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山田雄弘 院長の独自取材記事

越谷こころクリニック

(越谷市/越谷駅)

最終更新日:2023/03/20

山田雄弘院長 越谷こころクリニック main

越谷駅を降りて西口ロータリーに出ると、右手前方に「越谷こころクリニック」の黄色い看板が目に入る。階段を上って2階の扉を開けると、目の前に受付。山田雄弘院長の趣味だという大小さまざまなフィギュアの並ぶ待合室は、いい意味でクリニックらしくなく、訪れる方たちにとっても安心できる場所ではないだろうか。子どもの受診も少なくないという理由も頷ける。山田院長は、相談者の話を聞きつつ、言うべきことは言うメリハリのあるアドバイスをしてくれる先生だ。肩肘を張らない話し方も、相談者の安心につながっているのだろう。クリニックでは、「来てくださる方がいる限り、続けている」という院長に、診療にかける思いを伺った。

(取材日2015年6月25日/情報更新日2023年2月9日)

始めたからにはやり遂げる。すべてに通ずる精神で診療を続ける

先生が医師をめざしたきっかけを教えてください。

山田雄弘院長 越谷こころクリニック1

正直にいって、進路を決めたころは、医師をめざそうと思ってこの道を進んだわけではありませんでした。父が医師だったので、周囲からならなきゃいけないような空気に反発していたというのが大きかったのだと思います。ただ、その時の僕には他に「なりたくて仕方がない」と思えるものがなかったのです。それでもやはり医療系に進むのは、自分の中で大きな葛藤でした。大学に入ってからもアルバイトなどをしながら進む道を探し、ずいぶん迷走していたように思います。だけど、そのアルバイト生活の中で、アルバイトだろうと正社員だろうと、始めたからにはしっかりやり遂げていかなければいけないと学びました。最終的に医師になることにしてからも、その精神は自分の中に生きているつもりです。始めたからにはやり遂げる。どんな仕事でも大切なことですが、僕が医師を続けていく大きな理由はそこにあります。その上で、微力ながらここにいらっしゃる方たちの力になっていければうれしいですね。

長年、病院に勤務されていた先生が、開業を決意したきっかけは何だったのでしょうか。

当時、僕は病院を辞めようか悩んでいる時だったんです。それまでの自分は、開業を一度も考えたことがなかったのですが、知人からのお話を聞いているうちに、開業してみようと思えるようになりました。病院の勤務医と開業医のどちらが自分に合っているかは、今でもわかりません。でも、医師を始めた時から心に決めている、「始めたからにはやり遂げる」の精神で、開業から7年半、診療を続けてきました。

先生の診療モットーを教えてください。

山田雄弘院長 越谷こころクリニック2

いつも意識しているわけではないのですが、「今日うまくいかなくても、明日の歩みを止めないこと」を実践していたいと思います。お1人お1人と対応し、症状改善のため、また病状や内面について理解を深めていくのは……限りある時間の中ですべての方とし続けていくのは困難な事が多いです。でも、僕が立ち止まってしまったら、当院にいらしてくれているすべての方と向き合えないままになってしまいます。仕事だからと言ってしまうと身も蓋もないかもしれませんが、毎日ある“何か”を乗り越えて、明日もクリニックに来る。それが僕の診療スタンスです。

「ありがとう」と言われるその一瞬が喜びであり、医師としての誇り

ご相談者の方たちと接する時、どのようなことを心がけていますか?

山田雄弘院長 越谷こころクリニック3

ここにいらっしゃる時は、医師と一人の相談者です。でも社会に出れば、社会の中の一人の人間。その方一人だけを見てご相談を受けていると、間違ったアドバイスをしてしまう可能性が高まります。その方が悩まれている背景には、必ず他者や社会の関わりがあるでしょう。ですから、できるだけ社会情勢や時事などを踏まえて、ご相談が受けられるよう心がけています。精神科の仕事は、教科書を読んでいるだけでは成立しません。もちろんすべてを把握できるわけではありませんが、人と関わり、世の中の動きに敏感になりながら、診療を続けていきたいと思っています。

ご相談を受けるお悩みの傾向はありますか?

