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大橋 英司 理事長の独自取材記事

大橋内科胃腸科

(高松市/伏石駅)

最終更新日:2022/01/13

大橋英司理事長 大橋内科胃腸科 main

高松市中心部から少し南に位置する「大橋内科胃腸科」。高速道路に面した旧国道から一本路地に入るなど、少しわかりにくい場所にあるが、大橋英司理事長でなくてはと長年通い続ける患者も少なくないのだという。夜中でも往診に駆けつける医師の父の背中を見て育った大橋院長は、早い時期から在宅医療に関わり続けてきた。病だけでなく、全身を、全身だけではなく目の前にいるその人自身を診ることを心がけてきたという大橋理事長を含む同院のスタッフは、まるで家族のような温かさで患者に寄り添う。医院での診療以外にも積極的に地域の活動に携わり、貢献を続ける大橋理事長にその想いや医院の診療について聞いた。

(取材日2021年11月22日)

在宅医療への強い思いから開業へ

開業までのキャリアを教えてください。

大橋英司理事長 大橋内科胃腸科1

生まれも育ちも高松です。大学で兵庫に行って、卒業後は大学病院での勤務をはじめ、北は北海道から、青森、秋田などさまざまな場所の病院に出向という形で勤務しました。当時の人事は医局人事と教授人事があって、私は主に教授人事で動いていて。あちらの病院で外来を開設するとか、急きょ人手が必要だという要請に応えて着任するということの繰り返しだったので、一つの場所で長くキャリアを積んだわけではないのですが、その分多様な経験を積むことができました。2000年に高松へと戻り、開業しました。父も医師でしたが、別の場所で開業していましたので、継承ではなく新規開業でした。

開業には何かきっかけがあったのですか?

在宅医療に興味を抱いた1992年頃に、サイコオンコロジー学のエキスパートである神代尚代先生の在宅緩和医療の本を読んで、こんな世界があるのかと感銘を受けたのです。その後、まったく面識はなかったのですが、先生に電話をして会いに行って、しばらく運転手として同行させてもらいました。その頃私は、大学病院でがんで苦しみながら亡くなる方に多く接していたのですが、神代先生に同行する中で出会った末期のがん患者さんたちは笑顔で自宅で過ごされていて。こんな医療の在り方もあるのか、と思ったんです。大学では在宅医療にじっくり取り組むわけにもいかなかったので、長く勤めていた別の病院で在宅医療に携わり始めたのですが、やっぱり開業したほうが自由に動けるかなと思い、開業に至りました。当院では、在宅医療のほか、外来診療にも対応しています。

先生のご専門は消化器内科と伺いました。

大橋英司理事長 大橋内科胃腸科2

私が医局に入った時は、ちょうど内視鏡の治療が大きく進歩した時期でした。当時私のいた医局は患者さんも近隣からだけではなく全国から来院されていて症例数もかなり多かったんです。環境的にかなり恵まれていましたね。入局当初の内視鏡と言えば、のぞいて見るだけといった感じでしたが、徐々に、内視鏡下で多種多様な治療ができるようになっていったんです。それまでは開腹手術が必要だった症例も、内視鏡下治療ができるようになるなど、劇的な医療の進歩と変化を体験しましたね。治療法の開発にも関わっていて、自分たちのやったことが新しいスタンダードにつながっていくとか、そういう部分がとても楽しかったです。消化器内科の医師としてのやりがいと面白さを最も感じていたのはこの頃かもしれません。

医療者側が地域へ介入していくことが重要

先生が大事にされていることを教えてください。

大橋英司理事長 大橋内科胃腸科3

一人ひとりの患者さんを大切にするということでしょうか。例えば、初診の患者さんには必ず30分ぐらいは時間を取るようにしています。また、長く通われている患者さんとは、どんな最期を迎えたいかといった話をすることもあります。あとは、高齢の患者さんだと、そろそろ車の運転をやめたら? とか、喫煙をやめられない人には肺がんのリスクの話をするとか。病気や症状だけではなくて、その人自身を診る、ということを心がけているので、自然とそういうプラスアルファの、生活に踏み込んだ話をすることが多いですね。でも、そういった関わり方をしていると、そうたくさんの患者さんを診ることはできないんですよ。外来だけではなく、もちろん在宅医療もありますので。それでも、やっぱり先生のところがいいと言ってくださる患者さん方がいてくださるので、自分はそういう人たちを大事にして、真摯に向き合い続けていきたいと思っています。

