小林 礼子 院長の独自取材記事
こばやし耳鼻咽喉科
(奈良市/学園前駅)
最終更新日:2021/10/12

近鉄奈良線学園前駅から徒歩1分。複合商業施設パラディ2の5階医療フロアにある「こばやし耳鼻咽喉科」は、アクセス至便で土日も診療しており、小さな子どもから高齢者まで安心して通えるように配慮されているクリニックだ。日本耳鼻咽喉科学会耳鼻咽喉科専門医の小林礼子院長は、東大阪市立総合病院(現・市立東大阪医療センター)耳鼻咽喉科・頭頸部外科で医長も勤めた経験豊富なドクター。高度な専門知識に加え、先進の検査・治療機器を備え、患者のさまざまな悩みや症状に対応している。「一人ひとりを大切にする丁寧な診察」を掲げる小林院長に、診療方針や注力する検査・治療などについて聞いた。
(取材日2021年6月11日)
丁寧な診察で、軽い症状に潜む病気の発見へ
2004年に開業する際、なぜ学園前を選ばれたのでしょうか?

私は神戸出身で、もともと奈良はまったく知らない場所でした。大学に近い豊中に住んでいたのですが、昭和から平成に変わる頃に奈良へ住む機会があり、それでこちらに移って来ました。奈良と東大阪は隣接しているので、勤めていた東大阪市立総合病院にも通勤しやすかったです。住み始めると、とても気に入り、開業するならここがいいなと思うようになりました。
どのような患者さんが多くいらっしゃいますか?
この付近に住まれている方がメインです。開業当初は、東大阪で担当した患者さんも来てくださっていましたが、もともとご高齢の方が多く、現在は近隣の方が中心となっています。年齢層はお子さんからお年寄りの方まで幅広いです。会社帰りに寄られる方や、駅周辺の会社に勤めている方もいらっしゃいます。開業当時はこの辺りにもニューファミリー層が多かったのですが、年々高齢の方が増えているような気がしますね。少し前に近鉄けいはんな線が登美ヶ丘のほうまで延びた影響から、ニューファミリーはそちらの沿線に住むことが多くなっているようです。ですから、以前みたいにお子さんがすごくたくさん来るというわけではなくなりましたが、今は幅広い層の方が来られます。
診療で心がけていることがあれば教えてください。

患者さんは「自分はこういう病気なんだ」という先入観を持って来られることが多いのですが、実際はそうじゃない場合もあるので、本当の原因や隠れている病気を引き出してあげたいなと思っています。例えば、ちょっとした咳だと「風邪をひいた」と耳鼻咽喉科に来られる方が多いのですが、実際は病気が隠れている場合があります。一番怖いのは、咳が何ヵ月も前から続いていて「風邪がなかなか治らない」と言って来院された患者さんが、実際は心臓が悪かったり、肺がんだったりする場合もあります。きちんと診察して適切な治療につなげられるようにしたいと思っています。
「丁寧な診察」とともに、「わかりやすく安心して受診できる医療」をモットーとしていらっしゃいます。
専門用語は使わず、できるだけわかりやすい説明をすることも心がけています。そのために、わかりやすい図や、ご本人の患部の写真をお見せするようにしています。耳の中も喉も、自分では見ることができないですよね。私一人が見るのではなく、患者さんにも見てもらって、「だから治療が必要なんです」というのをきちんと理解してもらった上で、治療することが一番だと思っています。
先進の内視鏡システムを導入し、がんの早期発見に注力
特に力を入れている診療があれば教えてください。

