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山本 眞実 院長の独自取材記事

やまもと耳鼻咽喉科

(仲多度郡琴平町/榎井駅)

最終更新日:2024/09/06

山本眞実院長 やまもと耳鼻咽喉科 main

「こんぴらさん」の愛称で親しまれる金刀比羅宮が鎮座し、日本全国から参拝者が訪れる琴平町。その変わらない街並みに溶け込む「やまもと耳鼻咽喉科」は、院長の山本眞実先生が2007年に開業した、耳・鼻・喉・口のかかりつけ医だ。耳鼻咽喉科の医師が限られるこのエリアで、山本院長は約20年間、患者を第一とした医療を届けてきた。「標準治療を受けられる耳鼻咽喉科として、これからも地域のインフラを支えていきたい」。弾ける笑顔でそう話す山本院長を取材した。

(取材日2024年7月18日)

患者の経済的・時間的負担を少しでも軽くしたい

先生が医師を志したきっかけを教えてください。

山本眞実院長 やまもと耳鼻咽喉科1

高校2年生の時のことです。私は大学まで進学できる私立高校に通っていたんですが、学校生活に物足りなさを感じてしまって、「夏休みはペンションで住み込みのアルバイトがしたい」と両親に相談したんです。考え込んだ父から結果的に紹介されたのは、父の知り合いが働く特別養護老人ホーム。富士山の麓にあるその施設で、初めてのアルバイトを経験しました。職員さんの指導を受けながらおむつ交換やベッドメーキング、利用者さんの話し相手などをしていると、自分のような見習いの高校生でも「ありがとう」と言ってもらえることがうれしくて。介護や医療の現場で働く楽しさを知ることができました。と同時に、家庭の事情で働いている同い年の人から「高校に行けていいね」と言われたことで、それまでの甘えた自分にも気がついたんです。この夏休みの体験がとても強烈で、医学部受験を決意しました。

開業に至った経緯も伺いたいです。

滋賀医科大学時代に結婚を決めて、卒業後は夫の職場が近かった岡山大学病院の耳鼻咽喉科に入職しました。耳鼻咽喉科の医師を選んだ大きな理由は、父もそうだったからです。岡山を出た後は出産を経験しながら香川県内の総合病院に勤務し、2007年の6月に開業。約4ヵ月と短い準備期間でしたが、紹介の労を取ってくださる方があって、皮膚科のクリニックだった物件をお借りすることができました。使える設備はそのまま残していますし、機器も耳鼻咽喉科の医師の友人が使っていたものを多く譲り受けています。入り口にスロープをつけたり、トイレを洋式に改装したり、処置スペースを増築したりと開業後に少しずつ手を加えて、今のクリニックを作り上げました。待合室のカーテンやソファーの色は、知人のインテリアデザイナーさんのチョイスです。

予約制の導入には、強いお気持ちがあったとか。

山本眞実院長 やまもと耳鼻咽喉科2

患者さんの経済的・時間的な負担を少しでも軽くするために、診療の予約制を導入しました。例えば「お子さんが熱を出したので、迎えに来てください」と保育園から連絡があった時にその場で予約ができれば、迎えに行ったその足でも受診しやすいと思います。それに、時間をかけて来られた遠方の患者さんがさらに長時間待つのは、とても負担が大きいはずです。体調が優れない時はなおのことですから、クリニックの受付だけでなく、お電話やインターネットでも予約ができるようにしました。近隣の患者さんに対しては、「後で連絡を入れるので、一度おうちに戻られてもいいですよ」と伝えることもあります。そういった配慮は、これからも続けていきたいです。

丁寧な患者説明と、痛みの少ない診療を心がける

診療で大切にしていることは?

山本眞実院長 やまもと耳鼻咽喉科3

まずは丁寧な説明を行うことです。難聴の患者さんが来られた時は、付き添いの方にお話をしてしまいがちですが、それを避けるために、当院では文字起こしソフトを入れたタブレット端末を用意しています。外国籍の患者さんが来られた時には、翻訳ソフトも稼働。誰に対しても十分な説明ができるよう、努力しています。痛みの少ない検査や治療も、心がけていることの一つです。インフルエンザの抗原検査やファイバースコープ検査では、事前にスプレータイプの麻酔を行います。これは痛みに配慮するために必要な、小さな努力だと、かつての上司に教えられました。鼻の中にスプレーをして1分ほど待てば、患者さんはほぼ無痛で検査を受けることができます。中耳炎の治療では、クリニックとしては珍しい炭酸ガスレーザーを使用して鼓膜を切開する点も特徴です。この機器は短時間の処置で痛みの軽減が図れますから、小さなお子さんでも負担が少ないと思います。

