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磯村 知子 院長の独自取材記事

磯村クリニック

(目黒区/都立大学駅)

最終更新日:2023/08/03

磯村知子院長 磯村クリニック main

東急東横線・都立大学駅から徒歩8分にある「磯村クリニック」は、皮膚科・婦人科を中心に漢方治療に力を入れているクリニック。日本東洋医学会漢方専門医である磯村知子院長を筆頭に、漢方に詳しい女性医師が、小さな子どもから現代の多忙な女性、高齢者まで幅広い層の患者の診療を行う。同院の歴史や漢方診療について、また皮膚科・婦人科・漢方専門の外来などの特色について、磯村院長に詳しい話を聞いた。

(取材日2023年7月12日)

皮膚科・婦人科で漢方治療に注力し、専門の外来も開設

これまでのご経歴、クリニックの歴史などを教えてください。

磯村知子院長 磯村クリニック1

東京女子医科大学を卒業し医師免許を取得後、病院の外の世界を知り、より広い見地から医療を見てみたいという思いから、現在の厚生労働省に入省しました。約3年半勤めた後、やはり臨床に携わりたいと考えて退職。技官時代、公衆衛生に携わった経験から、健康診断に来られる方の皮膚疾患・トラブルの多さを知り、母校の皮膚科に入局しました。1992年には水イボと呼ばれる伝染性軟属腫のウイルスを遺伝子解析で分類するという、当時では先端だった研究テーマで博士号を取得するなど充実していたのですが、すでに子育て中だったわが家では受験も重なってしまい、病院を退職することに。父の運営していた産婦人科に皮膚科を開設し、お手伝いという形で当院に関わり始めたんです。

現在は漢方薬治療も貴院の特色の一つと伺いました。

当院で診療を始めてから、大学病院とは異なり、アトピー性皮膚炎・とびひ・水虫・虫刺されなど実にさまざまな症状の方を診ることが増えました。そんな中、慢性皮膚疾患だといわゆる西洋医学的な標準治療だけでは改善が見込めない患者さんが、一定の割合はいると感じたんです。そのような方にどう対応すべきか試行錯誤していた時、漢方薬を併用することで手応えを感じられた経験があり、東洋医学への興味が深まりました。母校である東京女子医科大学には「東洋医学研究所」が設置されていたことから、現在も皮膚科の外来診療でご協力いただいている盛田朝子先生のサポートも受けて週2回の通学も実現し、日本東洋医学会漢方専門医も取得しています。現在は漢方診療に強みを持つ皮膚科の医師2人、婦人科の医師2人の外来のほか、漢方専門の外来も設けています。

貴院で診療する先生全員が漢方に詳しいのですね。

磯村知子院長 磯村クリニック2

漢方に精通している佐藤弘先生のご指導のもと、皮膚科と婦人科の医師が集まって、月に1回、東洋医学の古典を読む勉強会を行っています。江戸時代に書かれた漢文の本ですから、読解するのが非常に大変なんです。当時の日本は現代にも似た豊かな時代で、拒食症や胃腸虚弱、ストレスによる病状悪化などの実例が紹介されているなど、とても興味深い記載がたくさんあるんです。西洋医学は生命の学問であり、すべて科学で組み立てられているもの。病気に対して攻撃的なところがあって適切な治療ができれば効果も見込めるのですが、体質的に弱い方の中には、その治療を受け入れられなかったり、効果が見込めなかったりするケースがあります。漢方医学は「その人にとって足りないものを補う」「体力を向上し病気を改善を図る」という視点があり、古典を読んでいると、それらの基本に改めて気づかされますね。

東洋医学と西洋医学の組み合わせた治療を

漢方治療について教えてください。

磯村知子院長 磯村クリニック3

漢方には「虚実」という概念があり、簡単にいうと体力がないほうを「虚」、あるほうを「実」として診断します。例えば皮膚科で漢方を用いる二大疾患としてアトピー性皮膚炎とニキビが挙げられるのですが、ニキビの治療の場合は比較的「実」の方が多く、パターン化された治療で改善が見込めることが多いです。しかしアトピー性皮膚炎は「虚」の傾向が強いだけでなく、ストレスなどさまざまな要素が複雑に絡んで悪化している人が多いので、一つ一つ解きほぐしながら診療方針を決めていきます。また、漢方だけを用いるのではなく、例えばアトピー性皮膚炎なら効果が見込める生物学的製剤を使用し、漢方で微調整するなど、西洋医学と東洋医学のいいとこ取りができるような治療を行っています。注意点は漢方薬にも攻撃的なものがあるということ。「虚」の患者さんには使えないもの、先に胃腸を治療してから用いるべきものなどをしっかり判断しなければなりません。

