山口 哲男 院長の独自取材記事
山口泌尿器科
(大阪市中央区/谷町九丁目駅)
最終更新日:2025/03/31

「山口泌尿器科」は、大阪メトロ谷町線・千日前線の谷町九丁目駅から徒歩3分、近鉄大阪線の大阪上本町駅から徒歩5分というアクセスに便利な場所にある。院長の山口哲男先生が自ら図面を引いて設計したという院内は、広い受付カウンター、畳スペースなど、明るく和やかな空間が広がる。開業以来、山口先生がめざしているのは「イメージが変わる明るい泌尿器科」。恥ずかしくて受診しづらい従来の泌尿器科のイメージをがらりと変えるべく、空間にこだわるだけでなく、受付のスタッフや先生自身も、悩みを抱えた患者に対して明るく元気に対応している。週2回ジムに通ってトレーニングに励むといういつも元気な山口院長に、泌尿器科としてのこだわりや医院のモットーなどを聞いた。
(取材日2017年6月20日)
国内での泌尿器科の黎明期を体験
医師を志したきっかけは何ですか。

小さい頃、検事を題材にしたドラマが大好きで憧れていました。検事になるためには法学部に行かなければならないのですが、どうも文系の勉強は苦手で(笑)。医師は完全に理系だし、周りも勧めてくれるし、というので医師になろうと決めました。
泌尿器科を専攻された理由を教えてください。
医学部への進学を勧めてくれた方が、当時大阪市立大学の外科におられたので、私も外科に進もうと考えていました。ところが、実習の際に泌尿器科の助教授に「うちに来なさい」と声をかけていただき、泌尿器科に進むことにしました。内科系か外科系かで分ければ外科系ですし、泌尿器外科という分野が発達すると期待されていましたからね。当時は国内での泌尿器科の黎明期で、大阪市立大学でも泌尿器の単科の教授が就任された時期でした。先鞭を切ってドイツに勉強に行かれたのが、東大の皮膚科の先生だった影響で、それ以前は皮膚・泌尿器科の先生が多かったのですよ。
大学院修了後は病院に勤務されたのですね。

当時はまだ、総合病院にも泌尿器科があまり設置されていませんでした。現在では泌尿器科が扱っているような疾患で受診すると、多くの場合は外科、あるいは内科の医師が担当していたのです。そんな状態ですから、大学院を終了した私の役目は、すでに設置されている病院で先生方をサポートすること、未設置の病院では診療科としての泌尿器科を開設するということでした。その頃、院長など経営陣は泌尿器科の重要性、必要性を強く感じておられたと思います。したがって泌尿器科には、大きな設備投資をしていただきました。私たちもその期待に応えるべく、多くの症例と手術をこなし、スタッフ一丸となってよく働きました。
今までのイメージを一新する明るい泌尿器科をめざす
およそ20年間の勤務医時代を経て開業されました。

医療制度が変わって、医師により大きなプレッシャーがかかるようになってきたのが開業に踏み切った一番の理由です。特に労働条件などの面で重圧がかかってきました。当時は私も若かったので対応できないことはなかったのですが、自分が思い描く治療を実践するのが難しい状態になってきたのです。お付き合いのあったMR(医薬情報担当者)の方に、今のビルを紹介されて、オーナーも医療ビルにしたいという思いを持っておられたので決意しました。
「明るい泌尿器科」をモットーに掲げておられますね。
泌尿器科というと、恥ずかしそうに、人目を避けるように受診すると思われがちですが、私はそういう暗い感じを払拭しようと努めました。ポイントは受付を明るく広くしたことです。患者さんが来られた時に、広いと感じられると、気持ちが明るくなると思います。待合室の横には畳スペースがあり、小さな子ども連れの方やお年寄りにも好評です。読書が好きなので自分が読んだ本は待合室の書棚に入れて、患者さんに自由に貸し出しています。
どのような訴えが多いのですか。
多いのは排尿障害、そして近年増えているのがクラミジアに代表されるSTD(性感染症)です。排尿障害は前立腺がんが隠れていることも多いので、病院と連携を取り、適切な対応を心がけています。前立腺がんは加齢とともに発症リスクが上がる病気なので高齢化とともに増加していますが、近年は検査技術が進化しており、早期発見が可能で寛解につながることも増えています。一方、クラミジアは症状が出ない、検査しても感染が判別しづらいといったケースがあり、気づかないうちに感染している危険性があります。また、症状が治まると通院や薬を止めてしまう人が多く、蔓延につながっています。症状が改善してもウイルスは死滅したわけではないので、パートナーにうつしたり、過労などで免疫力が低下した際に再発したりするおそれがあります。
診察の際に心がけておられることは何ですか。

はっきりと話すようにしています。STDでもがんでも、言葉を濁さず伝えます。内視鏡の技術が飛躍的に進化したおかげで、泌尿器科のがんは前立腺も腎臓も、かつては非常に深刻な疾患とされていた睾丸でも、きちんと診断、治療できるようになっており、包み隠す必要はありません。がんと伝えると、明らかに気落ちする患者さんが多いのですが、そんなときも明るく「大丈夫です。ちゃんと治療できます」と伝えるようにしています。
優しい治療、元気になれる治療を提供していく
今後の目標を教えてください。

現代の医療においては、医師の知識や技術はもちろん大切ですが、技術革新で新しい機器が開発され、医療のレベル向上につながっています。患者さんに質の高い医療サービスを提供して、痛みや不調から解放してあげるためには、そうした新しい設備機器の善し悪しを自分の目でしっかりと確かめて、納得できるものであれば積極的に取り入れていきたいと思います。当院の治療室には、尿失禁などに対応する椅子型の治療器具があります。価格やメンテナンスの問題もあって現在では国内で設置しているところはごくわずかのようですが、自信を持って治療に使える器具でずっと愛用しています。
先生の健康法は何ですか。
健康と体型維持のためにジムに週2回通っています。インストラクターとマンツーマンで行うパーソナルトレーニングです。ちょっと油断すると、すぐにおなかが出てきたり、たるんできたりするのですが、自分でトレーニングしていると、「あと一歩」ということころで成果が上がりません。トレーナーについてもらうと、内容はかなり厳しくなるのですが、はっきりとした効果につながり、良かったと思っています。
患者さんにメッセージをお願いします。

大規模な病院では対応が難しい一人ひとりの患者さんに優しい治療、喜んでもらえる治療を実践していければと思っています。当院では、特に主訴はなくてもお話しに来てくださる方がいらっしゃいます。私自身はそれも治療の一環だと思っていますし、「元気になりました」と喜んでもらえることは医師の喜びです。また、最近はインターネットが発達してさまざまな情報が入手できますが、自己判断は危険です。誤った判断をして市販薬などを使うと、体を痛めつけるおそれもあります。ですから、どうか恥ずかしがらずに、早めに受診してください。