陳 明裕 院長の独自取材記事
めいゆう矯正歯科 西宮北口診療所
(西宮市/西宮北口駅)
最終更新日:2024/04/22

阪急神戸本線西宮北口駅のすぐ北にある「めいゆう矯正歯科 西宮北口診療所」。矯正歯科を専門にする陳明裕院長が、長年の経験で培ってきた知識や技術を生かしてさまざまな矯正治療を行っている。アメリカの大学での実習や講義も受け持つ陳院長。同院北千里診療所の院長も兼ねており、多忙な中、後進の指導にも尽力する。熱心で真面目な印象だが、診療所内には院長が趣味で集めたポップで少しレトロな雑貨や絵がたくさん。また、高校時代から続けているという日本拳法ではマスターズの大会で全国3位に入賞する実力を持つ。バイタリティーに富む人間味あふれる院長だ。
(取材日2019年1月15日)
痛みの少ない矯正治療をめざして
こちらの診療所は、北千里に続き2ヵ所目と伺っています。

先に北千里に開業したところ、非常勤講師をしていた神戸大学医学部の同門の先生たちから、「近くにあれば紹介したいのに……」と言われるようになりました。それで兵庫県でもどこか良い所がないかと探していたら、ちょうどこの場所があったんです。西宮北口駅は交通の便もいいし、駅の目の前という立地も良く、1996年に開業しました。周りに大学が多いから学生の患者さんが多いですね。とはいえ、お子さんから大人の方まで幅広い年齢層の方が通っておられます。家は千里ニュータウンで大学が西宮という患者さんなどは、都合に合わせてどちらにも来られていますよ。
矯正治療を専門になさるようになった経緯を教えてください。
学生の頃から矯正歯科に興味があって、卒業後に大阪大学歯学部附属病院の矯正科へ入局しました。そこで矯正治療の時に歯を移動させるのに伴う痛みをどうにかできないかと思うようになりました。3日ほど我慢すれば痛みは徐々に引いていきますが、普通は痛みをなくすために病院に来るのに、治療によって痛くなるのは嫌ですよね。何か方法はないのかと思い、神戸大学医学部の大学院へ進んでその研究をしました。痛みを軽減させるために鎮痛剤を用いる方法を発表し、その後も専門にするからには徹底的に学びたいと思って、さまざまな研究会へ足を運んで研鑽を積んだり、痛みへの興味が高じて日本歯科麻酔学会の歯科麻酔専門医の資格まで取ってしまいました。書籍を出したり論文を発表したりしつつ、2002年からはニューヨーク州立大学の客員教授として、毎年夏に現地に足を運んでいますよ。
アメリカの学生に教えることを、先生はどう捉えておられますか?

毎年アメリカに行く時には休診にしないといけなくて、ちょうど学校が夏休みでお子さんの患者さんが通いやすい時期なのに迷惑をかけてしまいます。心苦しいですけれど、アメリカの学生はとても勉強熱心で、僕にとってもやはり良い刺激になりますね。日本では講習を受けただけで一般歯科でも矯正治療をしたりしますが、アメリカでは歯学部卒業後、3年間大学院に通わなければ矯正歯科として開業できません。だから学生の意識がとても高いのです。学生の車に乗って勉強会に行く時にCDを見ると、音楽ではなくすべて矯正の講義だったり(笑)。僕の講義への質問もレベルが高く、自分自身のブラッシュアップにもつながっていると感じています。
矯正をすることで、より充実した生活に変化することも
治療の流れを教えてください。

