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河田 圭司 院長の独自取材記事

かわたペインクリニック

(奈良市/学園前駅)

最終更新日:2024/05/16

河田圭司院長 かわたペインクリニック main

近鉄奈良線・学園前駅北口正面、ロータリー向こう側のショッピングモール5階にある「かわたペインクリニック」。疼痛管理・痛みのコントロールに特化したクリニックだ。院長の河田圭司先生は、大学病院で麻酔科の医師として働いた後、2003年に同院を開業。病気は治ったのに痛みが残っている人、腰痛や首痛・肩凝り、帯状疱疹の痛み、膝痛・肩痛、頭痛、原因不明の痛みまで、幅広く手がけてきた。「痛みの尺度に他人の意見は関係ない。我慢は必要ありません」と、きっぱり断言する河田院長。苦しむ患者の側に立ち、その痛みから解放するために、理学療法や東洋医学、心療内科まで視野を広げて力を尽くしてきた、河田院長の人間性が感じられるメッセージだ。

(取材日2022年3月17日)

奈良市内でペインクリニック診療に尽力

ペインクリニックには、どんな患者さんが来院するのでしょうか。

河田圭司院長 かわたペインクリニック1

ペインクリニックは痛みを取る、和らげることを目的とした分野ですが、痛む部分や原因は患者さんによってさまざまです。当院で一番多いのは、上半身では首と肩、下半身では足腰の痛みを訴える患者さんです。同じ場所の痛みだからといって1つの病態ではありません。いくつもの病気が同時に発生し、同じ場所に痛みが集中しているケースもよくあります。1つの病気が原因で一番多いのは、帯状疱疹後の神経痛ですね。帯状疱疹の痛みの治療は難しく、発疹が治っても、痛みが後遺症として残ることがよくあります。神経が傷ついたことが原因なので、深いところの問題なんです。帯状疱疹による神経痛については、当院は特に力を入れています。

心療内科とリハビリテーション科も開設しているんですね。

大学を卒業して医師になって以来、麻酔と痛みについて長く取り組んできましたが、治療技術だけで痛みにアプローチするのは、難しい部分があります。一般的なペインクリニックで行われている注射だけでは、緩和できない痛みがあるのです。そこで何が必要かを考えたとき、患者さんの生活の中に原因があり、そこから治さないといけないのではないかと思ったのです。例えば、座るとき・立っているときの姿勢だったり、ストレスを抱えていたり、職場や家庭、人間関係などのマイナスの感情が痛みを悪化させることもあります。そうなるとメンタルのケアや、運動療法での対応も必要です。専門性が高くなりますので、心療内科は別の医師が、リハビリは理学療法士が対応することで、痛みに対して幅広く対応できるようになりました。

開業のいきさつを教えてください。

河田圭司院長 かわたペインクリニック2

開業は2003年です。それまで働いてきた大学病院や基幹病院の外来で扱う痛みの管理、ペインコントロールは敷居が高いところがあったように感じていました。「ちょっと今日は腰が痛い」くらいの人では受けつけてもらえないことも。診療所なら日常的な痛みのニーズに応えられますし、整形外科・皮膚科・内科など幅広い分野の痛みに対応できますので、いつか開業したいと思っていました。開業当時、奈良市にはペインクリニックを専門とするクリニックが少なく、今でも多いとはいえません。競争相手がなくていいねと思われがちですが、それだけに何を診る分野かも知られていなかったんです。「ペインクリニックって?」と。それでも、時間とともに認知していただき、近隣の内科や皮膚科、整形外科のクリニックとも連携して、患者さんに来院していただけるようになりました。

痛みのコントロールはニーズの高い専門分野

ペインクリニックを専門にする医療機関は、どうして少ないのでしょう。

河田圭司院長 かわたペインクリニック3

痛み(ペイン)のコントロールは麻酔科の中にある1つの領域ですが、病院での麻酔科は手術の時の全身麻酔が柱です。麻酔科だけでずっとやっていく医師というのは意外と少なく、まず全身麻酔ができて、他に何か1つ専門、例えば救急やICUでの管理経験を持つ場合が多く、そうやって麻酔科の中で枝分かれしていきます。麻酔科医自体が少ない上に、専門化で分業になっているのでますます少ない、そのためペインクリニックも増えないのでしょう。最近ようやく認知度が上がってきて、以前より増えたんですよ。多くの診療科では、検査をすれば原因がわかって治療ができますが、原因がわからなかった人や、治療しても痛みが治らない人もいます。そんな、行き場がなかった患者さんの要望に応えようとするのがペインクリニックという分野なので、ニーズは高いと思っています。

