平田 慶和 院長の独自取材記事
ひらたクリニック
(江南市/江南駅)
最終更新日:2026/04/03
江南駅から車で約10分、田畑が広がるのどかな一角に、「ひらたクリニック」2025年12月に継承開業した。院長の平田慶和先生は、名古屋市立大学大学院を修了後、同大学病院で助教、春日井市民病院で部長を歴任した内科のエキスパート。日本内科学会総合内科専門医をはじめ、日本消化器病学会消化器病専門医、日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医の資格を持つ。内視鏡検査に25年以上携わり、後進の指導にもあたってきたが、それでいて「売りにするほどでもないですよ」と穏やかに笑う謙虚な人柄が印象的だ。技術を極める中でたどり着いたのは、病気だけでなく患者の心にも寄り添う医療の大切さ。白を基調とした院内には手作りの掲示物が温かく並び、アットホームな空気が漂っている。平田院長に開業の経緯や診療への思いを聞いた。
(取材日2026年3月10日)
内科や消化器内科の専門性を生かし町のかかりつけ医へ
まずは開業に至るまでの経緯をお聞かせください。

名古屋市立大学大学院を修了後、同大学病院に籍を置き、総合内科学の助教として診療と研究に取り組みました。その後は春日井市民病院に移り、部長として内視鏡を中心とした消化器診療に力を注いできました。もともとは先進の内視鏡治療を追求するスペシャリストをめざしていて、ほかの病院では対応が難しい症例を任される場面も増えていきましたね。ただ、経験を重ねるうちに技術だけでなく、患者さんの心に寄り添うことの大切さも感じるようになったんです。一方で病院では管理的な業務が増え、患者さんと直接向き合う時間が減っていきました。「もう一度しっかりと患者さんのそばで臨床に携わりたい」という思いが強くなり、2025年12月にこちらで開業しました。
先生が医師を志されたきっかけや、消化器内科を選ばれた理由を教えてください。
高校生の頃、身内が病院を受診して説明を受けても、よく理解できないという場面を目にしたことが原体験になっています。医療は専門的な世界でもあり、患者や家族の気持ちをくみ取って、わかりやすく伝えられる医師がいたらいいなと思ったのがきっかけでした。消化器内科を選んだ理由は、初期研修でさまざまな分野を経験する中、内視鏡が純粋に面白かったからです。今もかなり好きですね。好きだからこそ25年以上続けてこられましたし、後進の指導にも自然と力が入りました。こうした歩みの中で、総合内科専門医のほか消化器病専門医、消化器内視鏡専門医の資格を取得し、がん治療についても知識を深めました。幅広い知識の裏づけが、日々の診療に生きていると感じています。
クリニックの診療内容や特徴について教えてください。

総合内科専門医として、幅広い内科症状に対応できる「かかりつけ医」でありたいと考えています。当院の患者さんの中には腰や膝の痛みを抱える方も多いため、地域のニーズに応えてリハビリテーション科も設け、注射などの処置にも対応しています。医療機器に関しては、先進の内視鏡やエックス線、エコーなどを新たに導入しました。建物など見た目の華やかさよりも、まず中身をしっかり整えることが患者さんのためだと思ったからです。また小さなクリニックだからこそ小回りが利き、「今すぐ治療しましょう」といった柔軟な対応も可能です。通院回数や待ち時間、検査の苦痛をできる限り減らし、心身ともに負担の少ない診療をめざしています。
「次も受けてもいい」と思ってもらえる内視鏡検査を
特に注力されている内視鏡検査について教えてください。

