全国のドクター13,854人の想いを取材
クリニック・病院 156,767件の情報を掲載(2025年6月18日現在)

ドクターズ・ファイル会員でできること

予約情報をマイページ上で管理できます!

過去の予約を一覧化

予約内容の確認

予約の変更・キャンセル※

※一部対象外の医療機関もありますので、あらかじめご了承ください

会員登録がお済みでない方は

すでに会員の方は

  1. TOP
  2. 東京都
  3. 世田谷区
  4. 梅ヶ丘駅
  5. 土居皮膚科
  6. 土居 敦子 院長

土居 敦子 院長の独自取材記事

土居皮膚科

(世田谷区/梅ヶ丘駅)

最終更新日:2025/05/14

土居敦子院長 土居皮膚科 main

世田谷区役所からも程近い閑静な住宅街に立つ「土居皮膚科」。脳外科の医師である夫が育てているというバラをはじめ、季節の花々に囲まれた一軒家のクリニックは、2016年に開院から30周年を迎えた。近隣の幼稚園や保育園に通う子どもたちが登園前に受診できるようにと、朝は8時30分から診療。土居敦子院長の穏やかで優しい人柄が、診療方針にも反映されている。「患者さんにわかりやすい医療」を希望し、電車を乗り継ぎ遠方から通う患者も多い。開院当初に生まれた院長の次女が、今では同院の受付と子どもたちのケアを務め、土居院長にとって心強い存在になっているという。家族の愛に支えられ、丁寧な治療を提供し続ける土居院長に話を聞いた。

(取材日2017年3月17日)

時間をかけて丁寧に説明することが患者の身を守る

まずは、こちらの医院の診療方針を教えてください。

土居敦子院長 土居皮膚科1

初診に関してはしっかり時間を取ってご説明するようにしています。例えば軟膏については、量も塗り方もしっかり教えていますね。軟膏って、何となく適当に塗っている人が多いと思いますが、正しい塗り方をしないと治りが遅くなります。院内では、実際に患者さんに軟膏を塗ってもらっていますが、ここで教わっても家に帰ったら忘れることもあると思うので、塗り方はもちろん、薬の注意事項など患者さんに知っておいてもらいたい内容をプリントして渡しています。大学生の患者さんがいらして「ここをもう1回読んでね」と言うと、「塾みたい」なんて言われます(笑)。アトピー性皮膚炎でとびひになるかもしれない、水イボになるかもしれないというふうに予告しておけば、患者さん自身が気がついて身を守ることにもなるので、おしゃべりおばさんになって細かく言うようにしています(笑)。

遠くから来られる患者さんも多いそうですね。

わざわざ電車を乗り継いで、世田谷区だけでなく東京市部から通ってくださる患者さんもいらっしゃいます。多くの人は、クチコミで来られているようですね。すぐ近くにある大学の運動部の学生さんは、とても熱心に練習をしているので、帯状疱疹にかかってしまう方もいます。帯状疱疹はイメージとして高齢者に多そうですが、体を酷使する若い人にも多い症状です。また股部白癬、いわゆるタムシで来る患者さんもいらっしゃいますね。最近は近隣の幼稚園や保育園の子どもたちも多いので、登園前に立ち寄れるよう朝は8時30分から診療しています。私の次女が当院の受付と来院された子どもたちのお世話もしてくれていて、お兄ちゃんの診察中、きょうだいは娘が一緒に遊んでくれたりなど、とても心強い存在になっています。

お母さん方の肌の悩み相談なども多いのではないでしょうか。

土居敦子院長 土居皮膚科2

美白やお肌のトラブルに関する女性の患者さんからのご相談は多いですね。肌を美しく健康的に保つには、質の良い保湿が欠かせません。しっかりとした保湿のために高価な化粧品を使うのも一つの対策でしょうが、なかなか高くて手を出せない人も多いと思います。ここでは保湿性にこだわった化粧水の紹介も行っています。まずは最初にしっかりと診察を受けていただき、お肌の状態を確認してからの紹介となります。当院では液体窒素を使ったイボの除去なども行っていますが、治療方針としては基本的にシンプルで、何より安心できる内容であるよう気をつけています。

