香山 仁志 理事長の独自取材記事
香山医院
(大阪市港区/弁天町駅)
最終更新日:2025/09/12

「コンビニ感覚で来てほしい」と話す「香山医院」の香山仁志理事長は、長年さまざまな器官の手術に携わり、救急医療など臨床を経験してきたベテランドクターである。専門は肝臓・膵臓だが、胃や大腸・乳腺・肛門・肺などの診療にも従事し、外科部長を務めた経歴も持つ。その香山理事長が内科や整形外科分野も研鑽を積んで1999年に開業したのが同院。総合病院と同じような設備で行う診療や、さまざまな医療の提供が特徴の同院は、大阪メトロ中央線・大阪環状線の弁天町駅から徒歩8分のところにある。患者の満足が感じられるまでじっくり耳を傾けるという香山理事長に、地域への想いやホームドクターとしてのやりがいなど話を聞いた。
(取材日2018年9月26日/更新日 2022年11月18日)
培ってきた高度な医療を地元へ還元したいと開業に至る
いつ頃から医師を志されたのですか?

進路を考え始めた高校2年生からです。実家は海運業で身近に医療従事者がいたわけではないのですが、医療で人の役に立てればと医学部に入りました。外科を選択したのは、もともと手先が器用で体力にも自信があったからです。卒業後、近畿大学医局からの派遣で系列病院に勤務していた13年間、専門である肝臓と膵臓だけでなく外科医師は皆そうであるように、さまざまな臓器の手術を行いました。歩けない状態で来られた患者さんが、退院できるようになるとうれしいですし、やりがいを感じられましたので、そのためにも技術を磨くことに専念しました。
大学病院での三次救急医療にも携わり、研鑽を積んでこられたと伺いました。
三次救急では重症の方が運ばれてきますので、さまざまなドラマを見ることになります。患者さんの死に立ち会うこともある生と死が隣り合わせの中、ひたすら助けたいと思う気持ちで命と向き合う毎日でした。また、並行して大学院での研究にも力を入れました。当時はそうして臨床と研究の両立で博士号を取得する医師が多かったということもありますが、研究には理論立てた考えを養うことができるというメリットがありました。患者さんの症状全体を捉えたところから系統立てて診ていくことができますので、より的確な診断ができるようにもなっていきますしね。
手術で多くの患者さんを救うような現場から開業に踏みきられたのはなぜですか?

生まれ育った地元へ、これまで培ってきた高度な医療を還元したいとずっと思ってきたからです。それに当時この辺りには外科の診療所がなかったので、いつかは必ず開業して地域のニーズに応えなければと思っていました。救急医療の現場にいた頃、整形外科の手術のサポートに入ることがよくありましたので、開業後に外科・内科だけでなく高齢の方が多く抱える整形外科分野の症状も診ていけるようにと、随分、勉強しました。町の診療所であっても総合病院レベルの診療を幅広い分野で提供できる、地域に最高の医療を届けられる、そんなクリニックを作りたくて開業に至ったのです。
かかりつけ医ならではの安心を届けられる診療
ここはもともと港町ですよね。

私が子どもの頃は、四国や別府に向う船がこの近くの弁天埠頭から運行していて、乗船客の列が駅近くまで続く光景がよく見られました。今は旅客船の発着はなく貨物船だけですが、船員さんで持病を抱えている方や、健康診断を受ける必要のある方が、港に着いてすぐ当院に直行して来られます。そうして海からも患者さんが来るのは港町ならではですよね。また、住宅地と半々くらいの割合で町工場がありますから手の負傷など外傷で来られる方も結構おられますし、学生さんだとクラブ活動でのケガが多いので、縫合などの外科処置ができる当院が地元にあるのは心強いのではないでしょうか。他にも、イボを取り除くなど小外科分野の手術も行っています。
患者さんは地域にお住まいの全年齢層となるのでしょうか。
1歳前後から90歳代の方まで、標榜科目にない皮膚科や耳鼻咽喉科の症状であっても普通に来院されますよ(笑)。頭のてっぺんから足のつま先まで、なんでも診られないといけないのがホームドクターであり「町のお医者さん」です。何役も兼ねることになるのは開業医の宿命ですが、一方で専門治療の必要性を見極めることも重要です。中には、すぐに救急搬送しないといけないような重症の患者さんが来られることもあります。そのような一刻を争う状況下で適切な病院へ送ったり、私で対応できる範囲で即座に治療にかかったりと瞬時に判断を下せるのは、やはり救急医療で培ってきた経験のおかげです。また、予防の一環として禁煙治療にも力を入れています。そして高齢化に伴い増えてきた認知症の患者さんには、地域包括ケアシステムによる連携の取れた体制でサポートを行っています。
どんなときに医師になって良かったと感じられますか?

