織井 弘道 院長の独自取材記事
おりい歯科医院
(和光市/光が丘駅)
最終更新日:2024/09/09

都営大江戸線・光が丘駅から歩いて約15分、住宅街の中に「おりい歯科医院」はある。一般歯科はもちろん、小児歯科や矯正、予防歯科にも対応する同院。2001年の開業以来、地域に暮らす人たちの口の中の健康を支えてきた。特に専門的に扱うのは歯周病の治療だ。院長で日本歯周病学会歯周病専門医の織井弘道先生のもとには、遠方から訪れる患者も多い。豊富な経験に基づく診療技術を持つ織井院長がまず大切にしていることは、コミュニケーションの上に成り立つ患者との信頼関係だ。「歯周病を治療するには患者さんの協力が不可欠」と力を込める織井院長に、歯周病予防・治療の重要性や歯科医師としての思いを聞いた。
(取材日2024年7月27日)
歯茎は口の土台。全身の健康を守るための歯周病治療
まず、歯科医師を志した理由を教えてください。

父が歯科医師だった影響が大きいです。しかも自宅で開業していたので、父の仕事はいつも近くで見ていました。父が補綴物などを作るのをそばで見て、手伝ったりもしていましたね。歯科医師になってほしいという父の期待は、幼い頃から感じていました。半ばレールに乗せられた形ですかね。2人の兄も医療の道に進んでいて、1人は歯科医師、1人は心臓外科の医師になっています。私は日本大学の歯学部を出て、大学付属の歯科病院で1年間研鑽を積み、その後、大学院に進んで歯周病の研究や治療に取り組み、2年ほど大学の先輩の病院に勤めてから開業しました。2001年のことなので、この歯科医院も20年以上続けていることになりますね。
歯周病の治療に注力してきたのはなぜですか?
一般的な歯科医師は歯をきれいにすることに意識を注ぐと思うのですが、歯周病は歯茎の問題です。歯茎の状態が悪いと、どれだけきれいな歯に導いても根本的な解決には至りませんし、バランスも悪いですよね。つまり、歯科医療のすべてにつながる土台なのです。歯周病を治療しようとなると、一般的な歯科医療の知識はもちろんのこと、外科的な処置や矯正までの幅広い技術や知識が求められます。学生時代に院内実習で経験した際に「歯周病治療を専門にしてみたいな」と思ったんです。確かにいろいろなことを学ばないといけないので大変ですが、今となっては挑戦して良かったと思っていますね。幅広い症例に対応するため、さまざまな角度から口の中を診ることができるようになりました。
歯周病の予防・治療の重要性をどうお考えでしょうか?

歯周病は全身の健康に影響するため、予防と治療は重要だと考えます。最近では、脳梗塞や心臓疾患のリスクを高める可能性が指摘されています。歯周病は糖尿病を悪化させ、また糖尿病が歯周病を重症化させるという相互関係も報告されています。口の中の細菌が影響を及ぼす恐れがあるので、心臓の手術を受ける前に虫歯や歯周病を治療しておく必要性も語られている他、認知症を引き起こし得ることもわかっています。口の中の歯周病が全身に影響を及ぼすので、無視できないのです。さらに、先ほどもお話ししたように歯茎はお口の土台です。ぬかるんだ田んぼの上にビルを建てることはできませんよね。土台を整えることが、口や体の健康、そして長生きのためにも大切です。
説明を重視し、患者との信頼関係の上に治療を進める
どのような患者さんが通院されていますか?

お近くの方はもちろん、遠方から車で来られる方もいらっしゃいます。歯周病の治療のために来てくださる方が多いので、「デンタルIQ」といいますが、口の中の健康への意識の高い患者さんに通っていただいている印象ですね。歯周病治療を目的に歯科医院に通う中で、診療内容に不満を抱いた経験がある方もいらっしゃるでしょう。しかし、その不満をさかのぼってみると、ご自身のケア不足が原因とも考えられるのです。歯周病の治療は、歯科医師と患者さんとの共同作業です。患者さんのご協力が必要不可欠ですので、口の中の汚れなど症状の根本にあるものをしっかりと説明しています。ご協力いただくことができないと、治療が終わっても繰り返してしまいますからね。ケアの大切さをお伝えしています。
患者さんとのコミュニケーションを大切にされているんですね。
そうですね。「入り口」の部分を大事にしたいと思っています。つまり、お話をして信頼関係を築かなければ、治療を前に進めることができないのです。そのために、説明を行う時間を大事にしています。初診の患者さんにはまず検査をしてトラブルの原因を分析し、この点について丁寧に説明した上で、治療計画を提案しています。原因とそれに対するアプローチをしっかりご理解いただくことで、患者さんにも治療に協力していただきたいからです。
患者さんにも意識を高めてもらうことが重要ということでしょうか。

