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田島厳吾 院長の独自取材記事

すわやまクリニック

(目黒区/中目黒駅)

最終更新日:2021/10/12

田島厳吾院長 すわやまクリニック main

中目黒の大通りから一筋入った住宅街にある「すわやまクリニック」。もともと田島厳吾院長の祖父母の住まいだったところをクリニックとして改築したこともあり、院内にはアットホームな空間が広がる。院長は、慶應義塾大学医学部を卒業後、国立がんセンター中央病院などで外科医として腕を鳴らし、愛着のあるこの中目黒で地域医療をしたいという強い気持ちのもと2005年に開院。とくに力を入れているのは乳腺外科。地元医師会の小新聞などへの執筆や、漫画の監修も務めるなどして、乳がんに対する世の中の関心を高めるような活動に勤しむ。「医師としてのアイデンティティーは外科医」という院長は、自身のクリニックで地域医療に貢献する傍ら、現在も週に1回はメスを握り、乳がんなどの手術を行っている。プライベートでは、家族と過ごすのが一番の息抜きだと優しい顔を垣間見せる田島院長の、頭の中・心の中をのぞいてみた。

(取材日2011年12月14日)

住まいがクリニックに。だからこそ醸し出されるアットホームな雰囲気が魅力

かなりカジュアルな装いでいらっしゃいますが、診療の時もGパンにシャツといった格好なのですか?

田島厳吾院長 すわやまクリニック1

そうなんです。患者さんにはなるべく気楽な気持ちで来ていただきたい。そんな思いで、こうしたカジュアルな格好で診療するようになりました。「病院=緊張する場所」と感じる方も多いので、白衣でカチっとキメるより普段着で診療するほうが、患者さんは身構えずに済むと思うんです。病院っぽくないクリニック、お医者さんらしくない医師であるように心掛けています。クリニックの内装も、くつろぎの空間作りにこだわっています。やさしくてやわらかい雰囲気にしたいと思い、当院は薄い緑を基調としています。スリッパも椅子も天井も床も。一見白に見えるこの壁も、実はほんのり薄い緑なんですよ。患者さんには全然気づいてもらえませんが……(笑)。患者さんへの接し方に関しては、「同じ目線」を大切にしています。同じ目線になって、患者さんが求めていることは何かを一番に考える。家族や親しい人が来た時と同じ感覚でコミュニケーションを取るようにしています。

田島先生が医師を志した経緯を教えてください。

祖父も父も医師なので、僕も自然と医療の道を目指していました。専門として外科を選んだのも、やはり外科医だった二人からの影響が強いですね。「医師といえば外科」と潜在意識にすり込まれていたと思います(笑)。外科のさまざまな分野のなかでも乳腺外科に興味を持ったのは、父・田島知郎(ともお)がその道を切り拓いてきたパイオニアだというのが大きな理由です。父とは性格は全然似ていませんし、患者さんとの接し方もまったく違うのですが、やはり「患者さんを治したい」という根本的な考え方は一緒ですから、たくさん刺激をもらっています。

大学病院などで腕を鳴らしてこられた先生がご自身のクリニックを開院されたきっかけはなんですか?

田島厳吾院長 すわやまクリニック2

勤務医時代の経験をふまえ、地域医療に取り組みたいという気持ちがふくらんだからです。大病院の性質として、次から次へと山積みされる患者さんのカルテをただこなしていくスタイルをどうしても否定できませんから、それよりもっと患者さんの近くでお役に立ちたいと強く感じるようになったんです。中目黒を選んだのは、愛着のあるエリアだからです。このクリニックはもともとは僕の祖父母の家だったんです。祖父母が他界して以来ずっと空き家のままだったのですが、僕が地域医療を意識し出した頃に「そうだ、ここだ!」と思い浮かんだんです。あともう一つの開院の理由は、家族の存在ですね。祖父も父も勤務医でしたから、家族団らんの時に病院から呼ばれて飛んでいくということが多く、僕は子どもながらにさみしい思いをすることがありました。僕自身も開業前は長いこと勤務医だったのですが、子どもが生まれ、彼らには自分と同じような思いをさせたくないなと強く感じ、自宅が目と鼻の先にある環境で開院するに至りました。

医師としてのアイデンティティーは外科医。現役の外科医としてメスも握りつつ、地域医療に貢献

たくさんの診療科目を標榜されていますよね。

田島厳吾院長 すわやまクリニック3

当院では、外科、内科、胃腸科、肛門科、乳腺外科の診療を行っています。欲張って並べました(笑)。というのは冗談で、診療科目の選択は勤務医時代の経験がベースになっています。大学病院などで外科医として勤務をするなかで、胃腸にも肛門にも乳腺にも外科的なアプローチで、たくさんの症例にかかわってきました。とくに乳腺は、ずっと力を入れている分野で、年々、乳腺外科の重要性を強く感じます。乳がんは日本で毎年およそ4〜5万人が発症、そのうち亡くなる方が1万人にも及ぶといわれています。食べ物など生活習慣と大きく関係する病気ですから、今後も患者の数は増え続けることは間違いありません。実際、当院の患者さんの半分以上は乳腺外来の患者さん。乳腺の専門家として僕に求められるものの大きさを受け止めながら、今後も力を注いでいきたいと考えています。

