神畠 俊子 院長の独自取材記事
かみはた耳鼻咽喉科
(箕面市/牧落駅)
最終更新日:2025/03/14

阪急箕面線・牧落駅から徒歩12分、住宅街の一角にある「かみはた耳鼻咽喉科」は、2002年に開業。23年間にわたり近隣住民の健康を支えてきた地域に根差すクリニックだ。朗らかな笑顔と、話し上手で親しみやすい人柄が魅力的な神畠俊子院長は、大阪大学の助手や中核病院の部長を務めるなど、豊富な経験を持つベテラン医師。西洋医学に加え東洋医学の漢方薬で対応するなど、双方の良い部分を組み合わせたオーダーメイドな医療を提供するほか、食生活の見直しに関するアドバイスにも力を注いでいる。患者本来の治癒力や生命力を引き出すような治療を大切にする神畠院長から、診療へのこだわりや患者への思いをたっぷりと聞かせてもらった。
(取材日2025年2月19日)
西洋医学での不足部分を東洋医学で補完
これまでのご経歴と、開業されたきっかけをお聞きします。

和歌山県立医科大学卒業後は、地元の大阪に戻り、大阪大学の医局に入りました。その後は市民病院で7年間働いた後、大阪大学に助手として戻って勤務。当時、大阪大学でお世話になっていた先生から、富田林病院に部長として行くように言われました。当初は部長なんて務まるか不安でしたが、5年間で手術件数もそれなりに担当し、思った以上の実績を残すことができたと思います。富田林病院に勤めていた頃に結婚し、2人の子どもに恵まれたのですが、仕事と育児の両立は非常に大変でしたね。母の力を借りながら、なんとか成り立っていた日々でした。体力的にもギリギリでしたし、友人からの勧めもあり、開業を決心。幼少期を過ごし、慣れ親しんだ地域の物件にご縁があり、2002年にこの「かみはた耳鼻咽喉科」を開業しました。
患者さんはどのような方が多く来られているのですか?
副鼻腔炎など鼻の病気、難聴や耳鳴り、めまいなどのご相談のほか、原因ははっきりしないけれど何らかの不調を感じる不定愁訴にお悩みの方も少なくありません。そういった症状には、西洋医学の薬よりも漢方薬のほうが適している場合も多いです。西洋医学にとどまらず、東洋医学を組み合わせた治療を行うことで、根本から治すことをめざしています。患者さんの一番弱いところをサポートし、「どうして治らないんだろう」という悩みを解決できるよう、症状や希望に寄り添う処方を心がけています。
患者さんとのコミュニケーションにおいて、意識されていることはありますか?

勤務医時代は上司の先生から「患者さんを親戚だと思って診察しなさい」と言われていました。私もそう意識して診療にあたってきましたが、実際には患者さんと自分の間に見えない壁のようなものが存在していたと思うんです。ですがだんだん年齢を重ねてくると、意識せずとも患者さんとは以前からのお知り合いのような感覚で接するようになり、私が感じていた壁はなくなっていました。親戚のおばちゃん感覚で気軽にご相談にきていただければうれしいですね。医師という立場を取り払って、立ち話をしているような感覚で聞いてみたいことは素直に聞いてみると、患者さんも本音で話してもらえることも多いことを実感しました。診療がしやすくなりますし、患者さん自身も素直な気持ちを話すことで、自分の状態に気づくきっかけになるのではないかと思います。
病は気と食事から。本来の治癒力を高めような診療を
漢方薬も処方されているのですね。

はい。勤務医時代は、日々の診療や手術、勉強と、目の前のことへ力を注いできました。一方で、西洋医学での治療で改善が見込めない患者さんに対し、西洋薬を出し続けることに疑問を抱いていたんです。さらに開業後は、抗生物質を処方しなければならない状況が圧倒的に多くなり、例えば難治性の中耳炎を患っているようなお子さんに、強い抗生物質を出さなければならないことにも息苦しさを感じていました。そんな時に出会ったのが、漢方薬の存在でした。抗生物質など西洋薬を使用せずに、漢方薬だけで治療できる症例があることを知った時に、空からパッと光が差すような希望が湧いてきたんです。それからは、漢方薬の勉強をしながら取り入れるようになりました。医師となってから年月を経るほど、より自然体で診療に取り組めるようになってきたことをうれしく思っています。
食生活のアドバイスも行われているとお伺いしました。
耳鼻科領域では耳の湿疹や花粉症、アレルギー性鼻炎、鼻血、難聴、めまいなどの症状をはじめ、体の不調の根底には生活習慣が密接に関わっていることから、食生活の見直しに関するアドバイスも積極的に行っています。小麦や砂糖、乳製品など、明治以降に日本へ入ってきた食べ物は、多くの日本人の体質に合わないともいわれています。「病は気と食事から」。食事の取り方などを記載した自作の資料も患者さんにお渡しし、参考にしていただいています。
診療にあたり大切にされていることを教えてください。

人間が本来持つ治癒力の向上につながるという漢方の特徴を大切にしながら、患者さんにもご自身の治癒力に気づいてもらえるような声がけをするよう心がけています。不安をあおるメディアの情報をそのまま受け取って、過剰に心配されてしまう方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。ですが、「病気だから駄目だ」と思うのではなく、自分の免疫を自覚し信じることで、湧き出る力もあると私は考えています。
自身の免疫力を信じ、強い気持ちで向き合ってほしい
ところで、先生はどのようなきっかけで医師をめざされたのですか?

小さい頃から医師になろうとは、特に思っていませんでした。普通に近隣の小学校、中学校に行き、テニスをして体を動かして、という子ども時代を過ごし、将来について深く考えた記憶はありません。ただ、幼稚園の頃から友達に包帯を巻いてあげるのは好きでしたね。また、小学校の時には、保健委員を積極的にやっていたのを覚えています。高校に入ってから、母から「女性が自立するためには、手に職を持つべきだ」と言われました。母は専業主婦でしたので、きっと我慢することが多かったのでしょうね。娘には手に職を持ってほしいと考えたようです。その勧めもあり、医学部をめざして勉強するようになりました。
スタッフの方々への想いもお聞きしたいです。
長く勤めてくれているスタッフも多く、いつも助けられています。院内にはスタッフの笑いが絶えず、個々の持ち味を生かしながら、楽しく仕事を全うしてくれているように感じています。「笑いは祓(はら)い」と言いますしね。明るい雰囲気なので、患者さんにもリラックスした気持ちでいらしていただけるのではないでしょうか。
最後に、読者に向けてメッセージをお願いします。

毎日、クリニックで患者さんとお話しできることが楽しく、来院してくださる方々にはありがたい気持ちでいっぱいです。今後も漢方薬の知識をさらに深め、患者さんに還元していけるよう、後悔のないよう取り組んでいきたいと思います。患者さんには、病気を治そうとするご自身の免疫力のパワーを、もっと信じてあげてほしいですね。すぐに治ると思って治らないとストレスを感じてしまい、それが治療の妨げになるので、「治った気になる」ことも大切です。ぜひ、強い気持ちで病気と向き合っていただきたいと思います。何かお困り事があれば、お気軽にいらしてくださいね。お待ちしております。