喘鳴や咳きこみが続くときは受診を
小児科で受ける喘息治療
あいはら子どもクリニック
(神戸市垂水区/垂水駅)
最終更新日:2025/05/15


- 保険診療
多様な要因から気管支が炎症を起こし、また気管支を取り巻く筋肉の収縮も伴い内径が狭くなり、呼吸がしづらくなる状態である喘息。多くは夜間や早朝に咳が続き、呼吸時に「ヒューヒュー」「ぜーぜー」という音が出る。子どもだと気管支が細く、喘息以外でも喘鳴症状が出やすいという。「あいはら子どもクリニック」の相原浩輝院長は「小児の喘息は非常に診断が難しい病気です。一過性早期喘鳴や非アトピック喘鳴、IgE関連喘鳴などさまざま。また症状がなくても実は喘息である場合もあります。風邪のたびに喘鳴がある、運動で息切れするなどの症状があれば一度受診してほしいです」と話す。小児喘息を患っていた経験も生かし喘息治療に真摯に取り組む院長に、小児喘息の症状や小児科を受診する利点などについて聞いた。
(取材日2025年4月7日)
目次
難しい子どもの喘息の診断。経験を積んだ医師による早期診断・早期治療で重症化を防ぐ
- Q喘息とはどのような病気なのでしょうか。
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A
▲子どもの気持ちに寄り添い、安心できる環境づくりを心がけている
気管支喘息とは遺伝的素因や環境因子、ウイルス感染などの要因から気管支が炎症を起こし腫れ、粘液が増え気管支を取り巻く筋肉の収縮のため内径が狭くなり呼吸がしづらくなる状態です。主な症状は「ぜー」という喘鳴や息切れ、咳こみなど。風邪などの感染症やハウスダストなどの吸引がきっかけとなりやすいです。子どもの場合は胃酸の逆流や、刺激に過剰反応しやすい気管支喘息の素因の遺伝が原因の場合もありますね。3歳くらいまでは気管が細いため風邪のときに症状が出やすいです。一方で喘鳴が聞こえにくい「隠れ喘息」も少なくありません。隠れ喘息は普通の聴診では喘鳴が聞こえず、大きな排気でやっと聴取できるのです。
- Q受診の目安や、特に注意が必要な症状を教えてください。
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A
▲子どもにとって何が有益かを第一に考え、診療を行う
発熱などの風邪症状が治まっても咳や喘鳴が続く場合はすぐに受診しましょう。特に呼吸が喘鳴を伴い息がしづらいときは、夜間救急の門をたたいてください。我慢していると悪化し、命に関わるかもしれないからです。また4歳以上で感染症を患うたびに喘鳴がある場合は、喘息になりやすい体質の可能性があります。注意深いフォローが大切ですので、普段は症状がなくても受診をしましょう。喘息と診断されても、重症化する前に治療で良い状態を保てるように図れば、治療期間の短縮をめざせますよ。
- Q小児喘息はどのように診断するのでしょうか。
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A
▲呼気中の一酸化窒素濃度を調べる機器もそろえている
抗原検査や末梢血好酸球数検査、呼吸機能検査を行います。また家族や本人に遺伝的素因はあるかや症状が出た時の様子を確認する問診と聴診も実施。次に肺に出入りする空気量を測ったり、呼気中の一酸化窒素濃度を調べたりします。ただこれらの検査は大きく息を吐く必要があり子どもには難しい場合も。そのときは問診と聴診だけで判断するので、親御さんには日々の状態がわかるように日記をつけていただいていますね。5~6歳以降は機器をお渡しするので、気道の炎症具合を示す数値も記録していただきます。たまに後鼻漏による咳が喘息と診断されたり、隠れ喘息が見逃されたりするので、喘息を疑う時は喘息を専門とする医師への相談がお勧めです。
- Qこちらで提供されている小児喘息の治療について教えてください。
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A
▲子育てにおいて不安を抱えている保護者の相談にも応じる
ご家族や本人の希望を聞いた上で、小児喘息治療ガイドラインに沿って治療を進めていきます。吸入ステロイド薬や抗アレルギー薬を使い、気管支や気道の炎症を抑えるよう促すのが治療の基本です。大切にしているのはオーバートリートメントにならないよう重症度に応じて薬の量を適切に調整し、治療の終了時期を見極めること。薬の量が多くなりすぎると、成長やホルモンバランスに影響が出る可能性があるからです。薬を使う期間は、軽症で頻度が少なければ症状がある時だけなど、症状の重症度によって選択する治療法や治療期間が異なります。症状が落ち着いた後も炎症が残っていることがあるため、経過観察も含め丁寧なフォローを行います。
- Q小児科で喘息治療を受けるメリットは何ですか?
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A
▲「お困りのことがあれば、気軽にご相談ください」と話す院長
年齢に応じた生活指導を受けられる点です。子どもといっても未就学児と小学生では日常の活動内容が異なります。子どもを熟知している小児科医であれば授業や習い事、行事での注意点も伝えられます。当院でも、例えばお泊まり保育で花火をする場合「風下に行かないように」とアドバイスします。また子どもが安心できる環境であることや、子どもに慣れた看護師がいることも強みでしょう。当院では検査で大きく息を吐く必要があるとき、子育て経験のある看護師がおもちゃを使って一緒に練習をすることもあるんですよ。小さい頃から適切な治療を受ければ良い状態で幼児期や学童期を過ごせることや、大人への持ち越しも少なくなることが見込めます。