東 愛由美 院長の独自取材記事
あずまクリニック内科放射線科
(広島市南区/段原一丁目駅)
最終更新日:2026/03/31
2002年4月の開業以来、数多くの人々の健康を支え続けてきた広島市の「あずまクリニック」。2025年5月には、初代院長の娘である東愛由美院長が就任した。広島から遠く離れた関東で医師としてのスタートを切り研鑽を積んできたため、風土や文化が異なる故郷に約16年ぶりに帰って来た当初は戸惑うことも多かったという。それでも前向きに進む凛とした姿に、スタッフは厚い信頼を寄せている。開業以来のモットーである「地域とともに信頼と安心の医療を」を受け継ぎながらも、その先へと新たに歩み始めた院長に、これまで積み上げてきたキャリアや今後の展望などについて聞いた。
(取材日2025年12月25日)
父の思いを受け継ぐために、帰郷し院長に就任
こちらのクリニックは20年以上前に開業されたそうですね。

2002年に父の東和義がこの場所で開業しました。父は開業前は「広島大学病院」で日本医学放射線学会放射線科専門医として、長年先端の放射線診断に携わってきました。当時はCTやMRIの画像と格闘して診断をつけ、レポートを書き、主治医に説明するというような、まさに病気に立ち向かう日々だったと聞いています。そうするうちに「患者さんと直接ふれあって、病気の苦痛や迷いなどの不安を共有し受け止められるようにしたい」という思いが強くなり、開業を決意したようです。この診察室は父がずっと使っていた部屋です。その頃の名残が少しあると思いますが、3階は私の就任に合わせて内視鏡エリアとして一新しました。うれしいことに父の代にお世話になった設計士さんがまた設計を担当してくださって、2025年の3月に完成しました。
クリニックを継承することになった経緯をお聞かせください。
父は放射線診断やIVR(画像下治療)に生涯を捧げてきました。そうした姿を見ていて、私もできれば医学の世界へと思い、医師になりました。といっても、一時は音楽に打ち込んでいて、将来はそちらの道に進みたいと考えた時期もあったのですが、中学校、高校と進むにつれ、自然と医師の道に進もうと思うようになりました。2010年に愛媛大学医学部を卒業した後は「横浜市立大学附属病院」をはじめ、神奈川県内や東京都内の複数の基幹病院やクリニックなどで勤務医として、訪問診療も含め経験を重ねてきました。そんな折、当院の先代院長が勇退されることとなり、私に次期院長にと声がかかったんです。いろいろ考えた末に、広島に帰ってクリニックを継承する決意をしました。
院長就任のタイミングで、新しい体制もスタートされたそうですね。

地域医療に貢献したいという思いは代が変わっても引き継がれ、診療科目も徐々に増えていきました。そして、2025年の就任時に新たに内視鏡エリアを設置し、当院で胃カメラおよび大腸カメラ検査をできるようにしました。というのも、私の専門が消化器病、一般内科、消化管や肝胆膵の内視鏡診療でして。がん検診も含め、独自ですぐに検査・診断ができるのは、患者さんの負担を軽減することにもなりますから、ぜひ導入したかったんです。胃カメラでは麻酔を使用するなど、できるだけ苦痛を軽減するための手法を取り入れています。また、開業時からMRIやCTなどの先端医療機器も一通り備えています。精密な診断にはこれらの設備が不可欠という父の考えによるもので、設備を整え、クリニックの枠を超えた充実した検査体制をめざしています。
勤務医時代に学んだすべてを生かす
これまで数々の医療現場で研鑽を積まれてきましたね。

