中山 清貴 理事長の独自取材記事
中山歯科医院
(姶良市/帖佐駅)
最終更新日:2025/05/09

姶良市の歯周病専門歯科医院として、地域で30年以上診療を行う「中山歯科医院」。中山清貴理事長は、歯周病を専門とする歯科医師として長きにわたり研鑽を続けてきた。口腔内の問題はもちろん、全身への影響も考慮しながら原因を追究し、根本的なアプローチを行う包括的な歯科診療が理事長のスタイル。その内容には一切の妥協がなく、深夜まで仕事をする日も珍しくないという。また、患者の理解や意識改革といった精神面での働きかけも重視。「患者さんはお客さまではなく、ゴールまで一緒に頑張るパートナー」と話すように、対等な関係、同じ熱意で治療に臨みたいと考えているようだ。そんな中山理事長に、同院の診療の特徴や予防に対する考え方、日々の原動力となっているものなどについて聞いた。
(取材日2025年3月26日)
時間と手間を一切惜しまない包括的な歯科診療に注力
こちらで行っている診療の特徴について教えてください。

当院は包括的な診療を中心に提供する歯周病専門の歯科医院です。歯周病の患者さんの中には、噛み合わせをはじめお口の中全体を治療する必要がある方も多くいらっしゃいます。さらに歯科的な要因から肩凝り・片頭痛・腰痛といった体への悪影響が出ているケースもあり、そうした症例を1~3年ほどかけて治療するのが当院のスタイルです。常に真剣に治療に取り組んでおり、正確な診断のために検査も手を抜きません。まずは数回の診察と1時間ほどのヒアリングを通して、お口の中はもちろん、立ち姿や就寝時の体勢も含めてその方の全身をくまなくチェック。そして検査データを約5時間かけて編集し、体がどのようにゆがんでいるか、それが噛み合わせとどう関係しているのかなどをご説明していきます。
患者さんはどのような方が受診されますか?
しばらく歯周病治療を受けているものの、なかなか快方に向かわず困っている方からご相談を受ける機会が多いです。近隣にお住まいの方だけでなく、市外から時間をかけて通院してくださる患者さんも少なくありません。また、ご高齢の方のほとんどは口内環境が乱れていて、本来は抜歯しなければならないような歯を放置してしまっているケースも見かけますね。近年は歯を抜かないことの重要性に焦点があたっていますが一概には言えず、診断力が問われる部分だと思っています。さらに、歯周病の遠因となる噛み合わせが片頭痛にもつながっていたり、痛みの理由が歯ではなく、頬づえなどの癖や姿勢による顎関節症だったりするケースも。当院ではそうした原因を念頭にアプローチしますので、不定愁訴の原因の発見につながることもあるでしょう。ただ治すには数年単位の治療が必要で、ここが当院の特色であり、患者さんにご理解いただきたいところだと考えています。
診療は完全予約制ではなく、完全「約束」制だそうですね。

当院は一度に複数の患者さんを診療せず、1時間または90分かけてお一人に集中するスタイルなので、お約束の時間をしっかり守っていただいています。歯科に対する意識は人それぞれで、日常生活において急に受診が難しくなる場面も出てくるかもしれません。それでも、どうか歯科の優先順位を上げてほしいんですよね。また長期にわたる治療をやりきるには、ゴールまで二人三脚で歩んでいく必要があります。私たちが「患者さま」ではなく「患者さん」という言葉を使用しているのも、フルマラソンのパートナーのように、対等な立場で治療に臨みたいという気持ちからなんです。一度お口の中に手を加えたら元に戻すこともできませんので、患者さんにもぜひ「本気で治す」という気構えを持っていただけたらうれしいです。
すぐに治療せず、予防への理解を深めることから始める
治療の前には、予防プログラムを実施していると聞きました。