在宅医療に興味を持たれたきっかけを詳しく教えていただけますか。

青森の病院で仕事をしていた頃に、とあるがん患者さんが亡くなり、その死亡確認でご自宅に伺った時のことです。大家族でたくさんの親族に囲まれていて。そこには笑顔があって、「おじいちゃん最期まで頑張ったね」なんて労いながら、温かで和やかな雰囲気でした。自分がこれまで大学病院で見てきた患者さんたちの最期とは全然違うその光景に衝撃を受けたんですね。こんな最期の迎え方があるのかと。その後、告知や緩和ケアという分野が日本でも少しづつ浸透してきて、いろいろな本を読み漁りました。その中に冒頭お話しした神代先生の本があったのです。学びを深めるため先生に同行する中、ある日、「もうここには来なくていいよ、そろそろ仲間を見つけて自分でやってみなさい」と、言われたんです。そこから仲間を探して自分のやり方を模索し始めました。

在宅医療を含め、地域医療に関わる中で感じていらっしゃるのはどんなことですか。

大橋英司理事長 大橋内科胃腸科4

社会全体の高齢化が進んでいく中で、私たち医療者側が地域に入っていかないと医療は成り立たない。そういう想いを持っています。今は、医師が医療のことだけを考えていればいいという時代ではなくて、地域の生活支援の一つとして医療があると思うのです。ご自宅で誰にも看取られずに亡くなってから発見される方も数多くいらっしゃるのが今の日本です。そういった生活弱者ともいえる方をいかにピックアップしていくかということを考えると、やはり医療が地域にもっと介入していかなくてはいけない。とはいえ医療の力だけではやはり限界もあるので、行政としっかり手を携えて、医療側と行政側の双方が地域の問題点や課題を共有して、行動していくことが大切だと思いますね。

地域医療の芽を育てていくために

印象に残っている患者さんのことなど教えてください。

大橋英司理事長 大橋内科胃腸科5

在宅医療で出会った患者さんたちはみな、印象に残っていますね。自宅というプライベート空間に入らせてもらうので、オープンな関係を築くことを心がけています。その想いが伝わるのか、医師と患者、患者の家族という関係より1段深い関係になっている気がしますね。「頼れるのは先生しかいない」、と言ってくれる患者さんもいましたし、「ありがとう」とか「先生も帰りの運転気をつけて」なんて言葉をかけてもらうことも。喜んでもらえる、頼りにしてもらっているということはやっぱりうれしいです。当院では木曜と土曜の午後は往診に当てていて、1日に50kmぐらい車を走らせます。そうすると医院での診療時間は短くなるし、多くを診ることはできないけれど、それでいいかなと。ほかの先生がやってくれているところはお任せして、私は、周りの先生があまりやっていないところをやっていければいいかな、と思うんです。

リフレッシュはどのようにされているのですか?

心配な患者さんには携帯電話番号を教えているので、夜間も電話があったり、医師会の打ち合わせがあったり。診療以外にもやることがたくさんあるので、なかなか休みがないのが現状ですね。自由に旅行が出来ていた頃は、まとめて休みを取れたタイミングで海外旅行に行くとか、車の運転をするのがいいリフレッシュになっていましたね。スタッフの慰労に、院内旅行で88ヵ所巡りに行った時も、ワンボックスカーを運転して行きました。でも、今は首を痛めていて、運転もリフレッシュという感じではなくなってしまったのですが。

今後の展望などお願いします。

大橋英司理事長 大橋内科胃腸科6

今後ますます在宅医療のニーズが増えてくると思っています。医師会などでも話し合いを重ねてきてはいますが、まだ在宅医療を担う医師の育成や仕組みづくりができていない状態です。自分の医院のことだけではなくて、いかに、地域医療を支えていくのかという大きな視野を持って、行政とも連携しながらこの地域の医療をもっとゆたかにするということに尽力していきたいと思っています。医療が成り立たない、そんなことがないように大局を見据えての行動をする、そういうことが必要な時だと思っているので、微力ながら、これからも行動を続けていきたいと考えています。

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