各分野の専門スタッフが
チームで支える糖尿病治療
渡辺内科クリニック
(西宮市/西宮駅)
最終更新日:2025/07/11


- 保険診療
生活習慣病である糖尿病は、患者の生活習慣、性格、病状、体質などに合わせたきめ細かいオーダーメイド治療が求められる。「渡辺内科クリニック」は、長年、糖尿病の診療と研究に携わってきた渡辺伸明院長が開業した糖尿病専門クリニックだ。同院では、患者に最良の医療を提供するため、医師、管理栄養士、看護師、臨床検査技師、薬剤師から成るチーム医療を推進している。高い意識を持ったスタッフ全員が情報を共有することで、迅速かつ適切な医療提供をめざしている。今回は、渡辺院長をはじめ、同院の管理栄養士、看護師、臨床検査技師、薬剤師それぞれに、患者と接する際に大切にしていることを聞いた。
(取材日2025年6月20日)
目次
糖尿病の知識を常にアップデートし、団結力が高く、患者に寄り添うスタッフが一丸となって診療にあたる
- Qこちらには各分野の専門スタッフが在籍しているそうですね。
-
A
▲スタッフそれぞれが密に連携しながら患者を支えている同院
【渡辺院長】当院はチーム医療を推進しており、医師は私のほかに非常勤が7人、看護師5人、臨床検査技師4人、管理栄養士4人、薬剤師3人、事務職4人の体制を取っています。それぞれが専門性を生かしながら密に連携して診療やサポートにあたっています。院内の8台の端末で電子カルテを共有しているため、スムーズな対応が可能です。患者さんにより良い診療を届けられるよう、研究会に積極的に参加して発表を行ったり、院内で症例検討会を実施したりするなど、自主的なスキルアップも図っています。
- Q管理栄養士として、どんなことを大切にしていますか?
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A
▲笑顔やあいさつも大切にしながら、生活習慣の指導を実施
【田中さん】患者さんには、食事だけでなく生活全般の話を伺いたいので、あいさつ、声かけ、笑顔を大切に、構えずにフランクにコミュニケーションを取ることを心がけています。生活習慣が改善されない場合は、必ず理由が隠れていますので、その原因にアプローチします。長く通院されている糖尿病患者さんが多いので、環境の変化に気づくことができます。アドバイスによって、症状の改善につながればうれしいですね。チーム医療のメリットは、患者さんの情報を他のスタッフと共有できることですが、知ってくれてうれしいという方もいる一方、他の人に伝わっていることを嫌がる方もいますので、気をつけて対応しています。
- Q看護師として、どんなことを大切にしていますか?
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A
▲こまやかな配慮や声かけなどを心がけつつ、患者に対応している
【安原さん】患者さんが来院すると、まず看護師が採血することが多いので、近況を伺ったり、診察に役立つ情報をお尋ねします。一方、医師に言いにくいことを代わりに伝える潤滑油の役割もしています。私はチーム医療の中では、フットケアや感染症で体調が悪化した時に気をつけることなど、生活面でのサポートに力を入れています。また、院内でのキャリアも長いため、全体を見るようにしています。糖尿病は、治療中断を絶対に避けなくてはいけないので、「また来月も待っていますから」と声をかけるようにしています。患者さんを指導しようとは思っていなくて、会えるのを楽しみにしていますし、少しでもお役に立てればと思っています。
- Q臨床検査技師として、どんなことを大切にしていますか?
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A
▲数字だけではなく、その人自身を見てともに治療に取り組んでいる
【中嶋さん】検査技師は職種柄、検査の数値を見て判断することが多いのですが、当院では患者さんと直接話をするので、数字だけを扱うのではなく、一人ひとりの生活背景を把握して、環境の変化などに気をつけるようにしています。生活や経歴など深い部分まで知るためには、医療者と患者さんという垣根を取り払う必要があるため、フラットでフランクなコミュニケーションを心がけています。また、説明の際は患者さんそれぞれの方の理解力に合わせて、かみ砕いて伝えるようにしています。糖尿病は完全に治すことは難しいので、治療の伴走者として一緒に悩みつつも、治療がうまく進んだときには一緒に喜べたらと思っています。
- Q薬剤師として、どんなことを大切にしていますか?
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A
▲医師やスタッフと連携しながら、患者へ服薬指導を行っている
【井戸さん】当院は院内処方をしています。医師が処方を変えたときに、私たち薬剤師が意図を踏まえた上で患者さんに説明できるのが最大のメリットです。患者さんも薬を変更した理由を理解しやすいと思います。他のスタッフから聞いた患者さんの状況に応じて、薬の飲み方をきめ細かく指導できることも良い点ですね。糖尿病の薬は、食事のタイミングとの兼ね合いが重要なので、生活スタイルを踏まえて、患者さんが前向きになれる方法を提案します。患者さんが薬の使用法を間違えていて数値が良くならないという場合もあるので、薬剤師の立場から改善につながるよう丁寧な対応・指導を意識しています。