全国のドクター9,182人の想いを取材
クリニック・病院 158,625件の情報を掲載(2024年4月25日現在)

  1. TOP
  2. 三重県
  3. 松阪市
  4. 櫛田駅
  5. みやむらクリニック
  6. 宮村 俊行 院長

宮村 俊行 院長の独自取材記事

みやむらクリニック

(松阪市/櫛田駅)

最終更新日:2021/10/12

宮村俊行院長 みやむらクリニック main

地域の人々が健康で長生きすることを願い、日々、診療に取り組む「みやむらクリニック」の宮村俊行院長。循環器や呼吸器を専門に幅広い診療に対応し、往診・訪問診療、禁煙や生活習慣改善の指導にも熱心だ。必要に応じて専門の医師や医療機関を紹介する「振り分け」の役目も果たしている。また、予防医療にも力を入れ、開業当初から定期的に公民館で、病気や健康について話す「健康講話」も開催。開業から18年目を迎え「さらなる地域住民と医療機関の連携を図り、地域医療の向上に取り組みたい」と語る宮村院長に、診療で心がけていることや地域医療に対する思い、禁煙指導、医療を賢く利用する方法などを聞いた。

(取材日2019年12月27日)

患者が損をせず健康に長生きできる診療をめざす

明るく温かみのあるクリニックですね。まずは開業の経緯から教えてください。

宮村俊行院長 みやむらクリニック1

きっかけは、引退する先生からの継承のお話があったことが始まりです。大学を卒業した後、地元の三重県に戻って三重大学の胸部外科教室に入局させていただき、大学院を修了し、その後は心臓血管外科・呼吸器外科の胸部外科医師として山田赤十字病院(現・伊勢赤十字病院)や、松阪中央総合病院などに勤務していました。2003年に開業した際は、建物の設計には少ない予算の中、いろいろとこだわりましたね。患者さんは病気で受診されるわけですから、あまりシャープな内装だと余計に疲れると思い、壁紙とソファーは温かみのあるオレンジ色で統一し、自然光が入る造りにしました。また、待合室の一角に畳コーナーを設け、リラックスしてお待ちいただけるようにしています。構造面では、当クリニックの患者さんは比較的高齢な方が多いので、エントランスから診察室までをバリアフリーとし、車いすでも移動できるようにしています。

どのような患者さんがいらっしゃいますか? 診療内容や診療方針についてもお聞かせください。

高齢の方が中心で、症状では高血圧や高脂血症などの生活習慣病が多いですね。また、最近は認知症の方も増えてきています。診療内容としては当クリニックでは、喘息や肺気腫、気管支拡張症、慢性気管支炎、肺炎、睡眠時無呼吸症候群、気胸、肺がん、心臓病、血管の病気、心の病などさまざまな症状に対応・加療をしており、いわば地域の家庭医のようなものです。また、必要に応じて専門の医師や医療機関を紹介しています。また、ガイドラインに従った治療を心がけていますが、「患者さんに損をさせない健康を守れる診療」をしたいと常々考えています。

勤務医の頃から胸部外科をご専門にされてきましたが、現在の診療にはどのように生かされていますか?

宮村俊行院長 みやむらクリニック2

勤務医だった頃には救急も経験し、入局した科そのものが3次救急のような仕事もしていたので、たとえ患者さんの心臓が止まりかけて、息をしていないような危機的な状態でも、慌てず冷静に対処できるよう訓練を受けたことです。この辺りは独居や老々介護のご家庭が多く、中には所有している土地が広いため母屋と離れのように敷地内別居のご家庭もあります。特に、敷地内別居の場合は良い面もありますが、夜中に何かあっても朝まで気づかないというケースもあるため、日常生活で生じたさまざまな健康上の悩みや不安に関しても耳を傾けるようにしています。

