守本 優子 院長の独自取材記事
もりもと矯正歯科
(広島市安佐南区/中筋駅)
最終更新日:2025/04/07

安佐南区の中筋1丁目交差点に位置する「もりもと矯正歯科」は、矯正歯科専門の歯科クリニック。院長の守本優子先生は、矯正歯科治療を専門に40年近く診療に従事してきたベテランで、日本歯科専門医機構認定の矯正専門医資格も有する。自身も患者として歯列矯正に苦労した経験から、患者の不安や苦労に寄り添った治療を心がけている。また、患者には科学的根拠に基づいた客観的な情報を提供するとともに、丁寧なカウンセリングで一人ひとりに適切な治療を提案する。もちろん矯正治療中もチェックやフォローを欠かさない。「美しい歯並びをめざし、明るく健康に過ごすことは一生の財産となると思います」と語る守本先生に、歯列矯正のメリットや方法、治療の際に心がけていることなどを聞いた。
(取材日2025年3月7日)
豊富な経験と専門知識で、適切な歯列矯正を行う
開業して25年になるそうですね。

1986年に広島大学歯学部を卒業し、歯科医師免許を取得後、広島大学病院歯学部矯正科で診療・研究に従事した後、2000年に当院を開院して、今年で25年目になります。私自身、小学4年生から高校2年生まで矯正治療で苦労した経験がきっかけで、矯正歯科医をめざしました。私は反対咬合で担当の先生を悩ませるぐらいの難しい症例で、当時はまだ、矯正装置をつけていると珍しがられました。今では、矯正治療は珍しいものではなくなりました。歯並びへの関心が高まることはいいことですが、一方で、マウスピース型装置を用いた矯正や、子どもへの早期矯正治療があまりに過熱していることを懸念しています。どんな治療方法にも適応症がありますし、メリットだけではなく、デメリットも考えておかなければいけません。当院では、治療前にご自身の状態と治療の内容を十分に理解していただくよう、丁寧なカウンセリングを大切にしています。
これまでに難しい症例も診られてきたのではないでしょうか?
広島大学病院で14年間診療に従事し、一般的な矯正治療以外に、いわゆる難症例、先天疾患を有する症例、手術を併用する顎変形症などの治療も多く経験しました。歯科医師が矯正治療を本格的に学ぶには、歯科医師免許取得後に大学病院などの研修機関で最低5年程度の研修を積む必要があるといわれます。矯正治療についての研修・治療実績を示す資格として日本歯科専門医機構の矯正歯科専門医資格が新設されました。認定には厳しい審査を受ける必要があるのですが、このたび、第1回審査を無事通過しました。また、当院は特定疾患による不正咬合や、顎変形症に対する保険適用の矯正治療にも対応しています。顎変形症は、上下顎骨の形・位置のバランスが悪いことで噛み合わせに大きく問題が生じている状態で、歯の矯正治療に加え、顎骨を移動させるための手術が必要になるため、大学病院と連携して治療しています。
治療の際に心がけていることを教えてください。

患者さんに良いことばかりを伝えるのではなく、矯正治療でできること・できないこと、リスクなどについても、できるだけ客観的な情報を提供するようにしています。選択肢を提示して患者さんに選んでいただきます。ちまたにあふれている矯正治療に関する情報を見て、いろいろな思いをもって受診される患者さんもいらっしゃいます。ですが、骨格も歯の大きさも個性があるので、すべての人が同じような治療になるわけではありません。まず、ご自分の状態を正しく認識していただき、それに合った治療方針を提示した上で矯正治療開始をご検討いただくことが重要です。患者さんにしっかり理解していただくために、当院は初診相談に40分~1時間程度の時間を取っています。
丁寧な説明で、納得のいく歯列矯正を
カウンセリングに時間をかけているんですね。

