渡邉 真紀子 院長の独自取材記事
指扇駅前 はやし眼科クリニック
(さいたま市西区/指扇駅)
最終更新日:2025/09/11

2005年、JR川越線・指扇駅南口を出てすぐの場所に開業した「指扇駅前 はやし眼科クリニック」は、今年2025年で20周年を迎えた。「実はこの場所は私が生まれ育った場所なんです。自分を育ててくれたこの街に、医療という形で恩返しをしたくて、開業するのであればここしかないと決めていました」と語る渡邉真紀子院長。大学卒業後、大学病院や地域の眼科クリニックで幅広く臨床経験を積み、開業後は子どもから高齢者まで年齢を問わず、患者の「目の健康」を支えている。一般眼科診療はもちろん、弱視や斜視などの小児眼科、白内障や加齢黄斑変性症にも対応。近年では、「目から健康寿命を延ばす」ことを目標に、予防医療にも注力しているという。そんな渡邉院長に、同院の取り組みなどについてじっくりと聞いた。
(取材日2025年8月19日)
生まれ育った場所で医療貢献したいと開業して20年
20周年おめでとうございます。まずは開業までのご経歴を教えていただけますか?

あっという間の20年でした。大学卒業後は帝京大学医学部附属病院で研修医として勤務しました。そこでは一般的な眼科診療だけでなく、弱視や斜視といった小児眼科の症例にも多く携わることができました。その後は埼玉県内の中小規模病院で勤務医として臨床経験を積みました。その中で多くの白内障手術を経験する機会に恵まれ、技術をしっかり身につけることができました。この期間に学んだことは、現在地域の皆さんの診療を行う上でとても役立っていますね。その後、2005年に開業に至るわけですが、もともと指扇は私が生まれ育った街です。ここは私の実家であり、母が長年薬局を営んでいた場所でもありました。私自身も幼い頃はよく店にいて、働く母の後ろ姿を眺めていました。ですから、「開業するのであればまったく知らない土地ではなく、愛着の深いこの街で」と考え、開業に至りました。
医師を志した経緯と眼科を専門に選ばれた理由をお聞かせください。
薬剤師として働く母の背中を見て育つ中で、自然と理系に進むことを決めていました。ただ、自分の知識や力で社会に貢献したいという思いが強く、最終的には医師の道を選びました。眼科を選んだのは、学生時代の眼科病院実習の際に、白内障手術に立ち会ったことがきっかけです。術後の診察の際に、患者さんが「見えるようになった」と感動していた姿がとても印象的で、このように患者さんを救える手術を手がける眼科に惹かれ、この道に進むことを決意しました。
この20年で眼科医療や患者さんのニーズに変化はありましたか?

一番感じているのは近視の低年齢化です。この20年で、隣駅の西大宮を中心に指扇も開発が進みました。駅前には大きなマンションが建ち、新しい住宅街もできて、若い世代のご家族が増えたと感じています。私が学校医として検診を担当している小学校も、1学年5~6クラスほどあります。そうしたお子さんを診察する中で、開業当初に比べて近視の子どもが増えていることが気になるようになりました。今は授業でもタブレット端末を使い、ゲームやパソコン、スマートフォンの操作など、目を酷使する場面が多くなりました。仕方のない面もありますが、やはり視力は大切にしてほしいと思います。現在、近視の進行を抑えるための点眼薬を導入するクリニックも増えています。当院でも自由診療で対応していますので、気になる方はぜひ相談していただきたいですね。
健康寿命を「目」から延ばすことをめざして
予防医療にも積極的に取り組んでいると伺いました。

