沢井 正光 院長の独自取材記事
沢井クリニック
(西宮市/夙川駅)
最終更新日:2025/11/14
閑静な住宅街にある「沢井クリニック」。隅々まで清掃が行き届き、まるで新築のような清潔感あふれる院内だが、2006年の開業以来変わっていないのだという。院長の沢井正光先生は外科医師として多くの治療や手術を行ってきた。その経験から、病気の予防、そして早期発見に努めるべく開業を決意したという患者思いの心温かなドクターだ。取材当日も明るい笑顔で患者を見送る姿が印象的だった。そんな沢井院長に、医師をめざした経緯、診療にかける思い、今後の展望に至るまでさまざまに話を聞いた。
(取材日2019年1月18日)
痛みに配慮した内視鏡検査で検診を習慣化させたい
医師をめざしたきっかけについて教えてください。

実家は祖父の代から医師でして、奈良で病院を経営しています。父の働く姿を見ていて、子どもながらに「医師は人に喜ばれるいい職業だな」と思っていたのを覚えています。また、自分の家族や知り合いが病気になったときに、頼れる医師が身近にいたら心強いだろう、とも思い、医師になることを決意しました。実際に父が亡くなるまで、最期まで面倒を看ることができましたよ。大学卒業後は専門に外科を選びました。内科は主に薬で治療を行うのに対して、外科は自分の手で治せることに魅力を感じたんです。手術は患者さんの体を全面的に任されるわけですから、責任やプレッシャーはとても大きいんですよ。けれど、治ったときの喜びもひとしおで、大きなやりがいを感じますね。手術は命に関わることで失敗は許されませんから、一例一例にしっかりと向き合ってきました。当時の手術に向かう姿勢は、現在の診療に対する姿勢にもつながっているのではないでしょうか。
開業しようと思ったのはなぜですか?
病院に勤めている頃、多くのがん患者さんを診療してきて、その度に「もっと早くがんを見つけられていたら」という思いがありました。病気の早期発見、予防、健康維持の重要性を改めて考えるようになり、それを実現できるのは地域医療の場であり、地域医療の役割だと思い、それを果たすべく開業することにしました。まず、各種検査を行えるクリニックでありたいと思い、それに備えて僕もトレーニングを積んできました。患者さんには健康をコントロールする場として当院をご利用いただけたらうれしいですね。実際に小児以外の幅広い年齢層の患者さんにご利用いただいています。内視鏡の検査も行っていますので、消化器内科、肛門外科に関する病気の患者さんのご利用が多いですね。その他、風邪などの一般診療も行っています。開業に際して、場所探しなど準備に3年かかり、設計も自分で行ったので、このクリニックには思い入れがありますね。
内視鏡検査を行うにあたって、工夫されていることはありますか?

静脈麻酔の処置をしてから内視鏡検査を行いますので、痛みをほとんど感じることがないのが特徴です。患者さんに痛みやつらさを感じることなく検査を受けていただきたいという思いが強くありますね。なぜなら、つらい思いをしなければ、また検査を受けようと思っていただけますし、それで検査を定期的に行うことができるようになれば、患者さんの健康維持へとつながっていくからです。現在は2人に1人ががんになるといわれる時代ですが、すでにがんが進行してしまっている状態で見つかるのと、まだできたばかりの早期に発見されるのとでは、生存率が大きく異なります。早期発見するためには、痛みなど自覚症状のないうちに定期的に検査を行うことが必要となってきます。年末、誕生日など、ご自分で検査を行う目印となる日を決めておくことをお勧めします。
患者の心意をくみ取り、一人ひとり真摯に対応
こちらではターミナルケアも行っているそうですね。

手術を受けられない状態のがん患者さんについても、最期まで責任を持って診療したいという思いがあり、ターミナルケアを行っています。ターミナルケアは非常にデリケートな側面があり、その一つに余命の告知があります。告知をすることをスタンスとしている医療機関もあると思いますが、僕の場合、患者さんそれぞれ考え方は違いますから、こちらの考え方を押しつけるべきではないと思っており、一人ひとりの患者さんと向き合って告知をするかどうかの判断を含めて、真摯に対応したいという思いがあります。
診療時に心がけていることについて教えてください。
こちらが笑顔でいると、患者さんも明るい気持ちになれると思うので、まず笑顔でお迎えすることは基本です。そして診療中は患者さんのデータでなく、患者さんの表情を見て耳を傾けることに集中し、ご要望を聞き出していきます。お忙しくて診療を早く済ませたい方、あるいは話を聞いてほしい方など、患者さんの要望はまちまちです。医師の仕事は技術よりも感覚が大事だと僕は思っており、患者さんに合った接し方をするように心がけていますね。それからスタッフには、ちょっとしたことでも患者さんへの気遣いを忘れないように、と常日頃から話しています。
クリニックにかかる上で、患者さんにアドバイスはありますか?

信頼できる医師に出会っていただくことですね。これは、患者さんと医師の相性によることも大きいと思いますが、患者さんの中には医師に気を使って話せなくなってしまう方もいらっしゃると思います。しかしその必要はなく、わからないことがあれば納得できるまで質問をするべきだと僕は思います。その際に、医師である僕が質問されて答えられないことがあってはもちろんいけませんですが、それ以前に質問をさせない雰囲気をつくってはいけないと思っています、どんなに忙しくてもそうならないように注意しています。
日常生活の面からもアドバイスし患者の健康をサポート
健康維持に際して、日頃からできるケアがあれば教えてください。

まずは定期的に検診を受けましょう。それから基本的なことになりますが、運動と睡眠は大事です。僕自身もやらなければ説得力を持って患者さんに指導できないと思い、日頃から運動していますよ。痩せ型の人がたくさん歩いても余計に痩せてしまいますから筋力トレーニングをするように、太り気味の人には炭水化物を控えてタンパク質を取って有酸素運動をするようにと、診療では患者さんに合ったトレーニング法のアドバイスを行っていますね。医療の面からだけでなく、日常生活に寄り添った健康のアドバイスもできるように、普段から医学以外についても勉強しています。
お休みの日の過ごし方を伺えますか?
体を動かすことが好きで、普段は筋トレをする他にストレッチ教室に通っています。時間があれば趣味のゴルフ、テニスも行っています。それから音楽が好きですね。昔はバンドを組んでベースを弾いていました。ロックが好きでその影響を受け、実はクリニックのロゴもそのファンであることがわかるようなデザインになっています。それに気づいた患者さんはこれまで3人だけいらっしゃいましたね(笑)!
最後に今後の展望をお聞かせください。

医療の提供に留まらず、運動や食事の面からも患者さんをトータルでサポートできる施設をつくることが夢です。実際、ご高齢の患者さんでジムに行きたくても行きにくい方も多いと思うので、ご高齢者を専門に指導する運動施設を併設できたらいいなと思っています。また、今も診療で患者さんに問われたらお勧めの健康食品を紹介しているのですが、それを同じ施設内で販売し、本格的に食事指導を行えたら、患者さんにとっても便利で喜ばれるのではないかとも考えています。元プロスポーツ選手にお手伝いいただこうかとか、いろいろなアイデアはすでに頭にあるので、いつか実現できたらいいですね。こうした構想も、一番はやはり患者さんのご要望に応えたいという思いによるものです。患者さんからのありがとうという言葉が何よりも僕の励みになっているので、これからもありがとうと言っていただけるような医師であり続けるように努力していきたいと思います。