初診の際は、歯の写真やエックス線写真を撮影し、必要に応じて口腔内3Dスキャナーも使います。これらの情報をもとに、カウンセリングをさせていただきます。難しい症例では、歯型を採り模型を作ってから説明したほうがわかりやすいため、相談を2回に分けて行うこともあります。矯正は時間も費用もかかる治療です。後悔することがないよう、患者さんによく考えて決めていただきたいので、その日のうちに矯正開始を急がせるようなことはありません。
生活にも配慮した矯正プランを提案されていると伺いました。
矯正治療は治療期間が長いため、進学や就職、転居などのイベントにぶつかってしまうことがあります。治療中は月1回通院していただきますが、忙しく余裕がない時は、月1回の通院さえ難しいこともあります。無理のない治療を受けられるよう、患者さんの生活に合った治療開始時期を選ぶようお勧めしています。子どもの場合は骨格や歯の大きさの個性に加えて、顎骨の成長や歯が生えるタイミングの個人差が大きいため、将来の予測も含めて効率的な治療計画を立てることがより重要になります。長期間にわたる治療になりますので、患者さん側にも正しく理解していただくことが大切です。“早く治療を始めれば早く終わる”、あるいは“早く治療を始めれば将来歯を抜かずに済む”というものでもありません。開始時期も慎重に考える必要があります。
子どもの矯正について詳しく教えてください。

健全な永久歯列を育成することが治療のゴールですので、本当の意味で“治療終了“と言えるまでには長い期間が必要です。そこで、矯正治療を1期治療と2期治療に分けます。1期治療は前歯が生え替わる7~8歳頃から行う成長・発育を利用した早期矯正です。2期治療は永久歯がはえそろってから行う仕上げの矯正で、大人の矯正と同じ装置を使用します。もちろん、すべての患者さんが1期治療・2期治療を両方受けているわけでもありません。1期治療だけで治療を終えられることもありますし、逆に、2期治療からの開始で問題ない場合もあります。また、子どもさんが治療を嫌がるようであれば、無理しても良い結果が得られないこともあります。子どもさんの状態を総合的に見て、できる限り無理・無駄のない治療方針をご提案するようにしています。
さまざまな手法の中から、より適した方法を提案する
こちらでできる歯列矯正にはどのようなものがあるのでしょうか?

ワイヤー矯正、透明なマウスピース型装置を用いた矯正、舌側矯正など通常使用される装置のほとんどに対応しています。ワイヤー矯正は基本的な装置で幅広い条件に適合します。マウスピース型装置を用いた矯正は、透明なので目立たない、食事の時は外せる、歯磨きしやすい、口内炎ができにくいといったメリットがありますが、対応できない症例があります。また、取り外し式の装置は、患者さんがきちんと使わないと効果が出ません。1年半から2年、1日20時間装着しないといけないため、それがしっかり守れる人でない場合は難しいかもしれません。裏側矯正は装置が見えないメリットはありますが、費用がかかります。どの装置を使用しても歯科医師の定期的な調整やフォローが必要です。
歯列矯正は患者さんの意識が重要だそうですね。
装置の使用や毎日の歯磨きなど患者さんが主体的な意識を持って協力してくださると、矯正治療はスムーズに進み、良い結果が望めます。また、歯並びが悪くなる原因や、治療後の後戻りの原因として、口腔機能や習癖、生活習慣が影響していることもあります。例えば、舌の使い方の癖が原因で前歯が噛み合わなくなったり、唇を吸う・噛む癖によって歯並びの形が変わったりします。姿勢が悪いことが顎骨の形に影響することもあります。歯を診るだけでなく、機能や習癖についてもしっかり観察し、改善できるようアドバイスしていますが、患者さんや保護者に改善しようとする意識を持っていただくことが必要です。良い機能や生活習慣を身につけて、歯並びだけでなく全身の健康を維持するためのきっかけになればいいと思います。
読者へのメッセージをお願いします。

「歯ならびが悪い」といっても、一人ひとりの状態は千差万別です。もちろん、矯正の方法や期間なども状態によって異なります。初診では丁寧なカウンセリングを行い、歯並びや噛み合わせの状態、矯正方法などについて、できるだけ詳しい情報を提供するよう心がけています。患者さんの望む歯列を実現できるよう、一緒に考え、努力しますので、まずはお気軽にご相談ください。矯正中は我慢しなければならないこともあるかもしれませんが、矯正によって望める美しい歯並びで明るく健康に過ごすことは一生の財産となると思います。
自由診療費用の目安
自由診療とはワイヤー矯正/93万5000円~、マウスピース型装置を用いた矯正/104万5000円~、舌側矯正/115万5000円~、部分矯正/16万5000円~(税込み)
※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。