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寺田 満和 院長の独自取材記事

広島アレルギー呼吸器クリニック光町

(広島市東区/広島駅)

最終更新日:2023/05/26

寺田満和院長 広島アレルギー呼吸器クリニック光町 main

JR山陽本線広島駅新幹線口から徒歩5分、光町1丁目信号すぐ近くのオフィスビル6階で、20年にわたり診療を続けている「広島アレルギー呼吸器クリニック光町」。院長の寺田満和先生は、呼吸器を専門とする医師として30年以上の経験を持つベテランだ。医療や医学の進歩は薬の進歩でもあり、寺田院長はそのダイナミックな変化をリアルタイムで見てきた。しかし、どんなに優れた薬でも、使い方を誤れば期待できる効果は激減。そうならないように診察し、具体的でわかりやすい説明を大切にしているという。インタビュアーの質問に対して一つ一つ、うなずきながら聞き、決して話を遮らずに的確に答えていく寺田院長。患者やスタッフとの日頃からの丁寧なやりとりがうかがえるインタビューとなった。

(取材日2023年3月18日)

喘息以外の可能性を念頭に長引く咳の原因の特定を

クリニックの特徴についてご紹介ください。

寺田満和院長 広島アレルギー呼吸器クリニック光町1

当院は喘息の診断と治療に特化したクリニックとして2003年3月に開業、今年で20年目を迎えました。当院は現在広島アレルギー呼吸器クリニック八丁堀で院長を務める保澤総一郎先生と僕とで開設しました。もともとは光町の当院で、保澤先生と2人で診療していたのですが、患者さんの増加で予約が取りにくくなってきたため、八丁堀でも診療を行うようになりました。保澤先生は現在も、木曜午後だけ当院で診察しています。診察は基本的に予約制で、初診の患者さんはお電話で、再診の患者さんは来院時に次回の予約を取っていただきます。咳をする患者さんが多い診療科目なので、近年は感染症対策として換気を徹底しています。

患者さんはどのような方が多いのでしょうか。

全体の7割が喘息の患者さんですが、他にも花粉症や慢性閉塞性肺疾患(COPD)、睡眠時無呼吸症候群などでお悩みの患者さんも通われています。患者さんは10歳以上が対象ですが、最も多いのは30歳から70歳くらいの方ですね。地域としては広島市内の方が中心で、中には愛知や大阪から通われている方もいます。治療はすべて保険診療で、その範囲内で、患者さんそれぞれに合わせた最善の治療の提供に努めています。今年はスギ花粉の飛散量が多く、初めて花粉症になって通院される方も増えています。花粉症もアレルギー疾患ですが、アレルギーに関してはとにかく原因物質を体に入れないことが一番の予防になります。

咳の原因が喘息かどうかは、どうしたらわかるのでしょうか。

寺田満和院長 広島アレルギー呼吸器クリニック光町2

長引く咳、苦しい咳にお困りの方には、喘息だけでなく結核などの可能性も念頭に診察し、検査・診断します。当院での喘息の検査は、胸部エックス線検査、肺機能検査(スパイロメトリー)、呼吸抵抗検査、呼気一酸化窒素(NO)検査など患者さんの体に負担の少ない検査を組み合わせ、最短15分程度で完了します。これらの検査と問診、身体所見などからよくみられる喘息以外の原因としては、アトピー咳嗽(がいそう)、胃食道逆流症、副鼻腔気管支症候群などがありますね。咳の原因が胃食道逆流症だった場合には胃腸薬を使って、消化器疾患の治療をすることになります。

へき地の診療所で働きながら大学でも研究を続ける

咳の原因を見極めて、状況に応じた治療をされているのですね。

寺田満和院長 広島アレルギー呼吸器クリニック光町3

胃食道逆流症の患者さんでは気管支喘息を併発している方もいますが、いずれにしても当院では特別な治療をするのではなく、それぞれの疾患について標準治療を行うことを大切にしています。言い換えれば、科学的な根拠と、多くの専門家の合意に基づき、その時点で最も効果が期待できると考えられる治療方法である、標準治療の実践です。喘息については、日本のガイドラインが最も重要ですが、医療の進歩が著しい現在、国際指針のガイドラインは毎年アップデートされますので、僕自身も新しい情報を積極的に取り入れ、治療を通じて患者さんに還元したいと思っています。

