、残念ながらすでに歯を失って来院された方へはどのような対応を?
インプラント、ブリッジや入れ歯など、患者さんによってご提案する内容も変わってきます。ただ、歯を失うに至った原因を解決しないことには根本的な改善にはつながりません。それをクリアするために、口腔内全体を包括した治療を行うわけです。噛み合わせ、歯周病、生活習慣など、要因はさまざま。特に噛み合わせに関しては全身に影響を及ぼしますので、年齢問わず矯正にも注力しています。最近は不正咬合や歯並びの悪いお子さんも多いですので、矯正についての相談も増えていますね。小児の場合は成長を利用した治療ができますので、歯列全体の横幅を広げるために取り外しができる撤式装置などを用いることが多いです。成人に関してはワイヤー式のブラケット矯正は、表だけでなく裏側からの矯正もやっていますし、透明のマウスピース型装置を用いた矯正にも対応。各状態に応じた方法をご提案しています。
そのように歯科医療に情熱を注がれる日々ですが、どのように息抜きをされているのですか?
もっぱらゴルフです。休日はゴルフしかしていません(笑)。新型コロナウイルスが流行する前の土日は、勉強会、講習会での講演、セミナーへの参加などがほとんどだったのですが、今はそれができない状態ですので、私の師匠である先生とゴルフに行っています。リフレッシュできますし、体を動かすという意味では良いかもしれませんね。もともと遠くに行くのが好きでしたので、勉強会などで東京や地方に行くのが楽しみだったのですが、それができない今、休日はゴルフのことで頭がいっぱいです(笑)。
最後に来年開院20周年を迎えられるにあたり、さらなる抱負をお聞かせください。
当院は歯科衛生士2人、歯科助手1人、歯科技工士、歯科医師は私を含め2人体制で診療を行っています。長く勤めてくれているスタッフが多く、患者さんとも顔なじみで会話も弾んでいる様子を目にしますので、皆さんにはアットホームな雰囲気を感じていただけているのではないでしょうか。これからも新たな手技がどんどん出てくると思いますので、常に勉強する姿勢は崩さず患者さんへ還元できるクリニックでありたいです。そのためにはスタッフにも積極的に介入してもらい、皆が同じ方向を向いて取り組むことが必要。歯科医師、スタッフ、患者さんが三位一体となり、一つの治療目標に向かって進んでいけるように、今後もスタッフと一丸となってよりよい環境づくりに努めていきたいと思っています。
自由診療費用の目安
自由診療とはインプラント治療/38万5千円~、小児矯正/27万5千円~、ワイヤー矯正/55万円~、裏側矯正/110万円~、マウスピース型装置を用いた矯正/88万円~、セラミッククラウン/11万円~