西村 文朗 院長の独自取材記事
西村内科循環器内科クリニック
(目黒区/都立大学駅)
最終更新日:2025/01/27

東急東横線都立大学駅から徒歩2分のビルにある「医療法人社団仁文会 西村内科循環器内科クリニック」。西村文朗院長は、2001年の開院以来、院内で即座に結果が出せる迅速な検査と精密な診断・治療に注力してきた。20年以上の勤務医経験を経て築かれたその人脈は厚く、各分野を専門とする医師との協力体制も盤石だ。2024年9月には院内をリニューアルし、検査室を拡張。検査機器の配置を工夫することで、待ち時間の短縮を図っている。なんでも気軽に相談できるホームドクターとして、真摯に患者に向き合う西村院長に、循環器科を専門とした理由から診療に対する考え、将来の展望までざっくばらんに聞いた。
(取材日2024年12月18日)
各種の検査機器で、即日の診断・治療が可能
循環器科の医師をめざしたのはなぜですか?

実は、もともとは精神科医になりたくて、猛勉強して医学部に入りました。でも、卒業する段階になって、精神科に行くかどうか迷ったんです。将来、目の前で誰かが倒れた時に、最低限の処置ができるような医師になりたいと考えたからです。当時は大学に残って研修を受けるのが主流でしたが、私は、より実践的な場で経験を積みたいと思い、卒業後すぐに済生会中央病院で研修を受けることにしました。そうしたら、実は、循環器科にも精神的な要因から胸痛、動悸がする患者さんなどがけっこう来られるということを知りました。循環器科で師事した先生が素晴らしい方だったというのもありますが、そういったきっかけでその後も精神科ではなく、循環器科を専門にすることになったんです。この科では、人の生死に直面することも多く、厳しさもありますが、大きなやりがいを覚えました。
これまでのご経歴を教えてください。
ずっと一般病院で循環器の診療に携わっていました。基本的には、心筋梗塞や心不全など、救急医療の分野の仕事を20年以上手がけていました。長いところでは、東京都の済生会中央病院や千葉の鴨川市にある亀田総合病院に10年ほど勤務し、その後、東京医療センターに5年ほど勤めた後、開業に至りました。直前まで国立病院に勤めていたため、自分の診ていた患者さんが通いやすいように、また同時に、患者さんを紹介する際などに連携を取りやすいようにという理由から、そこから比較的近いエリアを開業の場所に選びました。
病院とクリニックの役割分担について、先生の考えをお聞かせください。

簡単に言えば、病院は病気を治すためのところ。私たちのような個人のクリニックは、もちろん治療もしますが、それよりも病気にさせない、病気の芽が出た時にそれを早く摘むということが仕事だと考えています。大きな病院にできてクリニックにできないことはたくさんありますが、反対に、病院以上のことができる面もあります。それは、柔軟できめ細かな対応です。病院では、検査をすると結果が出るのは1週間後などということが多いと思いますが、クリニックであれば、基本はその日のうちに検査・診断・治療方針の決定ができるというのがメリットの一つですね。また、当院では循環器だけでなく、患者さんを総合的に診療することができるのも利点だと思っています。
クリニックならではの柔軟さで、さまざまな訴えに対応
先生が得意とされる診療について教えてください。

当院では入院はできませんが、循環器については、心不全から狭心症、不整脈まで、一通り対応できるようにしています。加えて一般内科についても診療していますが、私は、すべて自分だけでできるとは思っていません。医療の限界を知るとともに、自分の限界を知ることの重要性にも気づきました。得意分野を充実させつつ、守備範囲を広げていくことはもちろん大切ですが、あらゆる疾患を一人で手がけるのは不可能です。自分を過信せず、能力を超えた病態に直面した時には、すぐに専門の医療機関などに紹介することを念頭に、病院との連携やクリニック同士の協力関係づくりを大切にしています。
こちらのクリニックの特徴をお聞かせください。
検査機器が充実していることですね。当院には、私がかつて勤めていた病院の患者さんにもたくさんいらしていただいています。だからこそ、病院で行っていたのと同等以上の検査や治療ができなければ価値がないと考え、多くの検査機器をそろえています。特にエコー検査は患者さんへの負担も少なく、その場ですぐに行える検査として活用しています。また私は、病気の原因は普段の生活習慣、つまり食事内容や運動習慣によるところが大きいと考えています。私たちの体をつくる基盤は食事にありますが、食事の改善を具体的に進めていくのはなかなか難しいのが実情です。ただ単に、あれが駄目、これも駄目と言っても長続きさせることは難しいので、当院ではデータを分析することで、具体的な数値に基づいた栄養面のアドバイスを行うようにしています。
これからは新しい医療にも取り組んでいきたいとお考えだそうですね。

そうですね。クリニックに来られる患者さんの中には、既存の治療法だけでは対応できない症状の方もいらっしゃいます。ですから、新しい医療についても日々時間が許す限り勉強しています。将来的には保険診療を中心にできる限りのことを実践しつつ、自由診療も柔軟に取り入れていくことが理想ですね。ゆくゆくは、エイジングケアなどにも取り組んでいけたらと思っています。
医師として患者に与える精神的な安定と信頼を重視
患者さんへの接し方で心がけていることなどはありますか?

病気になる原因としては、不摂生などに加え、精神的な面がかなり大きいと思います。精神的な安心感や医療従事者への信頼がなければ、治療をしても十分なものにならないのではないでしょうか。当院では病気は薬だけで治療するわけではないと考え、患者さんに安心して通ってもらうことを第一に考えています。時間的な制約はありますが、できるだけお話を聞き、不安を持たれないように心がけています。スタッフにも常々、チームワークを大切にすること、そして患者さんが安心して帰れるように笑顔で接してほしいと伝えています。また、高血圧症や糖尿病など長い治療が必要になる患者さんは、成果が出ていればそれをきちんとお伝えします。そして、もしも成果がない時には、どうすれば改善をめざせるかをお話ししています。そうすることで、やる気やモチベーションを保ってもらえるといいですね。
最近、院内を改装されたそうですね。
当院は完全予約制ですが、患者さんの訴えもさまざまですし、急患も受けつけますので、なかなか時間どおりにいかずお待たせしてしまうことがあるんです。待ち時間を少しでも少なくするため、いずれは医師を増やして二診制にすることを視野に、改装を行いました。これまで診療は3階だけで行っていましたが、2階に検査室を拡充。従来から設置している、院内感染を抑えるための個室の待機スペースなどは、そのまま生かしています。使えるスペースが広がったことで、医療機器を置く場所を分散することができ、診療の流れもスムーズになったと思います。今後も検査や治療を適切に、丁寧に実施していきたいですね。スタッフも経験を重ねることで技術がブラッシュアップされており、提供できる医療のレベルが年々上がっていると感じています。
読者へのメッセージをお願いします。

勤務医時代は、患者さんをいかに早く集中して助けるかという技術面に注力しており、結果がすべてでした。でも今は、月並みかもしれませんが、患者さんに安心してもらい、「また通いたい」と思ってもらうことを第一に考えています。患者さんとクリニックの出会いは、偶然だと思います。縁あって受診してくれた患者さんですので、精一杯、できる限りのことを尽くして治療したいですし、なんでも相談してもらいたいと思います。何か不調があれば、ぜひ気軽に受診していただきたいですね。