深澤 信悟 院長の独自取材記事
ふかさわクリニック
(横須賀市/京急長沢駅)
最終更新日:2025/10/07

京急長浜駅のすぐ近くで約20年も診療を続ける「ふかさわクリニック」。地域のかかりつけクリニックとして、内科、外科、消化器内科、小児科など幅広く診療している。子どもから高齢者まで受診する同院では、「専門性にとらわれず患者さんの全体を診て、ちょっとした不安や悩みも話せる『健康よろず相談所』をめざしています」と深澤信悟院長。「深刻な表情の患者さんに、安心・満足して笑顔で帰っていただくことが私にとってのやりがい。そのためにも、患者さんの話を十分に聞き、生活背景なども考慮して診断・治療に臨んでいます」。胃や大腸の内視鏡検査、動脈硬化の検査なども院内で実施でき、設備も充実した同院。診療面での特徴や地域医療への想いを深澤院長に聞いた。
(取材日2025年9月9日)
子どもから高齢者まで受診する「健康よろず相談所」
こちらで開業された経緯や診療方針などをお聞かせください。

私は大学卒業後に横浜市立大学の外科系の医局に入り、県内の大学病院や基幹病院に勤務し、横須賀共済病院の外科では10年ほど診療していました。治療する患者さんの生活背景などを聞き、ご家族と一緒に治療の選択肢を検討する中で、もっと前の段階で広く健康相談ができるクリニックの必要性を感じて、同じ横須賀市内での開業を考えたんです。ですから当院のコンセプトは「健康よろず相談所」で、患者さんの全体を診て、明確な症状はもちろん、健康への不安や悩み、ちょっとした不調など、さまざまな相談ができるクリニックをめざしています。ただ、1回の診療で全体を診るのは難しい面もあり、患者さんも緊張してあまり話せないこともしばしば。そのため当院では何度か通っていただく中で信頼関係をつくり、さまざまな角度から話を聞いて診断・治療することも大切にしています。
現在はどんな患者さんが受診されるのでしょうか。
近隣には高齢の方も多く、糖尿病や高血圧症といった生活習慣病、膝・腰などの関節痛の他、さまざまな症状を診ています。また胃や大腸の内視鏡検査も積極的に行っているため、30〜40歳代くらいの方も検査希望でおみえになりますね。小さなお子さんは発熱や腹痛、アレルギー疾患などでの受診が多く、親子2代、3代で受診されるケースもあります。一方で高齢になると定期検診を受けなかったり、症状があっても我慢されたりと、なかなかクリニックに足を運ばない方も多いのが実情です。ある程度の年齢からは「一病息災」で、何かの病気で継続受診して全身を診ていると他の病気も早期に発見しやすく、健康維持や長寿につながると考えてください。あまり受診のハードルは高くないと思いますので、気軽に来院していただきたいですね。
診療の際に心がけている点についてお聞かせください。

患者さんからの聞き取りを表面的なものにせず、ご本人の悩みやご家族の状況のような生活背景も含めて深掘りすることです。症状の原因が体にあるのか精神的な影響なのかで対処も違ってきますから、「血圧がこの数値だから」みたいに検査結果だけで診ることはありません。その意味でも通院して何度も話していただくことは大切ですし、医師ではなく看護師になら話しやすいなどもあるので、話し相手を変えて聞き取るような工夫も重ねています。何度か話すうちに「実は以前から膝も痛くて」など別の症状を話されることも多いですね。こうした患者さんとの付き合い方は基幹病院では難しく、当院のような地域に密着したクリニックの役割だと考えています。
内視鏡検査や動脈硬化の検査で病気の予防・早期発見を
こちらは内視鏡検査にも力を入れていると伺いました。