現在の診療体制、担当の先生方についてご紹介ください。

完全予約制の漢方専門の外来を担当する佐藤弘先生は、東京女子医科大学名誉教授で同大学東洋医学研究所の所長も務めた経験をお持ちです。人格的にも素晴らしい方で、初診は数ヵ月待ちと予約が取りづらいのが課題なのですが、一日1人に限定し、しっかりとお話を聞く時間を設けています。婦人科の田続綾野先生は中国への留学経験があり中国語と英語が堪能、佐治玲子先生は漢方を用いた生活習慣の改善に対して知識が豊富など、それぞれ個性は異なりますがどちらも漢方を積極的に治療へ取り入れています。皮膚科は、私と盛田先生の2人体制です。大学時代の後輩でもある盛田先生は、勤務医時代から今までさまざまな場面で私を助けてくだっており、足を向けて寝られない存在です。皮膚科・婦人科の医師は全員お母さんです。経験豊富な医師ばかりですので、女性のさまざまな悩みのご相談に対応できると思っています。

現在の患者層と、多い主訴を教えてください。

磯村知子院長 磯村クリニック4

皮膚科・婦人科がある当院では、特に女性の患者さんが多く、お子さんからご高齢の方まで非常に幅広い層の方がいらっしゃいます。皮膚科では一般的な皮膚疾患、アトピー性皮膚炎、虫刺されやとびひのほか、お子さんの皮膚トラブルなど、ありふれた皮膚疾患も含めてさまざまな症状の方が来られます。婦人科で特に多い主訴は更年期のトラブル。昔に比べ女性の現役期間が長くなっており、かつてのように「更年期を過ぎたらおばあちゃん」ではなくなっており、活動年齢もどんどん上がっています。それに伴い、更年期になると皮膚が乾燥するため、外陰部の乾燥感、子宮が正常の位置より下垂する子宮下垂など、生活に不安をもたらす症状などでの受診は多いですね。皮膚科と婦人科、漢方があるというのは女性にとって心強いと考えておりますので、各科連携して取り組んでいきたいですね。

日々感謝を忘れず、多忙な女性を支えていく

診療時に心がけていることはありますか?

磯村知子院長 磯村クリニック5

患者さんの話にしっかりと耳を傾けるのはもちろん、「診断」「疾患名」「原因」「治療の見通し」「患者さんがすべきこと」を明確にお伝えすることです。診療時間には限りがあり、言葉が足りないこともあるかもしれませんが、これらが診療する上での大原則だと考えています。例え、同じ話でも、患者さん一人ひとり個性や感じ方が異なるため、あまり理屈っぽくならないように注意しています。毎日診療しているとさまざまなことがありますが、私たち医師は患者さんからたくさんのものをいただいています。中でも体が健康でいられるのは、風邪をはじめとした感染症などで受診した患者さんと接することで免疫がついているから。皆さんのおかげで日々診療ができていることに感謝しています。

患者さんが通いやすい、受診しやすい工夫もされていますね。

当院では、患者さんのご要望も踏まえ、クレジットカード決済や電子マネー決済を導入しています。漢方診療は患者さんの話をじっくりお聞きするため、曜日や時間帯によってはお待たせする時間が長くなってしまうこともあります。今後はこうした懸案事項にどう対処し、待ち時間を解消できるかを考え、実践していきたいと考えています。また、将来的にはオンライン診療の導入も視野に入れています。

地域の方へのメッセージをお願いします。

磯村知子院長 磯村クリニック6

現代は女性の社会参画が進む中で、「女性を社会全体で支えていこう」という望ましい傾向にありますが、男女は平等であっても体質は異なり、一般的には女性のほうが体が弱いことが多いのです。忙しい毎日の中で、肉体的にも精神的にも疲れ果てている、という時に助けてくれるのが漢方薬です。近年、漢方が注目を浴びているのは、時代の変化もあると考えています。患者さんの治療を通じて、たくさんのものをいただいて、今の自分があります。その感謝を伝えながら、今後もできる限り皆さんのご相談に乗れるよう努めてまいります。

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