佐藤 匡世 院長の独自取材記事
くさかり眼科
(浦安市/新浦安駅)
最終更新日:2025/05/30

千葉県の海沿いの街としても知られ、ファミリー層も多い新浦安。都心へのアクセスも良好なJR京葉線新浦安駅から至近にあるのが、この街で20年以上続く「くさかり眼科」だ。院長の佐藤匡世先生は開業以来、地域密着のクリニックであることにこだわり、現在では家族4世代で来院する人もいるなど、地域の“目のホームドクター”として歩んできた。また、日々の診察の他に力を入れているのが近視矯正治療だ。自費診療となるが、母校とも連携しながら若年層を中心とした視力低下の問題に取り組んでいる。その他にも診察で大事にしていることや、近い将来やってみたいことなど、さまざまな角度から地域医療への思いについて語ってもらった。
(取材日2025年3月28日/情報更新日2025年5月28日)
近視治療に力を注ぐ、地域の眼科クリニック
まずはこれまでの経歴と、眼科の医師をめざした理由を教えてください。

1990年に北里大学医学部を卒業した後、東京医科歯科大学(現・東京科学大学)の眼科学教室に入局しました。そこで2年の研修を受けた後は、同大学の大学院に入って近視についての研究をしていましたね。博士号の学位を取った後もしばらく残っていたのですが、2002年に独立し、ここで開業しました。実は最初、眼科ではなく内科の医師をめざしていたんですよ。ですが眼科の研修で白内障手術などの手術を見た時に、結果が明確に出やすい外科的な領域もいいなと思ったのです。内科と外科、どちらもやってみたくなった私にとって、それぞれからのアプローチができる眼科は理想的でした。
眼科の中でも、近視進行抑制治療に力を入れていらっしゃるとお伺いしました。
そうですね。東京医科歯科大学(現・東京科学大学)にいた頃、医局に強度近視の外来があったことや、私の主な研究テーマが「近視発生のメカニズム」だったことから、近視治療にも取り組むようになったのです。ですが当時は、近視に対する治療法で有用なものはほとんどなく、視力が悪化した場合は主にメガネやコンタクトレンズなどで補整するという方法を取っていました。ただ医療は日々進歩し続けています。より良い治療を患者さんにお届けするためにも、今も私がいた医局とも連携を取りつつ勉強会などに参加して、常に先端の知識を得ようと努めています。
こちらで対応している近視治療にはどのようなものがありますか?

角膜の形状変化を促す目的で、就寝時に装用する専用コンタクトレンズを取り入れています。寝ている間につけていれば、日中は裸眼で過ごす生活が望めるでしょう。このコンタクトレンズは小学生から装用可能です。一方でネックとなるのは、保険適用外で自費診療になることです。ですから基本は、ご希望される方に提供するという形を取っていますね。また夜間装用のコンタクトレンズについては、詳細な検査や装用訓練などのために時間が必要なため、事前の予約をお願いしています。近視の進行具合や目の状態によってはこの治療を行えない場合もありますので、まずは相談に来てください。コンタクトレンズの処方以外には、1日2時間の野外活動を推奨するなど、近視進行の抑制につながる過ごし方をお伝えしています。他にも、最近なら小児期の近視進行抑制に役立つものとして期待されている低濃度アトロピン点眼薬にも注目していますね。
診療体制を整え、地域のニーズに幅広く応えていく
こちらの診療体制を教えてください。

