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松田 真弥 院長の独自取材記事

松田クリニック

(大阪市平野区/平野駅)

最終更新日:2022/10/12

松田真弥院長 松田クリニック main

大阪市平野区にある今里筋と南港通り、阪神高速14号松原線といった大きな通りが交差するあたりの住宅街にオレンジ色の壁が目印の「松田クリニック」がある。あらゆる痛みの診断と治療を専門とするクリニックだ。広々としたバリアフリーな院内で、優しくゆったりとした口調で話を聞かせてくれたのは松田真弥院長。ペインクリニック専門の医師である松田院長は、2005年に開院して以来、地域の人々の痛みや健康に対する悩みに寄り添ってきた。「高齢化社会が進んでいく日本で、年齢を重ねることで発生する体の痛みとの付き合いは見過ごせない問題の一つだと思います」と語ってくれた松田院長に、さまざまな話を聞いた。

(取材日2017年8月28日)

痛みを総合的に診る「ペインクリニック」

まず、ペインクリニックとは何をするところなのか教えてください。

松田真弥院長 松田クリニック1

わかりやすく言うと、痛みを総合的に診ます。心筋梗塞や脳梗塞、骨折やけがといった外傷による痛みではなく、症状から体の内部にある痛みを総合的に診ています。主に、膝や腰、首の痛み、片頭痛などがそれにあたり、痛みが続くと生活の質が低下していきます。そういった痛みの原因を探り、治療していくというクリニックです。ペインと言うことで「なんか痛いことをされるのでは?」と思われる方も多いんですが、逆で、痛みを改善させるための場所だと思ってください。高齢化が進むことで痛みを訴えられる方は増加傾向なので、もっと皆さんに知ってほしいですね。

どういった治療を行うのですか?

そもそも麻酔科から派生してきた分野なので、麻酔科出身の先生が多いんです。麻酔科の先生というのは、手術室などで麻酔を行ったりするのが主なので、注射に関する技術を習得していることが多いんです。ですから、その手技を生かした治療法があります。例えば、硬膜外麻酔という麻酔の方法があるんですが、この手技を行うことで痛みをブロックすることが期待できるんです。そういった注射の手技を用いた神経ブロック療法を行うというのが一つ。それから鎮痛薬や鎮痛補助薬などを用いた薬物療法が一つ。さらにリハビリテーションや温熱機器、低周波治療器などを使用した物理療法、マッサージなどが主な対応になります。

神経ブロックと聞くと、なんだか怖いイメージがあります。

松田真弥院長 松田クリニック2

注射を用いた治療になりますので、皆さん最初は怖いと思われる方が多い気がします。好きで注射をするという方は珍しいので、怖いと思われるのは自然かなと思います。ですが、昔に比べると安全性や針の太さなども改善されてきていますので、個人差はありますが、比較的楽に治療を受けられるようになっていると思います。最近は、超音波(エコー)機器を用いることでより安全性に配慮して治療が行えます。ブロック療法は薬物療法などに比べると大きな治療効果が望めると言えます。怖いから嫌だという場合には内服やリハビリなどの治療を進めながら信頼関係を築いていくことで検討してもらったりもできますので、注射イコール「怖い!痛い!」というのではなく、そういう方法もあるんだと選択肢の一つにしてもらえたらいいですね。

治らない痛みは、我慢しすぎずに受診を

来院されるのはどういった患者さんが多いのでしょうか?

松田真弥院長 松田クリニック3

高齢化社会となり痛みの訴えは増えています。スポーツなどで慢性的な故障を抱えている方なども来院されます。主な症状としては、脊柱管狭窄症、椎間板ヘルニアなどによる慢性的な体の痛み、しびれ、腕が回らない、足に力が入らないなどといった方が多いです。膝関節や肩関節の痛みでも来院されます。また、片頭痛が治らないということで来られる方も多いですね。痛みは内臓の病気から起こることもあり、がんの転移などが原因になることがあります。背中や腰の痛みが圧迫骨折であった高齢の方も増えています。痛みが続く場合は、我慢せずに受診していただきたいですね。