「前歯が前後にズレているのを治したい」とか「出っ歯を治したい」とか、患者さんは目的を持って来られますよね。でも前歯が凸凹にズレているなら、なぜそうなっているのかが肝心です。歯列の幅が狭いのかなど、原因になっていることから治していかないと、また元に戻ってしまうこともあります。見た目の主訴だけでなく、根本的原因の治療も含めてトータルで提示します。僕自身は妥協するのが嫌だから、患者さんどなたにも正常咬合をめざしていく治療をお伝えします。ただ治療にかかる時間や費用の問題もあるので、できること・したほうがいいこと・その結果のメリット・デメリットをすべてお話しして、患者さんの事情に合わせて決めていきます。
矯正治療の必要性をあまり感じていない方も多いのではないですか?
そうですね、アメリカと比べると日本の矯正治療に対する意識の低さを感じます。虫歯で真っ黒になった前歯のままで就職試験に行く人はいないでしょう? 同じようにアメリカでは凸凹の前歯のままで就職試験に行くと「なぜ治療していないのか」と不審がられます。僕は学校歯科医もしていますが、歯の検診で「う歯」なら歯医者さんに子どもを連れて行くけれど、「不正咬合」なら放っておくという親御さんが多い。でも歯並びも早期治療のメリットは大きいんですよ。僕らが学生の頃は、乳歯のときの不備は大人の歯になってから治せばいいと言われていたけれど、今は「7歳までに歯並びに問題があれば専門家に相談せよ」と言われるようになりました。そうすれば、ブラケットという歯につけるツブツブをつけなくて済むこともありますし、より簡単に短期間で費用負担にも配慮してできることもありますからね。
治療にかかる費用も気になるのでしょうね。

顎変形症で手術が必要な場合は保険が適用となりますし、長いスパンで考えてもらいたいですね。高齢になっても自分の歯が残っている方はみんな歯並びがいい印象です。メンテナンスしやすくしっかり噛めるから健康でいられるんですね。歯は1日3食を何十年も、それこそ一生使い続けます。歯磨きをする時間も、歯並びによって変わるし、見た目も変わる場合がありますよ。
豊富な経験を後進へ伝えるために尽力
こちらで行う矯正治療の特徴を教えてください。

歯の移動時に起こる痛みについて研究してきたので、鎮痛剤などを使ってなるべく痛みを抑えるように治療をしています。もちろん、3日程度の痛みなら薬なしで我慢するとおっしゃる方にはそのように対処します。歯並びが気になると言いつつ、実際は顎の形に問題があるなど、患者さん自身が気づいていない部分もお伝えして治療方法を考えます。口蓋裂などで外科的手術が必要なら、大阪医科大学・大阪歯科大学・神戸大学などの各付属病院と連携して治療にあたります。また、マウスピース型装置を用いた矯正はかなり早期から導入していました。金属を使用していないため、金属アレルギーの方も安心ですし、歯磨きや食事の時には取り外せるので便利です。他にも、歯の裏側に設置するリンガル矯正(舌側矯正)や、スポーツ選手へのスポーツ用のマウスピースの装着など、幅広く対応しています。
読者へメッセージをお願いします。
顎関節症で民間療法を試してかえって悪化している方が当院にお越しになることがあります。また、歯を抜かないことを優先させて、並び方や角度に問題が出ている患者さんが困って当院にいらっしゃるケースや、手術が必要かどうか迷って相談にいらっしゃるケースもあります。一般歯科では専門的な治療に対応することが難しい場合もありますが、矯正が専門の歯科医院では多くの患者さんを診てきた経験を生かして、適切なアドバイスができると思います。治療費の問題でも、先天的に6本以上の歯の欠損があると健康保険が適用されることもあります。一般歯科で保険がきかないと言われた内容でも、施設基準を満たしている専門の歯科医院では保険適用となるものもありますので、よく調べてみるといいと思います。
最後に、今後の展望をお聞かせください。

今までに僕が学んだことや気づいたことなどを伝えていきたいと思っています。医療は芸術とは違って、誰でも同じ治療ができるのが本来のあり方です。だから、さまざまな歯科関連の勉強会等を通じて若い先生方に勉強の機会を提供するなど、知識を伝えることに注力しています。大学では矯正についてあまり学ぶ機会がなく、講習や研究会で学ぶのが一般的です。学びたいのに機会がないのはフェアじゃないと思うんです。社会のためにも歯科医師全体のレベルアップに貢献していきたいです。
自由診療費用の目安
自由診療とは歯列矯正/金属ブラケット:66万円~
マウスピース型装置を用いた矯正:77万円~
舌側矯正:92万円~(調整料金1回5500円、処置料、検査診断料、保定装置料は別途)
小児矯正/1期治療:33万円
スポーツ用のマウスピース/5500円~
※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。