そう思います。歯科医院に通っているだけでは歯周病を治療することはできません。患者さんの協力が不可欠なのです。ですので、患者さんのお口の中はある種の「作品」のように感じることがあります。私たち歯科医師と、患者さんが共同で作りあげた作品です。どんどん治療が進んで作品ができあがっていく様子を見ると、こちらも気持ちがいいですね。患者さんが希望する治療がある場合、「早く治療してください」とお願いされることもあります。しかし、その治療に至るまでに、やらなければならないことがたくさんあります。そういったこともご納得いただけるように説明することが、信頼関係を築く上で大切だろうと考えています。
幅広い治療法に対応し、損得抜きで患者のために邁進
こちらではどのような治療が受けられますか?

歯周病に関していえば、この時代に存在する治療法すべてに対応できるよう努めています。新しい治療法が出てきたら、診療に取り入れるようにしていますね。歯周病を専門的に扱っているため、歯周外科の処置は多く手がけていると思います。歯を支えている骨が壊れている状態なので、骨を増やすための薬剤を投与したり、深くなった歯周ポケットを減らすよう導いたり、歯茎が下がった部分に歯肉の移植を図ったりといった方法も取っています。埋まっている親知らずを抜歯した部分に移植するための治療も行っています。できるだけ治療費を抑えたいと考える患者さんが多くいらっしゃいますので、いかに保険診療の範囲に収められるかは注意を払っています。損得勘定抜きに患者さんのための治療をしていることは、胸を張って言えます。
非常勤の歯科医師も6人在籍され、スタッフの体制も充実していますね。
それぞれの歯科医師が幅広い治療に対応できるよう、環境を整えています。当院では歯科医師になりたての先生も受け入れているのですが、そのまま働き続けてくれているケースが多いですね。最初はみんな、実際に「自分で治療してみたい」という気持ちになるものですが、「まずは見て学びなさい」と声をかけていますね。処置はもちろん、患者さんに話していることもまねしなさい、と。まずは基本を習得した上で、自分なりの方法を考えてもらえるといいですね。担当する歯科医師は違っても、患者さんに対してお伝えすることは同じ内容なので、そこは患者さんにとっても安心なのではないかと思います。スタッフ間で患者さんに関する情報を共有して連携を綿密に取っているのはもちろん、気持ち良く働ける良い雰囲気の職場がつくれるように、コミュニケーションも積極的に取ろうと呼びかけています。
日々お忙しいと思いますが、何か趣味はありますか?

歯科技工が好きで、日曜日は朝7時から補綴物や矯正装置を作っていることが多いです。自宅で開業していた父もそうでした。幼い頃から優しくて真面目な父の姿を近くで見て一緒に過ごしていましたので、その影響があるのかもしれません。私自身は20代後半から開業医になるビジョンを描いていましたが、それも自分で歯科技工ができるからですね。責任を持って作ったものを患者さんに使っていただけたらと思います。また、この作業が単純に面白くて好きなんですよね。だから、これが私の趣味と言っていいと思います。
今後の展望と、読者へのメッセージをお願いします。
これからも精密な医療を提供し続けていきたい、この思いが一番ですね。こだわった診療ができるよう、日進月歩で成長していきたいと思います。当院ではさまざまな症状を抱える患者さんが来てくださっていますので、どんな悩みを抱える方にもお越しいただけたらと思います。これまでさまざまな経験をしてきた分、引き出しも多くあります。きっとお力になれると思いますので、まずはお気軽にご相談ください。
自由診療費用の目安
自由診療とは成人矯正/60万円~、オフィスホワイトニング/8000円~