中嶋 嘉彦 院長の独自取材記事
なかじま歯科医院
(大阪市西淀川区/姫島駅)
最終更新日:2025/09/05

大阪市西淀川区にある「なかじま歯科医院」は、中嶋嘉彦院長が1997年に開院して以来、地域に密着した口腔内の専門家として、治療から予防まで幅広く担当している。治療には口腔内カメラを使用し、自身の治療の進行状況がモニターで確認できるなど、先進の治療方法や設備を取り入れて診療にあたっている。また、歯周病や小児歯科に特に力を入れており、メンテナンスにも多くの患者が通っている。治療の際には患者の条件や希望をしっかりヒアリングした上で痛くない治療を心がけているという、人情味たっぷりの中嶋院長に、いろいろと話を聞いた。
(取材日2017年7月1日/情報更新日2025年8月29日)
信頼関係でつながってきたことに感謝を
歯科医師をめざしたきっかけは?

子どもの頃は虫歯が多く、歯並びも良くなかったので、かかりつけの歯科に度々お世話になっていて、その時の先生に助けていただいたことがきっかけです。痛かった歯を治してもらえるというのは本当にありがたく、小学校3年生くらいから歯科医師になりたいと思い始めました。しかし、受験の時に望みを果たせず、父の営む金属加工の仕事を手伝うため、いったん社会人になりました。とはいえ、金属加工の仕事は物作りといった点で歯科医師の仕事にも共通していたので、やはり夢を捨てきれず、27歳の時に再受験し、大阪歯科大学歯学部に入学しました。回り道ではありましたが、幼い頃からの夢に一歩近づいたことに喜びを噛みしめながら、6年間通わせていただきました。
歯学部時代の思い出をお聞かせください。
歯学部は、現役で入学した人はもちろん、私と同世代や年上の人も多く、幅広い世代間の交流ができ、とても面白かったです。特に楽しかったのは実習ですね。5年生の時に行われた患者さんとふれあう相互実習では、実際にクラウンをかぶせたり、入れ歯を作ったり、学問とはまた違ったことを学びました。自分で作ったものが実際に患者さんのお口の中にうまく入って「噛めた」と喜んでくださればうれしいですよね。卒業後は大学病院の診断科に3ヵ月ほど在籍し、阪神淡路大震災の翌日からは、門真市にあるクリニックの勤務医として本格的に働くようになりました。そこでは、技術面だけでなく、患者さんをいかに大切にしていくかといったことや、患者さんへの接し方といった心理面を教わり、開業するにあたっての大切なことを多く学ばせていただきました。
開業することになった経緯をお話しください。

勤務医として働いている頃、歯科の開業を専門にした業者の方から「開業するなら、いい物件がありますよ」と、ご紹介いただいたのがこちらの場所でした。それまでは御幣島というエリアはなじみのない場所でしたので一から築き上げる形ではありましたが、マンションの多い住宅街ということもあり、それまで勤務していたところも門真団地の近くだったので、「この場所ならやりやすい」と思い、1997年9月1日に開業しました。当初は患者さんが少なく苦労しましたが、こちらの建物のオーナーさんからのご紹介や患者さんからのクチコミで少しずつ認知度が上がっていき、患者さんも増えていきました。まさに信頼関係でつながっていたという感じで、とてもありがたいです。
痛くない治療をすることをモットーに
歯科医師になって良かったと感じるのはどんな時ですか?

やはり患者さんから「ありがとう」と言ってもらえることが一番うれしく、感謝の言葉をいただく度に、歯科医師になって良かった、人助けをさせていただいてるのだと実感します。以前、3~4歳の子どもの乳歯を治療をさせていただいたことがあるんですが、その子のお母さんから「あの時、揺れていた歯を抜かずに時間をかけて治療してもらったおかげで、本人も一生懸命歯を磨くようになりましたし、今でも虫歯は1本もありません」と、感謝していただいたことがあり、それからご家族で来てもらえるようになったんです。その言葉をいただいた時は、胸がじーんときて、この職業を選んで本当に良かったと思いました。
患者さんに対し、どんなことを心がけていますか?
そもそも歯科というのは痛いイメージがありますので、それをなくす治療を心がけ、「痛くない治療をすること」をモットーとしています。痛いことがうれしいという人はいないでしょうから、治療中に痛い顔をされた場合は中断したほうがいいと思っています。なので、うがいをしている際などに定期的に患者さんにお声かけをし、歯だけではなく全身の状態を見ながら、様子をお伺いするようにしています。歯の掃除の場合でも同様ですね。抜けると思っていた親知らずがなかなか抜けずに中断するようなこともあります。生身の体のことですし、歯の生え方も十人十色です。一人ひとりの心理状態にも合わせた治療を心がけ、丁寧に行うことが大切だと思います。
すべての診察台に口腔内カメラが設置されていますが?