児童から、80・90歳代の方々まで、様々な年代の方々が当院にいらっしゃいますが、最近目立つなと感じるのが、職場や家庭内でのパワーハラスメント、モラルハラスメントがきっかけになっている相談です。正直言えばテレビなどのメディアでその言葉を報道されることが多くなり番組を見ていると、言葉だけが一人歩きをしていると感じることも時々ありますが、これだけ話題になりながら、減っていかないのは、それは会社や家庭というものが、結局は内輪だけの閉じた世界だからなのでしょう。狭い世界の中にいると、何か問題があっても「そういうもの」として片づけられがちですよね。その環境がある人にとってはとても大きな負担になるものの、「そういうもの」だから誰にも相談できないという悪循環を生んでしまっているのです。当院ではそういったご相談に対し、治療ももちろんしますが、環境へのアプローチをお話することが多いです。ご相談者の環境を変えてあげられれば一番ですが、それを医者とはいえ、外部の人間が必ずできますとは言えません。だけど、モラルを欠いた当たり前になっている環境に、歯止めをかけられる存在が、精神科医なのかもしれません。ご相談を受けることで、少しでも皆さんの助けになる何かをお渡しできればうれしいです。

精神科医になってよかったと思う瞬間はありますか?

山田雄弘院長 越谷こころクリニック4

やはり「ありがとう」と言われる時です。心療内科の疾患の治療、お悩みはその性質上1回の受診だけで劇的な改善をみることが多いとは言えませんがそれでも根気強く通院していただいた方から「ありがとう」と言われることに対する気持ちはこの仕事を始めた時から変わりません。「ありがとう」……その言葉は僕たち医師にとってとても貴重なもの。何の変哲もない言葉といえばその通りですが、僕にとってはその一言がとても大きく温かな言葉に感じられるのです。

移り変わる時代の中でも、変わらぬ信念で診療を続けて行く

先生のご趣味を教えてください。

山田雄弘院長 越谷こころクリニック5

長く続けてきた趣味といえば、ダンスです。スタジオに通い出したのは約20年前。学生のころから遊びでダンスのまねごとをするのが好きで、それならきちんと習ってみようと思ったのがきっかけです。それから、なぜか続いています。僕は少し飽きっぽいところがあって、趣味もあまり長続きしたことがないんです。生涯で長く続けてきたと思えるものは、仕事とダンス、待合室に並んでいるフィギュア集めくらいですね(笑)。僕にとってのダンスの魅力は一言で表わしづらいですが、でもとにかく出来ないところがあると悔しいし、そして先生の踊っている姿を見れば憧れますし、自分ももっと格好よく踊りたいと思います。また、努力した成果を褒められた時、自分でも納得できる動きができた瞬間などの大きな喜びが、またダンスを頑張りたいという意欲に繋がっているのです。

クリニックの今後の展望を教えてください。

こんな言葉を使うと、消極的に思われるかもしれませんが、今のスタイルの診療を続けること、要するに「現状維持」をすることが一番の目標です。どんなに止まってほしいと願っても、時代は必ず移り変わります。その変化の中で、時間の限りお1人お1人のそれぞれの相談にのっていく……それが理想であり、そしてそれが今もこれからも課題だと思っています。例えばなのですが、頼まれることを全て引き受けてしまう方々、頑張りすぎて具合いを悪くされた方に僕がよく使う言葉の1つなのですが、「1日はどんなに努力しても24時間から増えることはありません」。これも当たり前のことかもしれませんが、人間は追いつめられると、このことを忘れがちになります。この言葉を使う時、僕はそれを自分自身にも問いかけます。これ以上活動範囲を広げても、お1人お1人に毎日充分な診療は行えませんから、クリニックの外に向けて何かをするつもりはありません。今以上に特別な診療に目を向けるのではなく、一日いちにちを着実に積み重ねて、ご相談にいらっしゃる方と向き合っていきたいと思っています。

最後に読者へメッセージをお願いします。

山田雄弘院長 越谷こころクリニック6

ストレス社会といわれる現代で、多かれ少なかれ皆さんがお悩みを抱えていらっしゃると思います。身近に相談できる方がいることで、ご自分で答えを見つけていける場合もあるでしょう。しかし、もしどなたに相談していいかわからない、相談できる方がいないと感じていらっしゃる方がいるなら、できる限りお力になれるよう努めていきます。一緒にお悩みについて考えていくことで、自分一人では思いもよらなかった解決のきっかけが見つかるかもしれません。解決できる方法や相談する相手として当院がここにあることで、皆さんの助けになる選択肢の一つとなれれば光栄です。

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