東大阪市立総合病院は中河内のがん医療や二次救急を担っている病院でしたので、がんなどの重篤な病気の患者さんを受け入れる立場でした。クリニックでは逆に、そういう病気を見つけてあげて紹介する立場になります。ですから喉の検査には、診断精度を向上させるために、高画質のNBI内視鏡を使っています。簡単に言うと、悪性腫瘍が従来のものより少しわかりやすく映るシステムを用いたものなんですね。昔なら小さい腫瘍は見つからなかったかもしれませんが、こういう新しい技術をうまく使って少しでも早期に発見してあげることが私たち開業医の役目かなと思います。小さいうちに見つかれば、大がかりな手術ではなく、内視鏡で何とかすることができる場合もあります。
設備にもこだわっていらっしゃるのですね。
アレルギー性鼻炎の治療にはCO2(炭酸ガス)レーザーも導入しています。お鼻の中をレーザーで焼く治療は保険が適用される上、体への負担が少なく、外来で簡単に行うことができます。詰まるタイプの鼻炎には特に有用です。治療を行うのは、鼻の症状が落ち着いているときが良いので、スギやヒノキの花粉症の方なら花粉が飛び始める前の11月から1月くらいまでに治療しておくと、シーズンの真っ最中の間はお鼻が通って楽になることが期待できます。一度治療すれば平均的に1年くらいの持続も期待できますが、個人差はあり、半年から3年くらいの開きがあります。お薬の量を調整することもできますから、薬を飲むと眠くなってつらいという方にもお勧めしています。
先生が耳鼻咽喉科の医師をめざしたきっかけは?

実は一度、大阪大学工学部を卒業して、薬品会社の研究所に就職もしています。高校生の時から何となく医師になりたいという気持ちはあったのですが、親の希望もあり医学部は受験しませんでした。ですが、医療と関わりの深い薬品会社で働いているうちに、やはりこの道ではないと思い、就職して数年たってからもう一度勉強し直し、大阪医科大学(現・大阪医科薬科大学)の医学部に入り直しました。耳鼻咽喉科を選んだタイミングは、大学を卒業する間際くらいです。もともと私は患者として耳鼻咽喉科にかかったことは一度もないんです(笑)。眼科と内科しか受診したことがなかったので、当初は眼科も考えましたが、耳鼻咽喉科は頭頸部も入り、守備範囲が広いんで、そこに魅力を感じて選びました。
頭頸部がん治療に従事した専門知識を診療に生かす
大学を卒業してから開業するまでのご経歴を教えてください。

大学卒業後は大阪大学医学部附属病院の耳鼻咽喉科・頭頸部外科の医局に入り、その後、貝塚市民病院の耳鼻咽喉科を経て、東大阪市立総合病院で7年ほど勤務しました。貝塚市民病院時代の同期の先生とは今も交流しています。中でも産婦人科と脳神経内科の2人の同期の先生とは特に仲が良く、落ち込んだときにもすぐに相談できる頼りになる友人です。尊敬できる先生方ともたくさん出会いましたが、私にとってなにより大切なのは、みんな未熟で一生懸命だった時代に励まし合った友人との出会いだったように思います。東大阪市立総合病院でも、耳鼻咽喉科・頭頸部外科に所属しており、部長先生の専門分野が頭頸部腫瘍でしたので、頭頸部腫瘍の患者さんを担当することが多かったです。
お休みの日はどのように過ごしていらっしゃいますか?
最近、家の庭でバラを育て始めたので、世話に明け暮れています。5月が一番開花する時期なのですが、雨が多いと、しなければいけないことも多くて。もう農作業です(笑)。でも、バラって毎日見ると表情が微妙に違うんですよ。芽が出たとか、今日はちょっとしおれているとか。朝と晩も表情が違うし、本当に日々違って楽しい反面、手入れが欠かせない。新米ですが頑張っています。
健康のために取り組んでいることはありますか?

病気らしい病気はしたことがなかったのですが、5年前に骨折し、初めて3ヵ月入院しました。雨の日にハイヒールで転んで、足首がぐるっと回転するような骨折だったんです。それがきっかけで足腰を鍛えなければいけないと思い、フィットネスクラブなどにも通い始めたのですが、なかなか行けず。新型コロナウイルス感染症流行の影響で外出もままならなくなり、思いきってランニングマシンとエアロバイクを購入しました。今はおうち時間で、運動するようにしています。
最後に読者へのメッセージをお願いします。
ちょっとした違和感などがあった場合、「大したことはないから」と放っておかず、遠慮しないで来ていただきたいと思います。「もう少し様子を見て」などと、つらくても我慢してしまう方も多いですが、自分が考えていることとは違う病気かもしれないですよ、と言ってあげたいですね。小さいお子さんも、言葉で痛みなどを表現できないので、本当のところは診察して初めてわかる場合があると思います。うちは幅広い年齢の方にとって通いやすいクリニックだと思いますので、何かあれば気軽に受診してください。