はい。まず口腔内カメラで患者さんに、ご自身の歯の状態を確認していただき、納得いただいた上で治療にあたっています。歯は小さいため肉眼ではわかりづらいですが、モニターで見ていただくことで、患者さんは治療の前後をしっかり確認することができます。そのため、私自身も患者さんが不安にならないよう完璧な治療をめざすことができるんですね。この治療の「見える化」によって患者さんに安心して治療を受けていただけると思います。また、歯科用CTを用いることにより、平面ではなく立体でより的確に映し出すことが可能になりました。細い根管を開ける治療や、抜かないほうがいい歯の選別もCTで素早く確認できます。例えば、親知らず一つにしても、当院で抜ける歯であるか、ぴったりくっついていたり、太い血管にかかっていないかどうかといったこともCTでなければわかりません。患者さんのための治療を考えると、とても便利です。
できるだけ患者の不安を軽減していくことを第一に
特に歯周病の治療に力を入れているようですね。

歯周病のメンテナンスのために来院される患者さんが多いですね。歯茎の色や状態で事前にどれくらい効果があるのかを見極めることができますので、その人に合った治療をご案内いたします。歯周病の治療で重要なのが、なんといっても歯に汚れがない状態を保つことです。歯の表面だけのクリーニングでは不十分なので、ハンドスケーラーを用いて歯茎の隙間も掃除していきます。手の感覚で確かめながら丁寧にクリーニングしますのでご安心ください。また、当院では、歯間ブラシを繰り返し通すことによる歯茎の引き締めの促進や、糸切り歯の磨き残しや患者さんの歯ぎしりの有無に注目して、普段の掃除のアドバイスも行っています。
今後の展望をお聞かせください。
これまでやってきたことを着実に重ねながら続けていくことが大切だと思っています。当院の患者さんが新規の方をご紹介くださったり、かかりつけとしてなじみの方が継続して来られるケースも多いので、地域に密着し、一人ひとりに寄り添う歯科として定着させていきたいです。現在、私一人で受付も診療もすべて行っていますが、今後はスタッフも入れていくことも考えています。例えばセメントを練っている時や注射をしている時に電話がかかってきたりすると、どうすることもできない。さすがにヘッドセットをつけながら治療するのは患者さんに失礼ですし、精神を集中していないといけないのに、集中してないんじゃないかと思われてしまいますよね。診療にも差し障りがありますので、患者さんに迷惑をかけないように、スタッフの増員も考えていきたいです。
読者の皆さんにメッセージをお願いします。

歯の健康を維持するために一番大切なのは毎日の歯磨きです。歯磨きをいかに丁寧にするかによって、歯周病や虫歯も防いでいけるようになるのです。歯磨き粉よりも物理的な刺激を与えること、つまり歯ブラシをピンク色の歯茎のところにいかに当てるかということ。磨き方は、斜め45度に当てるバス法がお勧めです。もちろん、ローリング法もいいですが、その後にバス法をつけ加えることでしっかりケアをしていきます。また、針を突き刺されたように歯が痛む、冷たいものや熱いものがしみるといった自覚症状が出てきた場合、それは生体の防御反応であり、体からのSOSです。歯科に通院したほうがいいよと教えてくれているような状態なので、そういった場合はかかりつけの先生のところに行ってください。早期発見、早期治療をすることで小さい処置で済み、時間も節約できますので、日頃からご自身の歯の健康に目を向けていくことが大切です。