乳腺外科の専門家として、乳がんをテーマにした漫画の監修もされたとか。

はい、非常に貴重な経験になりました。20代で乳がんの宣告を受けた漫画家が自身の闘病記を赤裸々に描いたコミック『乳ガンなんてコワくないっ!』(司馬 亘著・日本文芸社)の監修を任されたんです。医学的におかしいところはないか、乳腺の専門家の観点でチェックをする作業でしたが、監修を通じてあらためて気づかされることがたくさんありました。作者の司馬さんは僕の患者さんではないのですが、僕自身一人の読者として漫画を読み進めるなかで乳がん患者さんの体験をリアルに感じ、これまでとはまた違う視点で、医師としてのあり方や患者さんとの向き合い方を考えるきっかけとなりましたね。例えばピンクリボンキャンペーンなどの影響で、乳がんに対する世の中の関心度は高まってきているのは確かです。しかし、年間におよそ1万人が乳がんで命を落としているのも事実です。ですから、このような形で乳がんのことを知ってもらうきっかけを作るのも大事な作業だなと実感しました。

開院後も、外科医としてオペで執刀されているのですよね?

田島厳吾院長 すわやまクリニック4

医師としての自分のアイデンティティーは外科医だと思っていますから、今も週に1度は何かしらの手術を行っています。やはり自分が見つけた病気は、自分で手術もして、その後のケアまでトータルに治療にあたりたい。それが医師の責任ですからね。一般的に、外科医として腕を鳴らしてこられた先生が開業をして町医者になると、どうしても外科的な治療からは手が離れがちになるものです。患者さんがかかりつけの医師に求めるのは、外科医としての技術より、さまざまな体の悩みを聞いてもらえる安らぎのほうが大きかったりしますし、設備的な問題もあったりするので。そう考えると、僕は恵まれていますね。ご近所にある東京共済病院や、父が勤務している東海大学医学部付属東京病院で定期的に手術の機会がありますから。実は父と一緒に手術をすることもあるんですよ。一つのクリニックで親子のドクターが協力して診療にあたるケースはたまに耳にしますが、オペを親子で行っているケースは珍しい。最初は、「親子だからこそかえって大変なこともあるんじゃないかな」という心配もありましたが、仲良くやっています(笑)。

患者さんとの距離の近さにやりがいを感じ、今日も同じ目線で診療にあたる

外科医の先生は手先が器用そうなイメージがありますが、実際のところどうなのでしょう?

田島厳吾院長 すわやまクリニック5

よほど不器用でない限りは大丈夫だと思いますよ。僕は子どもの時から、プラモデルを作るなど手先を動かすのが好きで、どちらかというと器用なほうですが、実際に手術をするようになってから思うのは、外科医には器用さ以上にもっと必要な要素があるということ。それは例えば、総合的な判断力とか、一度物事を始めたら最後までやり切る気持ち、集中力。手術によっては10時間近くの長丁場になることもありますから、とにかくガッツがものをいうんです。大きな手術の前には不摂生をせず体調を整え、手術当日の朝食も軽く済ませたり、手術に向けての態勢を整えつつ集中力を高めていく。僕はいつもそんなふうに手術に臨んでいます。

「不摂生をしないように」という言葉が出てきましたが、健康法として実践されていることはありますか?

腹八分にとどめる。そして野菜ジュースを毎日飲む。この二つかな。運動に関しては、目下のところ最大の課題ですね。学生時代にはスキーに没頭していて、当時は体力には比較的自信があったのですが、その時培った体力が今も維持されているかといったら、全然です(笑)。当時は、医学部生というより「スキー学部生」といったほうが正しい。それぐらい練習、練習の毎日でした。今でも時々「スキーをしたい!」という欲求に駆られることがありますが、何せスキーは時間も手間もかかるので、全然行けていません。まとまった時間ができたら、家族でスキーに行けたらいいですね。

読者にメッセージをお願いします。

田島厳吾院長 すわやまクリニック6

開院して実感しているのは、「患者さんとの近い距離感」。大きい病院の場合は、患者さんはあくまでも○○病院の外科に診てもらおうと思ってやって来る。そうしたらその日の担当が僕だった。ですから患者さんと一対一で向き合うことに、どうしても限界が出てきます。でもこのクリニックの患者さんは、僕に診てほしくて来てくださるわけです。山積みされたカルテをこなさなければいけない勤務医時代の感覚とは全然違いますね。できる限り時間をとって患者さんのお話を細かくお伺いするようにしています。僕が患者さんに行なったことに対して、「ありがとう」「ここに来ると元気になる」といった言葉をいただけると、やりがいを感じますね。これからも患者さんと同じ目線で、病院らしくないクリニック、お医者さんらしくない医師であり続けますので、敷居の高い場所と思わずいらっしゃって下さい。いつでも気軽に来ていただけるように、今後もこうしたカジュアルな格好でお迎えしますので(笑)。

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