麻酔とペインコントロールを専門に選んだのはどうしてですか。

私が医学部を卒業した頃は、今と違って卒業前に入局先を決めないといけない時代でした。私自身は少しでも多くの医療分野にふれてから、専門を決めたいと思っていました。麻酔科に入ればいろいろな診療科の手術が見られますし、リスクの大きい全身麻酔の管理を学べます。総合的に体を診られるようになるために何が必要かわかるので、まずは麻酔科と考え入局しました。将来は開業したいと思っていたので、全身麻酔以外の専門を身につけるため転科も考えていました。実際に麻酔科に入ってみると、痛みのコントロールもニーズのある専門分野であると知り、自分に合っていたので、この道に進んだということですね。

医師の仕事を志した理由を教えてください。

河田圭司院長 かわたペインクリニック4

私は奈良県橿原の生まれで、実家は内科医の父が院長を務める診療所でした。家と診療所が同じ敷地にあり、子どもの頃から診療所のバックヤードを通って出入りしていましたので、医療は身近な存在でした。母も父を手伝っていましたので、両親が診療所で働く姿を見て育ち、早いうちから自分の将来像が決まりました。迷うことなく近畿大学医学部に進学し、以降は主に大阪で暮らしてきました。そのため、奈良県出身ですが、奈良市のことはあまり知らなかったのです。当院をここに開業したのも、電車と自動車のどちらでも利便性が高いという、通院される患者さんの都合を考えて決めました。実家の父の診療所は兄が継ぎ、弟はその診療所の前で開業しています。

痛みの尺度を決めるのは、他人ではなく自分の気持ち

印象に残っているご経験を教えてください。

河田圭司院長 かわたペインクリニック5

初期研修を終えて大学で働き始めた頃のことです。別の科で入院していた患者さんの痛みが強いとのことで、麻酔科でも対応することになりました。難治性の病気で次第に重症化していく中、なかなか痛みを和らげることができず、研修医の自分にできることはないか必死に探していましたが、無力感にとらわれることも多かったです。やがて話すことができなくなり、震える手で筆談されるようになりました。その患者さんが亡くなってから、厳しい状況の折に書かれたと思われる「河田先生を呼んでくれ」というメモがあったと、ご家族の方に伺ったんです。力不足の自分をそこまで頼ってくれていたのかと、改めて身の引き締まるような、ありがたく、切ない気持ちになりました。忘れられない経験です。

ご自身の健康管理はどんなことをしていますか。

当院では月曜・火曜・木曜・金曜の週4日は19:30まで診療していますが、この4日は食事を1日1回にしています。それと、日曜と水曜以外は始発電車で出勤して、診療が始まるまで筋力トレーニングやストレッチをしています。食事の量を減らしたのは腸を休めるためです。とても調子が良く、自分の場合1日3回の食事は体に負担をかけているとわかりました。始めて2年くらいですが、今は苦痛もまったくなく、体に合っていると思います。気分転換としては、新型コロナウイルスが流行する前には、休日は書とお茶を習いに通っていました。今はなるべく外出しないようにしているので休んでいますが、老後の趣味になるようにと思って始めた趣味です。

読者にメッセージをお願いします。

河田圭司院長 かわたペインクリニック6

日本の文化として我慢を美徳とする姿勢がありますが、ものすごく痛いのに我慢すべき理由などありません。痛みの尺度は他人が決めるものではないですし、つらいと思った人の気持ちでいいんです。これくらいの痛みなら我慢しなくちゃとか、そんなことを考える必要もありません。周囲の人から「この程度の痛みなら我慢できるでしょう」と言われても、他人の意見を優先しなくていいのです。ご自分がつらいと感じたら、ご相談いただければ力になれると思います。ペインクリニックというと神経ブロック注射を思い浮かべる方も多いですが、注射以外の治療もあります。原因となっている疾患の治療を他院で受けつつ、痛みの治療だけ当院で行うことも可能です。手術など根本的な治療が適していると判断すれば、連携先をご紹介します。つらい痛みにお困りでしたら、お気軽にご相談ください。

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