機器を使った「患者さん参加型」の診療スタイル

先生が診療の際、心がけていることは何でしょう。

土居敦子院長 土居皮膚科3

先ほども話したわかりやすい言葉と丁寧な薬の指導、そこに「カメラを使ったビジュアルのわかりやすさ」も加えています。拡大カメラを使うと、肉眼では見えない肌のきめや毛穴の状態まではっきり見えます。また、ほくろには良性と悪性の2種類があり、このカメラを使うことで悪性のほくろを見抜くこともできます。男性の場合、薄毛の治療で通って来られる方もいらっしゃいますが、このカメラだと毛根の状態がよくわかり、AGA治療後の毛根の状態もわかります。結果を見ることで患者さんも安心できますからね。女性の方が気にするお肌の状態ですが、ここではお肌の水分チェックもしています。カメラも水分チェックも、患者さんには気軽に受けていただいていますね。このような機器を使って、患者さんご自身に自分の状態をよく知っていただき、「患者さん参加型」の診療スタイルを心がけています。

以前こちらは予約制だったと伺っています。

梅丘に住んでいる皆さんから「近くに皮膚科はあるのだけれど、どこも完全予約制でなかなか行けない」という声をいただいたんですね。長年お世話になっているこの地域の方々が皮膚科に来られない状況を何とかしたいということで、予約制をなくしました。予約制でなくなったことで、来院しやすくなったみたいです。開院した頃は、今と同じシステムで診療していたので、その頃の患者さんも戻ってきてくださいましたね。予約制で待たないほうがいいと言う人もいらっしゃいますし、説明にしても簡単なほうがいいと言う人もいる。いろいろですよね。最近は、インターネットである程度勉強して来られる患者さんも多いので、説明が短く済むケースも増えてきました。

往診も再開されたそうですね。

土居敦子院長 土居皮膚科4

最近、在宅でご家族のお世話をする人が多くなったので、往診で床ずれを診たり、爪を切ったりしています。通院するのが大変になった高齢者の方が中心ですね。女性の患者さんなどは、例えばがんの治療をしていて、抗がん剤の影響でいろいろなところに色素が出て気持ちが沈んでしまうこともあります。そんな時、何か一つでもきれいになることが望めるとパーッと元気になるということもあるんですね。心持ちというか、何か一つでも励ますことができたらいいなと思います。かぶれだと思って薬を塗っていたけれど、「これはカンジタというカビがついているんですよ」って言うと、ビックリされたりすることもあり得ますから、そういう知識が少しでも役に立てばいいなと思います。

元気を還元し、元気をもらう。患者とは一期一会

昨年、30周年を迎えたと伺っています。

土居敦子院長 土居皮膚科5

年を重ねるごとに、見えるところが変わってきたと感じます。私は患者さんとお話するのが好きなので、つい話を聞いてしまうのですが、以前は患者さんの悩みを吸収し過ぎてつらくなる時期もありました。今は、どんな患者さんのお話も面白いな、こんな考え方もあるんだと受け入れられることが多くなったかもしれません。皮膚は心とつながっているんですね。だからアトピー性皮膚炎がひどく出たり、ニキビがたくさんあるとみんな下を向いてしまいます。でも、医者が一緒に下を向いちゃうのはあまり良くないんだなと思いますね。「大変だね」「そうだね」って言っても、「その時はこうするんだよ」と、その先の道しるべになるようなことを言えるようになりたいと思います。

先生はすごく患者さんの気持ちに配慮なさっていますね。

きっと私は医師という仕事をしていなければ、ここまでたくさんの人と話すことはなかったと思います。このクリニックを開院した頃は、次女が生まれたばかりだったので2足のわらじというか、いわゆる働くお母さんの草分けでした。その時、その時代で見えるものが変わってきて、今は家で親の介護などをするご家族の目線になってきました。往診で患者さんのお宅に行くと、患者さんのご家庭の事情や背景がよくわかります。いろいろな家庭や生活があることを改めて知ることで、同じ言葉でも、患者さんによって受け取り方が全然違うことにも気がつきます。だからこそ「この人は何を求めているのかな」、「何を求めてここに来られたのかな」と考える癖がつきましたね。

これからの展望をお聞かせください。

土居敦子院長 土居皮膚科6

30年も医師を続けていると、3世代で来てくださる患者さんもいらっしゃいますし、皮膚の話から始まって、皆さん聞けば豊かなものを持っている人が多いですね。下を向いている人がちょっと上を向いて、「これだけ良くなったんだ」と元気になって帰ってくれたらいいなと思います。患者さんとは一期一会。わざわざ来ていただいてありがとうという気持ちは、ずっと変わりません。常に新しい知識を吸収するために、勉強会にも行っていますし、努力はしていきたいですね。還暦も過ぎたことだし、自分が元気で患者さんに還元すれば、今度はまた患者さんから元気がもらえます。明るく診察できたら、みんなが楽しい。だから、医者がへこたれてちゃいけないなと思います。

Access