内視鏡検査は25年以上取り組んできた、私にとって特に思い入れの深い分野です。大学病院や総合病院で経験を積んできましたので、それと同等レベルの検査を身近なクリニックで受けていただけると自負しています。大切にしているのは、いかに苦痛を少なくするかということ。私自身も定期的に内視鏡検査を受けていますので、検査する側と受ける側、両方の気持ちがわかるんです。どうすれば苦しくならないかを常に考えながら行っています。また、検査を受けた方にアンケートをお願いし、院内に掲示する取り組みも始めました。「この検査ならまたやれそう」と思っていただくとともに、次に検査を受ける方の後押しにもなればうれしいですね。
これまでの診療の中で、印象に残っている出来事はありますか?
以前は早期の病変を見つけて自分の手で治療することにやりがいを感じていました。転機になったのが、潰瘍性大腸炎という難病を抱えた一人の女の子との出会いです。小学校の頃から入退院を繰り返し、学校にもほとんど通えないまま高校生になって、「もう楽しいことなんてない」と口にしていました。何とか前を向いてほしいと考えたのですが、医師の力だけでは限界がある。そこで看護師たちとチームを組んで支えると同時に、同じ病気を抱えるプロ野球選手を招いた講演会や患者さん同士の交流会などを企画しました。やがてその子は治療に前向きになり、「勉強を頑張ってみる」と言って、希望の大学に合格してくれたんです。技術も大事ですが、心のケアこそが大切だと教えてくれた忘れられない経験です。
日々の診療で大切にされていることを教えてください。

特に意識しているのは、患者さんの本音を聞き出すことです。最初は「特に何もありません」とおっしゃっていても、たわいない会話をしていると、気になっていたことを打ち明けてくださることが多いんです。そこにこそ大事な手がかりがあると感じています。患者さんやご家族の気持ちをくみ取り、わかりやすい言葉で伝えることは、医師をめざした頃からずっと重視してきたことでもあります。一方で、より高度な治療が必要と判断した場合には、速やかに適切な医療機関へおつなぎすることも開業医の大切な役目です。大学病院や市民病院で長年勤務してきた中で培った知識や人脈をもとに、一人ひとりの状態に応じて適切な紹介先を判断できるのは、自分ならではの強みだと考えています。
ベテランスタッフとともに、体と心のよりどころへ
院内の温かな雰囲気が印象的ですが、スタッフさんについても伺えますか?

当院には前身の医院から勤めているベテランのスタッフが多いのですが、これが本当にありがたいですね。事務員も看護師も、患者さんの顔と名前はもちろん、生活の背景まで細かく把握しているんです。例えば「この方は一人暮らしで、こういうことで困っている」「こういう食べ物が好きだから、つい血糖値が上がってしまう」といったことまで全部わかっている。患者さんが玄関から歩いてくる間にカルテが用意されているほどです。開業してまだ間もない私にとっては本当に頼もしい存在で、わからないことはスタッフに教えてもらう場面も少なくありません。私がめざすアットホームで寄り添う医療は、こうしたスタッフの力があってこそ実現できています。心から感謝していますね。
今後、地域の健康のために取り組みたいことはありますか?
この地域の方々は温かく優しい方ばかりなのですが、健康に対する関心がもう少し高まるといいなと感じることがあります。「症状がないから大丈夫」と検診を先延ばしにされる方が少なくありません。症状のないうちに検査を受けることこそが病気の早期発見につながり、結果的にご本人やご家族の安心にもなります。だからこそ、健康意識を高めるための啓発活動に今後いっそう力を入れていきたいと考えています。勤務医時代にさまざまな働きかけを通じて患者さんの意識が変わっていく姿を見てきた経験があります。それを土台にこの地域に合った形で取り組んでいきたいですね。開業医だからこその患者さんとの距離の近さを生かして、皆さんの健康をしっかり守っていくお手伝いがしたいと思っています。
最後に、読者へのメッセージをお願いいたします。

「病気ではなく人を診る」というのが、私が日々の診療で大切にしている姿勢です。患者さんご本人だけでなく、ご家族も含めて丸ごと支えていけるようなかかりつけ医でありたいと考えています。消化器の分野に関しては、自信を持って高度な医療を提供できますし、幅広い内科の症状にも対応しています。スタッフとともにアットホームな雰囲気を大切にしながら、地域の皆さまの「体と心のよりどころ」になっていきたい。それが当院の理念であり、私自身の心からの願いでもあります。少しでも気になることがあれば、いつでもご相談いただければと思います。