一番は「ありがとう」と言って帰ってもらえるときです。当院は開業して23年になりますから、当時の幼稚園児・小学生もすっかり成長し、今はご自分のお子さんを連れて来られますので、かかりつけ医冥利に尽きるとうれしく思っています。また、がんの手術を受けた患者さんが、その後再発なく5年経過したときなどは、ご家族の皆さんとも一緒になって喜び合います。「人を助けたい」その気持ちが根底にあるので、勤務医時代も含め命をつなぎとめるためのことに携われるたびに医師になって良かったと感じていました。ですが一方で「看取る」ということも、医師の重要な役割であることを感じさせられます。在宅医療では長く診てきた患者さんが、心穏やかに安心と信頼を寄せて任せてくださっているように思います。最期まで心を尽くして看取らせていただけることもまた、かかりつけ医冥利に尽きることなのだとしみじみ感じています。
元気な高齢者があふれる地域をめざして尽力
理念について教えてください。

誠心誠意、診させていただくことです。一人ひとりに時間をかけて患者さんが何を訴えているのかをしっかり聞き取り、満足して帰っていただくことに重きを置いています。首を傾げている間はまだ納得されていないわけですから、再度じっくりお話を伺います。1度で診断がつかないものもありますが大きな病院と違って、数日後にとか、すぐに何度でも来ていただくことができるので検査を進めながら原因追究・解明に努めます。そのためにも信頼関係の確立は欠かせません。コミュニケーションを通して患者さんの不安や悩みをくみ取ることを常に心がけています。一緒に治療に取りかかる上で「話を聞いてくれる先生」であるかどうかは最重要ポイントに挙げられると思うのです。「何かあったら、ここに来ればいい」そんな駆け込み寺のような存在でありたいですね。
お忙しい中、休日はどのようにリフレッシュされていますか?
気分転換という意味では、時々ゴルフに行くくらいでしょうか。大学時代は卓球部でしたが同時にゴルフもするようになり、その後ずっとお付き合いにおいて役立っています。私は今も休診日は勉強会に出かけることが多く、これまで特にこれといった趣味を持つことはありませんでした。もともと知識を取り入れることは好きですし、開業医となるとあらゆる診療が求められますから、いろいろな科の勉強会に参加しています。常に時代は進化して新薬や新たな治療法が生まれてきますので、先端の医療を学び身につけるために余暇の時間を使っています。
読者へのメッセージや今後の展望について聞かせてください。

「なんだか気になる」「ちょっとおかしい」と感じる気づきを大事にして、早めの受診を心がけていただきたいです。そして年に1度の検診は必ず受けてほしい。例えば早期のがんを見つけるためには、症状がないときに検査を受けないとわからないわけです。私は市民検診を請け負っていますので、そうした機会に見つかる自覚症状のない深刻な病変がいかに多いか目の当たりにしています。ですから毎年恒例と習慣づけて健康管理に役立てていただけることを切に願っています。今後の展望としては新たに何かを始めるというより、これまで精一杯やってきたことを、これからも真心を込めて続けていくということにあります。また、100歳時代といわれる現在、健康寿命を延ばせるように生活習慣病などの改善に向けても力を注ぎ、元気なお年寄りがあふれる地域になるように尽力したいと思っています。
自由診療費用の目安
自由診療とは健康診断/7500円~