私の他に3人の医師に在籍してもらい、基本的に午前は2人体制で診療を行っています。医師が複数いるので、より多くの患者さんを診察できるのに加えて、何かあれば相談や意見交換が可能です。そのことから客観的に診やすくなり、偏った診察になりにくいというのが当院の強みでしょう。またスタッフには受付や検査員、視能訓練士、看護師がいます。スタッフのメンバーは開業当初から大きく変わっていないのが特徴です。長い付き合いなので診察はスムーズに運びますし、患者さんにとってもいつも同じ顔ぶれが受付や検査を行っているので安心感があると思います。
クリニックの設備についてはいかがでしょうか。
地域の方に何かあった時に何でも対応できるようにという思いから、設備はひととおりそろえており、ないのは手術室ぐらいですね。以前は、都内の病院で私が白内障手術などを執刀していたこともあるんです。ですが現在は近隣の眼科でやっていらっしゃる所がたくさんあることから、地域の病院や知り合いの先生などと連携を取るようにしています。必要に応じて、白内障や斜視といった内容に合わせて専門としている医師がいる施設をご紹介しているのです。場合によっては、近くの順天堂大学医学部附属浦安病院といった、大きな病気をご紹介することもあります。こうした体制は、いわば医療連携といえるかもしれませんね。手術をお任せする分、私は患者さんのために新しい挑戦をしたいと考えているところです。
新しい挑戦とは、どのようなことを考えていらっしゃるのですか?

何をやるかはまだはっきりと決めていませんが、さらに地域医療に徹していきたいと思っています。当院は20年以上地域で診ているので、通ってくださっている患者さんが体力の衰えなどで通院できなくなるといったケースも出てくるでしょう。他にもさまざまなニーズを患者さんからお聞きしているので、可能な限りフォローできる体制を整えたいですね。ただ実現のためには、場合によっては設備・機器をそろえる必要がありますし、新しい取り組みを始める時間はあるのか、そもそも私の体力的にどれくらいできるのかなど、検討しないといけないことがたくさん。ですからまずは、できることから少しずつ始めていく予定です。
コミュニケーションを通じて、適切な診断の糸口に
ちなみにこちらには、どのような患者さんが来られているのでしょうか?

地元の方が中心ですね。開業してから20年以上たちますので、今では家族3世代、4世代を診るといったこともあります。地域の皆さんの“目のホームドクター”であるというのが私の理想なので、ずっと通っていただけるのはうれしいです。またこのエリアはオフィスも多いので、会社勤めの方もよくいらっしゃいます。他には近くにテーマパークがありますので、旅行中の方が急な目のトラブルで来られることも多いです。年齢層は幅広く、0歳から高齢の方までさまざま。中でも、当院では近視の進行を抑える治療に力を入れていることと、近年近視の若年化が進んでいることから、子どもの受診が増えてきたと感じています。
診察の際に大切にされていることは何ですか?
患者さん第一であることですね。その一環として、患者さんの表情をよく見ながら、お話をしっかり聞くという姿勢を大事にしています。会話では目のことだけではなく、今何か他の治療をしているかということをはじめ、目以外に不調はないかといったことや、普段の生活状況なども聞くようにしていますね。なぜなら何げない話が、目の症状のヒントにつながっていることもあるからです。実際、関節リウマチの症状としてドライアイになったり、がんの治療中で抗がん剤を使っているとその影響で涙管がつまったりなど、他の病気や治療によって目にも弊害が出てくるケースがあります。そうしたことも踏まえながら適切な診断につなげるためにも、コミュニケーションは必要だと感じていますね。また診察・検査・治療の際は、患者さんになるべく不安感を与えないように気をつけています。
最後に、患者さんへのメッセージをお願いします。

見えづらい、違和感があるなど目について気になることがあればいつでも気軽に来ていただきたいです。受ける科を迷われている方も相談に来てください。適切な科を紹介させていただきます。とりあえず来たということでも全然構いません。また子どもは目の変化を学校健診などで早期に見つけやすいのですが、大人はそうした環境にない上に、40代頃から白内障や緑内障の発症リスクが上がってきます。そのことから、日頃健康診断などを受ける機会がない方は、異常を感じなくても一度眼科で検診を受けていただきたいです。当院がめざしているのは、長く患者さんと寄り添えるような地域の皆さんのホームドクターになること。そのために日々勉強し、新しい知識を得られるように努めていますので、頼っていただけるとうれしいです。待ち時間が長くなってしまうこともありますが、患者さん一人ひとり向き合いたいと考えておりますので精一杯サポートさせていただきます。
自由診療費用の目安
自由診療とは近視進行抑制点眼薬/3630円~、オルソケラトロジー両眼(レンズ代含む)18万円~、片眼(レンズ代含む)/9万円~