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南 三郎 院長の独自取材記事

オズモール内科クリニック

(名古屋市東区/大曽根駅)

最終更新日:2021/10/12

南三郎院長 オズモール内科クリニック main

大曽根駅と森下駅という、JR・名鉄・名古屋地下鉄の3線2駅からともに徒歩5分。抜群の立地を誇る「オズモール内科クリニック」。バリアフリーとなっている入口から一歩足を踏み入れると、木目調で統一されたインテリア、小上がりの畳など、温かみのある落ち着いた雰囲気に、緊張感が一気に解きほぐされる。いずれも、院長である南三郎先生のこだわりの設計だという。血液学や免疫学を専門とし、かつては日本で開始されたばかりの骨髄移植の治療に従事してきた南先生。当時の経験や知識は、開業した今でも大きな財産だという。がっしりとした体格でハキハキと話す姿からは、地域の人々に絶大な信頼を寄せられる存在であろうことが、容易に想像できた。

(取材日2016年5月25日)

「血液」を専門にしたことで体全体に精通できた

院内は木の温もりが印象的ですが、設計の際にこだわった点は?

南三郎院長 オズモール内科クリニック1

最大の特徴はバリアフリーですね。外にも中にも、階段がひとつもないんです。扉も広めにして、車いすでもスムーズに入れるように。私の娘に障害があることもあり、体が不自由な方でもアクセスしやすいようにしたんです。また、畳スペースもこだわりのひとつ。お子さんのおむつ替えも安心してできますし、具合が悪くなった方は横になっていただくこともできます。あとは、おっしゃっていただいたとおり、インテリアで木を感じられる造りにしたことでしょうか。クリニックというよりも自宅にいるような雰囲気のなか、リラックスして受診していただけるようにしました。

先生の専門は「血液」だそうですね。

もともと、患者さんと密に接した治療ができる内科を志望していたんです。血液学は、人間の体全体のことを把握する必要のある学問なんです。なぜかというと、血液は体内すみずみまで循環しているから消化器、呼吸器、循環器など、すべての疾患に血液は関わってくるわけです。体内をトータルに把握して全分野に精通できるという部分に、興味とやりがいを感じましたね。同時に血液の病気は、診断から治療までを一貫して行える科目でもあります。「患者さんと時間をかけて深く関われる」というのが、血液学を専門にした第一の理由です。

血液学に引かれた第二の理由とは?

南三郎院長 オズモール内科クリニック2

私が卒業した名古屋大学が当時、血液学のメッカだったことですね。最先端の白血病治療を行っており、骨髄移植を早くから手がけていました。アメリカにならって骨髄バンクを立ち上げたのも、名古屋地区の東海骨髄バンクでした。そんな状況で当時の名古屋大学、そして私が次に勤めた名古屋第一赤十字病院には、化学療法での治療経過が思わしくない患者さんや、ドナーを求める患者さんが全国からたくさん訪れたわけです。今でこそ骨髄移植は標準的な治療ですが、当時は代表的な最先端医療の先駆けと呼ぶべき治療でした。そんな時期に研究や治療に携われたことは、非常に得難い経験だったと思います。今でも私自身の大きな財産ですね。

コミュニケーションがあってこそ診断が成り立つ

印象に残っている患者さんとのエピソードはありますか?

南三郎院長 オズモール内科クリニック3

赤十字病院で勤務していたとき、東京から40代の患者さんが転院されてきたんです。化学療法では効果がなく、東海骨髄バンクと骨髄移植に最後の望みをかけて。ただ、残念ながら適合者が見つからなかった。そういった告知をすると、絶望して泣き叫ぶか深く落ち込むかが当然の反応なんです。ですが、その方はまったく取り乱すことなく、ひと言「わかりました、東京へ帰ります」とだけ。実に泰然自若とした態度に、人間の強さを見たというか……。「自分が同じ状況になったら、受け入れられるのだろうか」と感銘を受けましたね。人間は、そう強くないと思うんです。病気になったら、狼狽して落ち込むのが普通。だからこそ、「そんなプロセスを経て立ち上がろうとする患者さんを、医療で全力サポートしよう」、「患者の立場に立てる医師になろう」と改めて決心しました。