当院の予防プログラムは、ただ歯磨き指導を行うだけのものではありません。最終的に患者さんが自立できるよう、予防への意識改革から取り組んでいるのが特徴です。顎の骨の吸収度合いを立体的に把握するため、歯科用CTを使った検査も実施。現在のお口の状況をわかりやすくお見せするとともに、根本的な治療が必要な理由をお伝えしています。そして染め出しによって磨けていない箇所を確認した上で、歯垢の付着具合を示すプラークスコアが10%以下になるまでサポートします。ご本人が予防を重視できないうちは、治療しても数年後には虫歯ができてしまうでしょう。そんな未来が実現しないよう、一定のレベルまで達成できた方にのみ包括的治療をご提案し、保険診療の限界、治療に時間がかかる理由、自由診療で対応する範囲などを丁寧にご説明するようにしています。
では、こちらでの診療は自由診療の割合が高いのでしょうか。
はい、35%くらいの患者さんには自由診療を行っている状況です。例えば抜歯などの処置は保険診療、複雑な治療は自由診療といったように、一人ひとりに応じて治療内容を考えています。幅広い材料を使えて、時間もたっぷりと確保できる点が自由診療の大きなメリットですね。とはいえ、人工物に置き換わった歯はどんなものでも破損や消耗のリスクが伴います。より希望に沿った治療をと考えれば自由診療が望ましいと思う一方で、理想は患者さんが予防に対する意識を持ち、歯が悪くなる前に受診することだと考えています。私は来年70歳になりますが、すべての天然歯を維持できています。歯は適切にケアすれば一生使えるはずなのです。しかしそれができなかったために、高額な治療を受けなければならなくなった方が大勢いる。これは、もっと予防に関する情報を提供してこなかった歯科医院側の責任でもあると重く受け止めています。
治療にあたり、院内感染対策も徹底しているそうですね。

口の中は毛細血管が集まっている出血しやすい器官のため、歯科医院は感染リスクが高い場所といえます。従って当院では院内感染対策に注力しています。一例として、歯を削るタービンという器具は決して使い回しをせず、開業時から患者さんごとの交換を徹底。グローブなどの用具も、できる限り使い捨てにしていますね。ほかにも人の手が触れるところに都度カバーをかけたり、治療の際に粉じんや血液が飛ぶような場所にラップをかけ、治療後にラップごと処分したりと配慮しています。ここまで念入りに準備していますので、治療が終わった後は毎回片づけに5分ほどかかるんですよ。
患者と歯科医師の2人で、悪いところを「本気」で治す
妥協せず、情熱を持って診療する背景にはどんな思いがあるのですか?

「中山歯科医院の治療はこの程度」と思われるのは嫌という気持ちですかね。私は日々プライドをもって診療にあたっています。当時は立ち上がったばかりの分野であった歯周病治療に携わり、患者さんと関わる中で「先生と出会えて良かった」「長生きしてくださいね」といううれしいお言葉をいただくこともあります。何十年とお付き合いが続いている方もおり、心からうれしく思っています。保険診療であろうと絶対に手は抜きたくない。「自分の歯科医療を行う」という気概で開業後も研鑽を続け、積み重ねてきた経験が今に生かされています。
今後の展望をお聞かせください。
患者さんやスタッフの増加に伴い、2026年に向けて当院の増改築を計画しています。より質の高い診療を行うためにいろいろと準備を進めておりますので、しばらくお待ちください。また当院には現在、障害者歯科を勉強中で、鹿児島医療福祉専門学校の講師も務めている長女が勤務しています。さらに2026年4月からは長男も一員となり、全員で連携しながら患者さんと向き合ってまいります。
最後に読者へのメッセージをお願いします。

皆さんにはお口の健康を自分事として捉え、時間をとって歯科を受診していただきたいと願っています。歯はお体の健康にもさまざまな影響を及ぼします。加えて、お子さんの虫歯はほとんどの場合お母さんのお口から感染するため、妊娠中から母体を大事にしてほしいですね。歯茎が腫れたりするのは口腔ケアが不十分なサインですので、適切なケアを受けて健やかな毎日を送りましょう。そして噛み合わせや片頭痛などでお悩みの方、歯について本気で相談したいという方はぜひ当院にお越しください。現状をしっかり共有し、納得した状態でお互い真剣に治療に向き合う土台はできています。
自由診療費用の目安
自由診療とはインプラント治療(上部構造込み)/41万8000円~、歯列矯正/60万円~70万円、ホームホワイトニング/3万3000円、予防プログラム/1回5500円(全4回)