その人らしい生活をサポートする
ペインクリニックの治療とは
かじはらペインクリニック
(坂出市/坂出駅)
最終更新日:2025/03/28


- 保険診療
「かじはらペインクリニック」は、全国的に見ても数少ない、入院施設を持つ個人開業のペインクリニックだ。同院では日本ペインクリニック学会ペインクリニック専門医である梶原秀年先生が、さまざまな「痛み」の緩和治療に取り組んでいる。頭痛や肩凝りから腰痛、がん性疼痛まで、治療の対象となる「痛み」は多岐にわたるが、「まずは痛む部位を専門領域とする医師に、痛みの原因を追究してもらうべき」と梶原先生は語る。同一グループの整形外科、循環器内科クリニックとも連携を取りながら、痛みの原因を追究した治療を提案し、さらにターミナルケアを含めた入院治療にも随時対応。「誰もが痛みから解放され、その人らしい生活を送れるように」と、患者想いのサポートを続ける梶原先生に、ペインクリニックの治療について詳しく解説してもらった。
(取材日2025年2月12日)
目次
原因を追究した上で、残された痛みからの解放をめざす
- Q頭痛や肩凝りで、ペインクリニックに行ってもいいのでしょうか?
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A
▲一般的な頭痛や肩凝りも、ペインクリニックの受診理由となる
もちろんです。頭痛は片頭痛や筋緊張型頭痛など種類が多いため、当院では頭痛の種類に合わせた治療法を選んでいます。朝晩の飲み薬を処方したり、痛む箇所の神経や神経付近に注射を打つ、神経ブロック療法を組み合わせたり。方法はさまざまです。肩凝りに関しては、その仕組みを踏まえた治療が必要です。肩や首の筋肉が収縮し、緊張状態に陥って血流が滞ると、そこに痛みが生じます。痛みが生じると、筋肉はさらに収縮して血流が滞り、痛みが強くなります。この痛みに直接働きかけるのが、神経ブロック注射です。神経ブロック注射を打てば、滞った血流の改善も期待できますので、痛みの除去と、痛みの悪循環の断絶を同時にめざすことができます。
- Q腰痛がある場合に、ペインクリニックで受けられる治療とは?
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A
▲神経ブロック注射を基盤とした治療を実施する
従来の腰痛は原因がはっきりしないものが多かったのですが、昨今は高確率で原因を診断できるようになりました。骨が変形して痛むのか、神経が圧迫されて痛むのか、軟骨が痛むのか、関節が痛むのか。問診やエックス線、MRI検査などである程度、原因を絞ってから数種類の神経ブロック注射を選択し、反応を見ます。より長期的な鎮痛作用を期待して、ブロック注射の針先から神経に熱を加える高周波熱凝固治療や、パルス高周波療法を組み合わせることもありますね。椎間板ヘルニアなどで神経が圧迫されている場合には、椎間板まで針を刺して髄核の摘出を図る経皮的髄核摘出術などを検討します。いずれも患者さんの身体的負担に配慮した治療法です。
- Q帯状疱疹の治療も行うと聞きました。
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A
▲帯状疱疹は、発症から3ヵ月までが勝負。早期治療を心がける
帯状疱疹においても、治療は神経ブロック注射が中心です。急性の激しい痛みがある方は、早めに神経ブロック注射を打ちましょう。発症から1ヵ月程度、痛みが消えないという方にもこの注射がお勧めです。体は痛みを感じれば感じるほど、その痛みを記憶してしまいます。そして記憶された痛みは、治療が終わった後も後遺症として残りやすいのです。帯状疱疹の場合は、発症から4ヵ月が過ぎると痛みが残りやすくなります。6ヵ月以上放置されれば、もう神経ブロック注射をしても症状の改善は望めず、飲み薬で痛みの緩和を図るしかありません。目安は、発症から3ヵ月までです。当院ではそれまでに治療を受けてほしいと、積極的に呼びかけています。
- Qがんの痛みの治療も可能なのでしょうか?
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A
▲良い意味で医療機関らしくない、居心地の良い入院施設を用意
2階にある19床の入院施設では、がん患者さんの全身管理をしながら、医療用麻薬を用いてがん性疼痛の管理にあたることが可能です。薬は飲み薬が中心ですが、中にはテープ状の貼り薬も存在します。吐き気やめまい、ふらつき、便秘といった副作用に配慮しながら使用量を増やし、がんの強い痛みの軽減に努めます。患者さんのご容態は日々変化しますので、薬の使用量は常に繊細にコントロールしなければなりません。と同時に、その時々の患者さんの精神状態を理解して、その人の尊厳を守りながら言葉や対応を選ぶ必要があります。そうやって、最後までその人らしい時間を過ごせるようにプロデュースする。それが私たちのめざすターミナルケアです。
- Qペインクリニックを受診する時の注意点があれば教えてください。
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A
▲まずは痛む部位を専門に診る医師に、痛みの原因を追究してもらう
初診の方に対しては、「その症状は他の科で詳しく調べてもらいましたか?」とお尋ねしています。ペインクリニックは、過剰な痛みの除去を図る場所です。原因もわからないまま、私たちがその痛みを取り除こうとするのは、患者さんのためにもならないと思っています。まずは整形外科や内科などで痛みの原因を追究し、原因となる疾患が判明したら、その治療を優先的に行うようにしてください。原疾患の治療を行っても痛みが残ったり、原疾患の治療そのものが難しいと判断されたら、その時は私たちの出番です。当院は整形外科の兄、循環器内科の弟と近接地で連携していますので、この便利な環境下で、痛みの治療に取り組んでいただければと思います。