大学卒業後は「横浜市立大学附属病院」に勤めました。当時既に結婚しており、2人目の子どもが生まれ、2年3ヵ月ほどたってから「横須賀市民病院」に移り、本格的に消化器内科医としてスタートしました。まだ子どもが小さかったので、体力的にすごくつらかったですね。しかし、東京や横浜エリアの医療機関は、比較的働きやすい環境でした。働き方が自由というか融通が利くんです。多彩な医療の現場を体験しました。訪問診療をしたこともありますし、さまざまな患者さんを診る機会に恵まれ、良い経験を積むことができました。
患者さんとのエピソードで、心に残っているものがあれば教えてください。
横浜の総合病院で膵臓疾患の治療をしていた時の、ある膵臓がん患者さんの思い出です。とても苦しい状態に陥り、私もできるだけご希望に添えるように処置に尽力していました。いよいよという時になって「ありがとうね」と言われたんです。最後の最後に……。ご自分の命をわかっていたのだと思います。もう一人、こちらも膵臓がんの患者さんでしたが、忙しいある日、私が診察に行くと「先生、今日は忙しそうだから他の仕事してきてよ」なんて言ってくれたんです。その方は、私がいつも「これから始めますよ。大丈夫ですか?」って声かけをしてから診察を始めることを、とても良いと誉めてくれたんです。その後すぐに亡くなられてしまいましたが、忘れられないですね。
それらの経験が、今に生かされていると感じることはありますか?

当院は入院施設を持っていませんので、できることも限られていますが、例えば検査でがんが見つかった場合などの対応です。今の状況や全身状態をしっかりと説明し、手術が必要な患者さんにはその選択をしてくださるように、言うべきことを丁寧にお伝えしています。手術をすれば寛解につながる見込みがあるのに、がんと聞くだけで取り乱してしまう方もおられます。「今なら大丈夫ですよ」と手術を促す人もいれば、残念ながら難しい場合は「このままでは助かりませんよ」と伝えねばならない人もいます。特に若い人の場合、どうやって最期の時を過ごすかも大事なことです。いろいろ準備をしないといけませんから。ですから、それ以上のことはあまり言わず「専門の医師によく相談してくださいね」と、とにかく早く専門病院に行くことを勧めるようにしています。そこからの治療は別の医師に委ねることになりますから、出すぎてもいけないと考えています。
さらなる体制強化で、頼れる「町のお医者さん」に
これからどのようなクリニックをめざしていきたいですか?

消化器内科を新設し、胃カメラおよび大腸カメラを導入して独自での画像診断を可能にしました。それにより、胃がんや悪性リンパ腫を早期に発見することができるようにました。やっと、広島でできると自信を持って言えるようになったと実感しています。ただ、外来もあり内視鏡検査もありというのは、全部一人では難しいなと。今はお昼も返上で私一人でこなしていますが、もう少し多様な専門のドクターに来ていただきたいと考えているところです。こちらに戻ってきて1年になりますが、3年目までにしっかりと体制を整えるのが課題です。CTやMRIをはじめさまざまな設備がそろっていますので、外部から来ていただくドクターが十分に動ける体制を整えて、より幅広い診療ができるようにしたいです。
地域医療への取り組みについてはいかがですか?
訪問診療は今すごく件数が増えています。私自身、外来診療を中心に対応していることもあり、こちらも体制を強化しなければと思っています。地域には私を支えてくださるドクターもいてくださり、お力を借りながら連携し、やっていけたら良いですね。また、地域の皆さんにもっと気軽に検診を受けてもらうための取り組みも行っています。胃カメラでは麻酔を適切に使用するなど、できるだけ負担が少ない手法を取っています。苦痛のあまり二度と検査は受けたくないとなると、がんなどのリスクを高めることにもなりかねないので、寝ている間に終わったと感じられるような、苦しくない内視鏡検査に努めています。
改めて、広島に根を下ろし歩んでいく決意をお聞かせください。

故郷・広島に戻って1年、当初は横浜との違いに戸惑うこともありました。患者さんやご家族の皆さんはとても温かいのですが、中には女性スタッフに怒鳴りつけるような方もいて、少し怖い思いもしました。スタッフを守る意味でも、丁寧な説明と毅然とした対応を模索しているところです。今後も地域の皆さんに、幅広い医療サービスを迅速に提供できるようにしたいです。まだまだ至らない点もあるかと思いますが、スタッフとともに一歩一歩努力してまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
自由診療費用の目安
自由診療とは脳ドック/1万9250円~ 人間ドック/3万3000円~ 乳がんのMRI検査/2万2000円~