力を入れている検査や治療について教えてください。

1つは禁煙治療です。耳鼻咽喉科のがんと喫煙には深い関係性がありますので、質の高い禁煙治療を心がけると同時に、中讃地域の中学校での出前授業を15年以上続けてきました。タバコを吸う前の若い世代に喫煙の危険性を伝えると、その話を聞いた親、祖父母世代の方々が禁煙治療のために来院されるケースもあります。2つ目は、睡眠時無呼吸症候群です。年齢や体型などはあまり関係がなく、本人もご家族も発症に気づいていないことが多いので、積極的に検査、治療を勧めています。ご自宅で行う簡易検査を希望される方は、当院までご相談ください。3つ目は、アレルギー性鼻炎の治療です。スギ花粉やダニのアレルギー性鼻炎と診断された方には、体質そのものの改善を目的として、県内でも早い段階から舌下免疫療法を提供してきました。

難聴の方も丁寧にフォローされていますね。

山本眞実院長 やまもと耳鼻咽喉科4

ヒソヒソ話が聞こえにくくなったり、聞き返すことが多くなったりしたら、それは受診のタイミングです。難聴の方は早期に補聴器を装用することで、認知症のリスクを減らせるともいわれています。慣れるまでには半年ほどかかりますが、当院では月に6回訪れる認定補聴器技能者が相談に応じた上で、補聴器を2週間お貸しすることが可能です。貸し出し後は私が間に入って使用感などを確認し、患者さんが標準よりも高額な補聴器を購入された場合には、販売業者さんに詳細な説明を求めます。ここまでコミットする医師は、少ないかもしれません。日本耳鼻咽喉科学会耳鼻咽喉科専門医の中でも、補聴器に詳しい医師が診察をして認定補聴器技能者に紹介状を書けば、それは医療費控除の対象となります。補聴器を検討中の方は、この事実をぜひ知っておいていただきたいです。

情報のアップデートを欠かさず、先進の医療を提供

最近、目立つ主訴はありますか?

山本眞実院長 やまもと耳鼻咽喉科5

「聴力検査の結果は正常なのに、雑音下では音が聞き取りにくい」という患者さんが増えています。これは聞き取り困難症、あるいは聴覚情報処理障害と呼ばれている疾患概念で、今まさに研究が進められている分野となります。SNSやメディアで取り上げられて以降、当院でも検査希望の方が増えました。また新型コロナウイルス感染症の感染拡大以降は、発熱症状がある方と、嗅覚・味覚障害の方も目立ちます。発熱患者さんにはさまざまな喉の所見がありますので、診察室で全員、喉を観察した上で必要な検査を実施しています。それから依然として多いのは、めまいの患者さんです。当院では赤外線を使ったモニター装置によって、眼球の特徴的な振動を捉える検査を行います。診断後は、病態に合わせた投薬治療と生活指導を選択。より良い治療を提供するため、中耳加圧療法という保険が適用されたばかりの治療法を提案することもあります。

院内での勉強会も行っていると伺いました。

エビデンスに基づいた、標準治療を行うことが大前提です。ここで言う「標準」は、「並」という意味ではありません。いわば松竹梅の「松」。現在、最も信頼性が高いと考えられている治療を指します。診療ガイドラインは頻回にアップデートされますから、スタッフ全員で最新の情報を共有し、知識を底上げするために毎月勉強会を行っています。新型コロナウイルスに対しても感染拡大の初期から勉強を重ねて、発熱患者さんは全員、受け入れてきました。「心配な時は来てね」と伝えている患者さんや、困っている町の方々を断るなんて、私にはできませんでした。ただ、一緒に働くスタッフの苦労は大変なものだと思います。嗅覚障害の方に対する嗅覚リハビリ、嚥下障害の方の嚥下リハビリ、めまいのリハビリも請け負ってくれるスタッフには、本当に感謝しています。

読者へのメッセージをお願いします。

山本眞実院長 やまもと耳鼻咽喉科6

声が枯れる、めまいがする、むせることが増えた、そんな時はまず耳鼻咽喉科へ。「風邪で声が枯れた」、「口内炎が1ヵ月以上治らない」、それも実は耳鼻咽喉科領域の疾患が原因かもしれません。喉頭を直接見ることができるのは、耳鼻咽喉科だけです。医療は日進月歩、常に進化を遂げています。皆さんも専門性を意識して医療機関を受診すれば、早く正確な診断と、質の高い治療につながるのではないでしょうか。

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