眼科に限らず他の診療科でも同じだと思いますが、病気を未然に防ぐことが健康寿命を延ばすことにつながります。体の健康診断を積極的に受ける方は多い一方で、眼科の健康診断を受ける機会はなかなかありません。ただ「見る」ことで、目から情報を得ることで脳が刺激され、生活が活性化したりする可能性もあります。そうした意味でも、少しでもおかしいと感じたら気軽に来院し、相談してほしいと思っています。特に、手術による治療が可能な白内障と違い、緑内障は初期症状がほとんどありません。症状の進行を食い止め、回復不可能な視力の喪失を防ぐためにも、定期的な検査で早期に異常を発見し、適切な治療を始めることが重要です。早期発見・早期治療のため、3次元眼底解析装置であるOCT(光干渉断層計)をはじめとした先進の検査機器を導入し、加齢黄斑変性症については、この装置によって発症前の段階での診断が可能になりました。
白内障では日帰りでの手術も行われているそうですね。
目は、加齢に伴いピント調整力が衰えたり、水晶体が濁る白内障を発症したりと、誰しも避けられない変化が起こる感覚器官です。実際、80代ではほとんどの方が白内障に罹患するといわれています。しかし、視力の改善を目的とする手術があるとわかっていても、実際には踏み出せない方も少なくありません。見え方には大きな個人差があるため、無理に手術を勧めるのではなく、それぞれの希望に寄り添いながら治療をご提案するようにしています。日帰りでの白内障手術を導入したのも、その一例です。「仕事が忙しい」「家事やペットの世話で長く家を空けられない」といった事情で入院が難しい方にも安心して受けていただけます。患者さんの暮らしや想いに合わせて丁寧に対応できることこそ、地域の診療所ならではの強みだと考えています。
院内の雰囲気を教えてください。

私をはじめ、スタッフも全員が女性なこともあり、院内はとてもアットホームな雰囲気です。開業当初から支えてくれているスタッフを含め、皆とても仲が良く、万全のチームワークで診療と向き合っています。また、介護の資格を持っているスタッフもおり、ご高齢の方や歩行が困難な方もサポートさせていただいております。目の症状や病気のことで不安なことがある際には、スタッフにお声がけいただければ、すぐに私に共有されますので、誰にでも遠慮なくご相談ください。
充実の医療設備と寄り添う診療で疾患の早期発見を
その他の診療内容についても教えてください。

当院では、糖尿病網膜症や眼底出血に対するレーザー治療、加齢黄斑変性症に対する抗VEGF療法も行っています。また、まぶたの筋肉が急に縮み目が開けにくい状態になる眼瞼(がんけん)けいれんという疾患について、ボツリヌス毒素製剤を用いた対処療法を実践しています。院内で対応できることについては丁寧な診療を心がけていますが、より高度な医療機器が必要なケースについては、近隣の大学病院などを中心に、病診連携で対応しています。また、地域の大きな眼科専門クリニックとも連携しており、お待たせすることなく治療を受けていただくことができますので、安心して頼っていただきたいですね。
目の不調で来院されて、他の病気を発見されることも多いのですか?
そうですね、目に症状が現れる脳や内臓の疾患も少なくありません。「なんとなく見えづらい」と来院された方の検査を進める中で、視野に欠けがあることが判明し、脳疾患を疑って提携先の病院を紹介したところ、脳梗塞や脳腫瘍などが発見されるケースもあります。間接的に早期発見・早期治療につながることもありますので、ちょっとしたことでも目の不調を感じたら、受診していただきたいです。
最後に、読者の方へのメッセージをお願いします。

目の健康を守るためだけでなく、少しでも不安を和らげ、笑顔になっていただけるような診療を心がけています。手術についても、患者さんの不安な気持ちはよくわかります。どんな相談にも丁寧に対応しながら、一番適した治療を提案することが私の目標です。目の違和感には、目の病気だけでなく別の疾患が隠れていることも少なくありません。健康を長く保つためにも、予防は欠かせないと考えています。「こんなことで病院に行っても良いのか」と思うようなことでも、気軽に相談してほしいですね。
自由診療費用の目安
自由診療とは近視抑制点眼薬/4380円~