横須賀共済病院などで多数の検査を行った経験を生かし、当院でも胃や大腸の内視鏡検査のご希望に応えています。最近は内視鏡検査の予約枠を増やし、緊急検査枠も設けているので、急ぎの場合にも対応可能です。胃の検査は鼻から検査用ファイバーを通すことで、喉の嘔吐反射の軽減を図る経鼻内視鏡が利用でき、AIによる診断補助システムも取り入れて診断精度の向上を図っています。大腸では検査時に見つかった大腸ポリープの切除まで実施。また高齢の方にとってはリスクが高い静脈内鎮静は使用せず、話しながら様子を見て検査用ファイバーを動かし、なるべく痛みを軽減できるよう配慮して検査します。特に大腸がんは罹患率、死亡率ともに他のがんに比べて高めといわれていますが、早期発見なら治療しやすいとされているので、自治体のがん検診で便潜血検査を受けて、陽性の場合は大腸がん検査で確認してください。
その他、診療面での特徴などを教えてください。
自覚症状なく進行し「サイレントキラー」とも呼ばれる動脈硬化の状態がわかるCAVI検査の装置を導入して、早期発見をめざしています。検査はあおむけに寝て両手首・両足首の血圧を測るだけと手軽で、結果もすぐに表示されます。当院では糖尿病、高血圧症、脂質異常症といった生活習慣病の患者さんの他、疑わしい症状のある方などに行っています。この他に一般的な血液検査、超音波検査など、なるべく当院だけで必要な検査が受けられるよう検査機器をそろえました。もちろん、より専門的な検査や治療が必要なときは病院にご紹介できるよう連携し、症状や患者さんのご希望をもとに、横須賀市立市民病院、久里浜に移転して近くなった横須賀市立総合医療センター、私が勤務していた横須賀共済病院などにご紹介しています。
以前から訪問診療にも取り組まれているそうですね。

地域の高齢化で通院が難しくなる患者さんが増えるのはわかっていましたから、開院当初から訪問診療を行ってきました。もともと当院に通われていた方のご自宅と、近隣の特別養護老人ホームへの訪問が中心で、定期的な訪問日を決めて回っています。また必要なときは24時間対応できるよう、夜間や休日の往診依頼は他の医師に協力を仰ぐ体制にしています。外来で診ていた患者さんの場合、そのまま在宅まで診ていけると患者さんやご家族にも安心していただけますし、私自身もそれまでの経緯がわかっている点がメリットに感じますね。ただ、外来診療の時間もあって訪問先をあまり多くはできないので、ご希望の方は一度ご相談いただければと思います。
誰もが健康に楽しく暮らせる地域づくりが今後の目標
先生が医師になられたきっかけや診療でのやりがいをお聞かせください。

私は無類のSF好きで、将来はロボット工学が学べる大学に進学して人型ロボットを作ろうと思っていました。しかし途中から、未来のロボットと医療を結びつけて考えるようになり、それが医師への道を決定づけたんです。大学では脳外科や整形外科にも興味を持ちましたが、最終的に体全体を診られる外科を専攻しました。卒業後は出身地である横浜市内で経験を積み、横須賀共済病院で乳がんをはじめとした外科治療に10年ほど従事した後、地域で患者さんを広く診たいと考えて当院を開業しました。やりがいはやはり患者さんの笑顔ですね。おいしい食事をすると満足して笑顔になるように、もしクリニックに来る前は深刻な顔でも、当院に来て、安心や満足で笑顔になって帰っていただくことができれば一番です。
今後の展望や取り組みなども伺えますか。
クリニックというより私自身の取り組みとして、地域で健康増進の活動を広げたいですね。例えば若い方も高齢の方も集まれる交流の場を設けて、世代を超えて会話したり一緒に映画を見たりできれば、外出の機会も増えて医療が必要になるケースの減少につながると思うんです。現在も楽しみながらできる運動プログラムを提供しているので、その延長上で実現できればと考えています。また、病診連携だけでなく診診連携の強化の取り組みも重視しています。横須賀市には各所にバランス良く基幹病院が配置されていますが、より身近な範囲でクリニック同士がつながれば、基幹病院に行かなくても診断・治療が可能なケースも増えるはず。高齢になっても安心して暮らせる地域づくりにも貢献できればと考えています。
最後に地域の皆さんにメッセージをお願いします。

症状が悪化してからクリニックを受診するのではなく、なるべく病気にならないため、病気を早期に見つけるためにも当院をご利用ください。横須賀市のがん検診も受けられ、お子さんの予防接種も行っています。特に高齢の方は元気に動ける時間をなるべく長く維持できるよう、健診だけでなく積極的に地域と関わって活動していただければと思います。当院でも「健康よろず相談所」としてサポートしていきますので、誰もが楽しく暮らせる地域づくりに一緒に取り組めたらと思います。
自由診療費用の目安
自由診療とは人間ドック/9500円~