片頭痛はどこに行けばいいのかわからないと思う方が多いと思います。

医者が言う片頭痛というのは、頭の片側で、ズキンズキンと痛む拍動性頭痛のことを言います。肩が凝って後頭部が痛いというのは、医学的には緊張性頭痛と言います。よく一緒にされる傾向があるのですが、こういった頭痛の場合は片頭痛用の頭痛薬は適さない場合が多い。そこで、痛みのもとになるポイントに注射することとリハビリテーション、内服を組み合わせることで改善をめざします。また、市販薬を飲んでいたけど、だんだん作用しづらくなったというお話も聞きます。これは薬物乱用頭痛といって、自己判断で薬をたくさん飲んでいるうちに起こります。すぐに収まるような頭痛の場合はいいのですが、繰り返すような場合は自己判断せず、近所にペインクリニックがなければ、脳外科や片頭痛専門のクリニックなども受診してもらえたらと思います。

痛みを取るために、治療期間はどのくらいかかるのでしょうか。

松田真弥院長 松田クリニック4

これはいつも最初にお話ししているんですが、慢性的な痛みを1回の通院で治してしまう魔法の治療というのはないんです。時間をかけて治療に取り組んでいくことが必要になります。痛みって波がありますよね。嵐のように痛い時期と、少し治まってきている時期と、さまざまあると思うんです。今まさに痛みの最中にいる方には、治療効果の高さが期待できる神経ブロックなどを施して、まずは痛みのレベルを下げることをめざします。次に内服治療やリハビリなどで軽減につなげ、コントロールを図っていきます。最終的には自分で予防をしたり、運動をするなどして良い状態をキープしていけるようになるのが理想的だと思います。高齢化による体の痛みの訴えは増えていますが、生活習慣病などを合併している場合も多く、他の医療機関との連携の必要性が大事になっています。

高齢化社会の中で地域の医療に貢献したい

先生が診療の際に気をつけていることは何ですか?

松田真弥院長 松田クリニック5

わかりやすく話をすることでしょうか。継続していく治療になりますから、僕だけが納得しても駄目。患者さん自身やご家族の方に納得してもらうことがすごく大切だと思います。インターネットが普及したせいか、大きな期待を持って「神経ブロックをしてください」と言われることがあります。けれど、1回の注射で治療が終わるというのはまれで、大体の場合は継続が必要なんです。パッと来てサッと治すことができるような治療方法は残念ながらないです。ですから継続が重要なことを説明させてもらっています。ブロック療法には「安静時間」が必要で、初めての方などで当日に治療が受けられないことがあります。また、何を内服をしているかわからない、検査結果が悪いといった方も当日には治療が受けられないこともあります。せっかく来ていただいても治療の開始が遅れますのでお薬手帳や、画像、血液検査の結果などは持ってきていただければ助かります。

先生がペインクリニックをやろうと思った理由はなんですか?

僕が勉強していた大学病院でペインクリニックが盛んだったのが理由の一つです。僕は麻酔科にいたんですが、麻酔科は手術の場所にはいますけど、外来で患者さんとふれあう機会は少ないんです。手術を安全に進めるための知識や技術を研鑽していく分野なんですね。そんな中で、外来で人とふれあっていくと、自分自身の気持ちがすごく前向きになったんです。それで、麻酔科の医師としてではなく、ペインクリニックをメインとしてやっていこうと思いました。実際に開業して十数年ここで地域の方を診察させてもらってきて、今は生活習慣病の診療や健診なども行うようになりましたので、皆さんと日々ふれあいながら地域の健康に貢献していきたいなと思っています。

最後に先生の今後の目標を聞かせてください。

松田真弥院長 松田クリニック6

日本は高齢化社会ですよね。高齢になることで起きる体の不調というのは、大きな問題になっています。以前、高齢の痛みの方に付き添って来られたご家族から「認知症ではないか?」「背中が曲がってきている」などの情報をいただき、診察の結果が認知症であったり圧迫骨折であったりする方もいらっしゃいました。本人だけでなく付き添いの方の情報も非常に重要なことがあります。独りよがりで患者さんを治すのではなく、みんなで支えあって助けていくことで貢献できればと考えています。そして、ペインクリニックの存在をこの場所を通してお知らせして、痛みと上手に付き合っていく場所として活用してもらえるようになりたいですね。応えきれないこともありますが、痛みを抱えている方に一人でも多く訪ねていただけたらと思います。

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