医師の仕事を志したきっかけを教えてください。

小さな頃は飛行機が大好きで、将来はパイロットになりたいと思っていたのですが、中学1年生の時、3歳の弟を病気で亡くしてしまったんです。発病してたった3日で亡くなったのが大きな衝撃で、医師になって病気を治したいと思うようになり、自治医科大学に進みました。医師になりたての頃に当直をした晩、指導医の先生と雑談中に将来のことを聞かれたんですね。その先生は呼吸器部長も務めていて、広島大学第2内科への入局を勧められ、気管支喘息の研究をすることになりました。ただ、僕は自治医科大学の出身で、9年間は広島県の指定する地域での診療を担当する義務があったため、この間は病院、診療所勤務と大学での研究の2足のわらじ生活でした。

診療所勤務の時も、呼吸器を専門に診ていたのですか?

寺田満和院長 広島アレルギー呼吸器クリニック光町4

県立広島病院で2年間の初期研修を終えた後は、広島県からの派遣医師として公立病院や診療所で働いてきましたが、呼吸器ばかりを専門に診ていたわけではなく、むしろほとんどが一次診療、プライマリケアでした。胃カメラとか腹部や心臓のエコー検査も多かったですね。特に卒後6年目で勤めた地域中核病院はとにかく忙しく、内科系疾患は一通り経験しました。例えば循環器の患者さんも多数集まるので、心臓カテーテル検査も行いました。その後のへき地医療では訪問診療で山奥まで行きましたし、患者さんも疾患も幅広く診ることになり、たいへん勉強になった時期でした。広島県での人事が終わると、今度は広島大学の医局人事で動くことになり、因島医師会病院、吉島病院に勤務しました。当時喘息の研究についていろいろご指導いただいていた保澤先生から、一緒に開業しないかと誘われて光町の当院で副院長になりました。2014年からは院長を務めています。

吸入ステロイド薬は、正しい使用方法が重要

これまでのご経験で印象に残っているのはどんなことですか。

寺田満和院長 広島アレルギー呼吸器クリニック光町5

僕は1986年に医師になりましたが、当時は多くの方が喘息で亡くなっているような時代で、重症の喘息発作のため、病院に着く前に呼吸が止まりそのまま亡くなる方もおられました。重症難治性喘息の患者さんには、点滴や飲み薬による全身性のステロイドが欠かせず、副作用で苦しむ患者さんが多かったので、自分の研究テーマとして喘息の難治化因子の解析に取り組んでいました。ところが、1990年頃に吸入ステロイドが普及すると、全身性ステロイドから離脱できる患者さんが増えてきたんです。さらに最近では先端技術による生物学的製剤が次々に保険適応となり、吸入ステロイド治療を最大限行っても全身性ステロイドが欠かせなかった患者さんも減量・離脱が可能になってきました。このように吸入ステロイドや生物学的製剤の登場によって、喘息の治療が劇的に変化したことは大変な驚きでした。

診療の際に心がけていることを教えてください。

患者さんに対しては難しい医学用語を避け、模型を使って病気の説明をするなど、わかりやすいコミュニケーションを心がけています。また、スタッフと連携し、患者さんをできるだけ待たせないようにしています。治療については、吸入薬の指導や説明を丁寧にすることですね。きちんと吸入できていないと治療としての効果が期待できにくくなるので、1階にある薬局の薬剤師さんにもお願いして、薬の使い方を説明してもらっていますし、診察でも正しく使えているかチェックさせてもらいます。最大量の吸入ステロイドを正しく吸入でき、その他の抗喘息薬を十分併用しても全身性ステロイドがないとコントロールできない重症の方では生物学的製剤を考慮します。

今後の展望や読者へメッセージをお願いします。

寺田満和院長 広島アレルギー呼吸器クリニック光町6

当院は開業20年、これからさらに20年続くと、僕は82歳になります。年を重ねても新しい知識を入れることができ、頭がしっかりしているうちは頑張って、治療に力を尽くしていきたいです。読者の皆さんには、咳が長引くときはいろいろな病気が隠れていることがあるので、きっちり診断してもらうことをお勧めします。気管支喘息の患者さんに対しては、この病気は高血圧や糖尿病と同じ慢性病であり、完治こそ難しいですが、コントロールすることはめざせるとお伝えしたいですね。医師と相談しながら自分に合った吸入薬を選び、必要に応じてスペーサー、ネブライザー、噴霧補助器具なども使用し、症状を抑えていきましょう。

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