西尾 陽介 院長の独自取材記事
にしお小児科アレルギー科
(広島市安佐南区/下祇園駅)
最終更新日:2023/02/20

広島交通バス・山本小学校前バス停から徒歩約2分。クリニックビルの2階にある「にしお小児科アレルギー科」。風邪などの感染症から皮膚疾患、発育・発達相談など小児の健康に関わること全般の診療と、食物アレルギー、アトピー性皮膚炎、気管支喘息といったアレルギー疾患の治療を行っている。広島大学病院や国立呉病院(現・呉医療センター)など大規模病院での小児科診療を経て2006年に同院を開業した西尾陽介院長に、医師をめざしたきっかけからクリニックでの診療の内容などを聞いた。
(取材日2022年12月21日)
喘息に苦しんだ経験からアレルギーを学ぶ
医師をめざしたきっかけとこの場所で開業した経緯をお聞かせください。

小学校低学年の頃から、将来自分が何になりたいかを母とよく話していました。いろいろな職業のメリットとデメリットについて話し合ううちに、何となくですが医師が良いかなと思うようになりました。最初はパイロットを夢見ていましたが、小学校4年生の時に眼鏡をかけるようになったので、パイロットを諦めて医師に目標を定めました。開業するときにこの場所を選んだのは、自分が通っていた小学校に近く土地になじみがあったのと、相談した業者がこの物件を紹介してくれたことが理由です。
小児科とアレルギー科を専門に選んだのはどんな理由からですか?
まず大学の小児科の教授の人柄に惹かれたことが大きいですね。あと、小児科は診察していて笑顔が絶えないんです。医師や看護師だけでなく患者さんもニコニコしていることが多い。注射が嫌で泣いていたお子さんも、終わればたいてい笑顔が戻ってきます。小児科以外で医師がいつも笑っている科目ってあまりないですよね。そこが小児科の魅力だと思います。アレルギーについて勉強したのは、自分が子どもの頃ひどい喘息を抱えていたからです。治療薬があまりない時代で、息ができずに本当に死にそうな思いをしました。そういった経験から自然とアレルギーに興味を持つようになりました。
どのような患者さんが多いですか?

この近くにお住まいのサラリーマンの家庭の方が多いようです。小児科は普通中学生までですが、小児科として扱っている疾患であれば成人の方でも診ます。喘息で来られている70代の方もいらっしゃいます。小児科を専門としていますが皮膚や耳鼻咽喉科の疾患もわりと得意なので、当院では対応できないといった理由で皮膚科や耳鼻咽喉科に患者さんを紹介することはあまりありません。皮膚疾患の治療はアレルギーとも密接に関係しているので力を入れています。そういった分野のノウハウについては、勉強会や講演会で学んでいます。それも話を聞いて終わりではなく、実践することが大事だと思っています。
アレルギー症状のトリビアとは
アレルギー症状の対策ではどんなことが重要になりますか?

重要なのは室内環境の整備です。特に必要なのは部屋の掃除ですね。寝室は毎日、寝具類には週に1回掃除機をかけて、そのスピードも1秒間に20cmとか、細かい目安があるんです。布団は干さなくても良いけれど布団乾燥機にかけるとか、毛布はホコリが出るので使わないほうが良いとか。あと、そば殻の枕はそばアレルギーになる可能性があるので要注意です。食物アレルギーにしても、本人ではなくお父さんお母さんがナッツを食べた手でお子さんに触れたり、食卓に置いてあるだけでも空気中に舞った細かい粒子でお子さんがアレルギーを起こすこともあります。そういったことに気をつけるだけでもかなり違います。クルミとカシューナッツ、あとイクラのアレルギーが増えてきていることは、数年前から言われています。当院に来ればそういったトリビアをたくさんお教えできます(笑)。実際に「もっと早く知りたかった」という声も多いですね。
診療する上で心がけていることはありますか?
どの先生も仰っていると思いますが、わかりやすい説明を心がけています。勤務医時代、対応が難しそうな患者さんの診察を頼まれることが多かったので、その理由を看護師の方へ聞いてみると「先生の説明なら納得してくれるから」と言われ、あぁそうなんだ、と思いました。自分では意識していませんでしたが、専門用語を使いすぎないとか、相手がどれくらい理解しているか確認しながら話す、ときに視点を変えてみる、といった説明の仕方が良かったようです。何でもそうなんですが、2つ選択肢があってどちらもうまく行かなかったら第3の方法を考えるなど、そういった工夫はいつも心がけています。
スタッフ体制はどのようにされていますか?

スタッフは全員で10人体制で、看護師が5人。そのうち2人が常勤です。スタッフに対しては、最初の頃は診療方針などについて話すことはありましたが、現在は改めて話し合ったりすることはありません。自分自身も「こうしなくてはいけない」みたいなこだわりがないんです。あえて言えば「こだわりがないのがこだわり」かなと思っています。1つの形にはめていくのは好きではないんです。何に対してもフレキシブルでいたいですね。
子どもが生まれる前から相談できる小児科に
これからチャレンジしてみたいことはありますか?

開業当初は、地域でアレルギーについて啓蒙活動をしたいと思っていましたが、なかなか思ったようにできていませんね。母子手帳をもらったばっかりの方へのプレママ教室もやりたいなと思っています。というのが、アレルギーの原因物質は皮膚から入ることが多いんです。卵とかピーナツなどの食物も、皮膚のバリアが壊れているところから入ることでアレルギーを起こします。だから生まれたばかりの時期からお肌をツルツルにしておいたほうが良いんです。そういった話をするのは、3ヵ月健診の時ではもう遅いんです。他にも生まれる前にお知らせしたいことがたくさんあるので、産婦人科の先生ともっと密なコンタクトが取れると良いなと思います。過去にそれらの発信するために動画配信者になりたいと思ったこともありました、わりと本気で(笑)。自分だけではハードルが高いので、誰か手伝ってくれたら、患者さんの役に立つことをいろいろと発信してみたいですね。
お休みの日にすることや趣味はありますか?
7年ほど前から趣味でバラを少し育てています。冬は手入れが大変ですが、冬の間の手入れが大事なんです。ちなみにマイエンザという、ヨーグルト菌と納豆菌などで作る環境浄化微生物を撒くと、カビが防げてバラの病気が減るんです。農業に使えばうどんこ病が防げて農薬が減らせたり、排水口に流すとぬめりが取れたり、調べてみると面白いんです。広く浅くですが、こういったことを自分でいろいろ調べるのが好きですね。
それでは最後に、読者に向けたメッセージをお願いします。

お母さん方には、お子さんの健康のことで自分を責めないでほしいと思います。「自分がもっと頑張らなくちゃ」みたいに1人で背負い込まないで、誰かを頼っても全然構わないですし、当院を頼れる対象として考えてくれたらうれしいですね。小さなことでも良いので、気軽に相談に来てほしいと思います。本で読んだり誰かに言われたことを信じ込んで、それ以外のことが見えなくなってしまっている方も少なくありません。情報量が多く何を信じれば良いのかわからないこの世の中で、僕だけを信じてくださいというのもなんだかおかしいですが、インターネットのクチコミにしても、何に対して高評価なのか、診療の結果なのかサービスが良いのかよくわからないことも多いです。「おいしいレストランが必ず流行るわけではない」と言われますが、僕はおいしいレストランがやりたい。当院も選ばれるクリニックでありたいと思っています。