地域の健康のため、禁煙指導、往診・訪問診療にも尽力

地域医療や予防医療にも熱心に取り組んでいらっしゃいます。

宮村俊行院長 みやむらクリニック3

地域のかかりつけ医として、皆さんが健康に長生きできるよう、開業当初から公民館で地域の自治会の方々から、定期的に「健康講話」を開催させていただく機会を頂き、病気や健康についてのお話をしています。いらっしゃる方には、何かしら知識を持って帰っていただきたいので、情報をわかりやすく提供できるよう心がけていますね。また、他に常日頃気になっているのは看護師不足のことです。看護師はハードな仕事なので、実際就職して、希望と現実にギャップを感じ異業種に移ってしまう方もいて人手不足が続いています。看護学校を卒業した後大きな病院で経験を積み、最終的に開業医にスタッフとして勤めていただけるような環境が整えば良いと思っています。

禁煙指導にも力を入れているそうですね。

禁煙指導については、保険診療内で、主に飲み薬を使った治療を行っています。喫煙が原因で肺気腫になるというケースは非常に多いのですが、肺気腫は潜在患者が非常に多く、患者さんは呼吸が苦しくなって初めて気づく病気ですし、悪化すると在宅酸素療法、在宅人工呼吸療法といった対応が必要になります。そうなってくると医療費もかかりますし、動けなくなったら自分がつらい。患者さんには「病気にかかりやすくなってしまうから、タバコはやめたほうがいい」といつもお話ししていますね。

開業当初から、往診・訪問診療にも対応していらっしゃいます。

宮村俊行院長 みやむらクリニック4

開院した頃に、1人の筋萎縮性側索硬化症(ALS)の患者さんを往診していました。その流れでか通院が難しくなった患者さんから「うちにも来てほしい」と言われるようになり、往診する患者さんが増えていきました。現在もご要望があればクリニックの昼休みを使って、往診や特別養護老人ホームなどでの往診を行っています。在宅療養支援診療所としての登録もしております。

医療を上手に利用し、健康的に長生きを

先生が医師を志したきっかけは何でしょうか?

宮村俊行院長 みやむらクリニック5

開業医の叔父がおりまして、身近に医療があったことが大きな影響を与えたと思います。専門に胸部外科を選んだきっかけは、もともと学生の時から、心臓には興味があったのですが、三重大学の胸部外科が、日本で胸部外科が広がる初めの頃に設置された伝統ある教室で、その教室にラッキーにも入局させていただき、指導していただいたことはいつも感謝しております。身についたかどうかは別ですが(笑)。また、開業医の道に進んだのは、内科の医師として開業していた叔父の影響ですね。子どもの頃に叔父の姿を見て、私にとって「医師とは家族を診るかかりつけ医」という思いが子どもの頃から心のどこかにあったと思います。

今後の展望についてお聞かせください。

これから高齢者はさらに増え、医療でもさらなるマンパワーが必要になります。目に見えない壁はたくさんありますが、なるべく多くの先生方が協力し合える環境ができて、地域の方々に適切な医療を効率的に提供できるような地域となればと思います。ありがたいことに、松阪市は諸先輩先生・開業医の先生のおかげで、行政と医師会の関係が良好だと思います。そして、最終的には三重県の中でも患者さんが健康で長生きできる地域になればと思っています。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

宮村俊行院長 みやむらクリニック6

病院やクリニックを受診するときに大切なことは、医師とコミュニケーションをとることです。医師も人間ですから、患者さんが黙っていたら「納得している」と思ってしまいます。気になることがあれば、ぜひ「先生、このままでいいですか?」という一言を添えてみてください。それだけで対応は大きく変わるはずです。また、最近は週刊誌のゴシップ記事を信じる方がよくいらっしゃいます。そんなときも医師に「雑誌にこう書いてあったけど大丈夫ですか?」と聞いてください。そして「わからない」と言われたときには調べてもらいましょう。せっかく健康保険に入っているわけですから、医療を上手に利用し、診療を受けて体の状態を知り、健康に長生きをしていただければと思います。

Access