その思い出は、現在の診療にも生かされているわけですね。

もちろんです。患者さんの立場になることで、初めて患者さんに心を開いてもらえるわけです。そのために、患者さんの話に耳を傾けることから始めます。診断のヒントは会話にあると断言できますね。もっといえば、開業医のレベルでは、患者さんとの会話で9割ぐらいは診断がつく。会話の内容は、単なる体の具合についてだけではありません。生活環境や生活習慣、性格、家庭、生きざま、悩みなど、患者さんにまつわるあらゆることです。トータルに患者さんを把握することが、かかりつけ医の役割だと思うんです。ですから当院では、診療科目以外の――例えば目の病気になったとしても、一度は私のところにやってくる患者さんが多いですね。その患者さんについて一番知っているのは私だから、私であればその方の疾患や体調などに最も合った専門医を紹介できる。そういう意味で、コミュニケーションは何より大事にしていますね。

看護師さんや事務スタッフさんも、そうした姿勢を大事にされていますか?

南三郎院長 オズモール内科クリニック4

現在は8人のスタッフがいますが、一丸となって患者さんの声に耳を傾けるよう徹底しています。私には直接言いにくいことでも、「女性だから」「同世代だから」といった理由で、彼女たちには話すというケースは少なくないようですね(笑)。必要な情報はフィードバックしてもらい、診療や診断に役立てています。当クリニックでは月に1回、全スタッフで勉強会を行っているのですが、安全管理や特定の疾患についての知識習得のほか、患者さんとのより良い接し方についてもディスカッションをしています。そうすることでスタッフ全員の意思疎通がとれてクリニック全体にまとまりが生まれ、患者さんの安心感も高まる。スタッフの意識がバラバラでは、いい医療はできませんからね。

治療とともに安心感を与えられる「総合医」をめざして

先生の中で、めざしていきたい医療の姿とは?

南三郎院長 オズモール内科クリニック5

当院の患者さんは3割がお子さん、7割がお年寄りとビジネスマンの半々で占めています。それぞれに対してきめ細かな配慮の行き届いた医療を提供できるようになることが、いちばんの理想ですね。具体的に言えば、子どもに対しては健やかな成長と発育につながる医療を。成長を妨げるような病気をできるだけ早く見つけて、早期に治療し、発育の支障にならないように方向づけることが、私の役割だと考えています。同時に、働き盛りの世代に対しては予防医療と健康に対する啓蒙を、お年寄りに対しては不安や悩みに寄り添う医療を実現させていきたいですね。

予防医療にも力を入れていらっしゃいますね。

病気になってからでは遅いですからね。私は血液学とともに、予防に通じる免疫学の研究や臨床にも力を入れてきました。だからなおさら予防の大切さを理解しているし、多くの人に伝えたいという思いがあるんです。予防接種は保険治療の範囲には入りませんが、「取り返しがつかなくならないように」という意味で、ぜひおすすめしたい予防医療の一種です。皆さんに分かっていただきたいのは、がんにしてもほかの病気にしても、「これだけ守っておけば、この病気にはならない」といったようなゴールドスタンダードは存在しないということ。病気はさまざまな因子が重なり合って発生するものなんです。であれば、塩分、タバコ、運動不足、野菜嫌いなど、病気につながるような因子をできるだけ排除した生活を送るしかない。そういった指導も、積極的に行っていますね。

ここまでのお話から、現在のお仕事に対する情熱や思いが強く伝わってきました。

南三郎院長 オズモール内科クリニック6

患者さん一人ひとりに対して、コミュニケーションを大切にしながら病気の背景因子も含めて「トータルに人を診る」というのは、開業医にしかできないダイナミックな仕事。そういう仕事に携わっているという充実感と醍醐味はありますね。開業医とは医療の最前線。私はよく「窓口になりますよ」という言い方をするんですが、どんなことでも言ってきてほしいんです。どんな疾患でもいいし、病気と関係ないような悩みでもいい。「ひとり暮らしで不安」でもなんでも。誰かと話とすることで気持ちが晴れることもあるし、ほかに同じような人がいると知って安心することも多い。私の手に負えない症状であれば、ほかの専門医を紹介することもできます。病気の治療だけでなく、患者さんに安心感を与えらるような、真の意味での「総合医」でありたいですね。

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