若原 文世 院長、若原 靖典 副院長の独自取材記事
つつじが丘ウイメンズクリニック
(豊橋市/豊橋駅)
最終更新日:2021/10/12
豊橋市で不妊治療に携わってきた「つつじが丘ウイメンズクリニック」。妊娠を望む多くの女性たち一人ひとりに寄り添った診療を提供してきた。若原文世院長、若原靖典副院長はいずれも日本産科婦人科学会産婦人科専門医であり、副院長は日本生殖医学会生殖医療専門医の資格も所有。両先生とも総合病院などで幅広い経験を積んできた不妊治療のスペシャリストだ。「苦しい状況でも、少しでも患者さんが希望を持てるように」と、声のかけ方、治療の進め方から院内の雰囲気づくりに至るまで細やかな配慮を行き届かせている。温かな心で診療に取り組む2人に、不妊で悩む女性に伝えたい想いを話してもらった。
(取材日2019年12月25日)
安心して不妊治療に臨めるよう環境を整備
開業したのは2002年だそうですね。
【文世院長】はい。当時はまだ不妊治療を行うクリニックは珍しかったですね。初めは一般婦人科の診療をしつつ、不妊の相談も受けるという感じだったのですが、予想以上に不妊に悩んでいる患者さんは多くいらっしゃいまして。年数がたつにつれてどんどん受診が増えていき、ニーズに応える形で体外受精などにも対応するようになりました。2011年からは副院長も加わり、現在は午前、午後の交代制で診療を行っています。
クリニックの特徴を教えてください。
【文世院長】ホルモン検査や子宮卵管造影検査などの不妊症検査から、一般不妊治療、体外受精、顕微授精、胚移植などの高度生殖医療まで、大がかりな手術以外は一通りここで受けることができます。検査だけ受けたい、少しでも早く妊娠したいといったご希望に合わせて治療を進めていきます。内装はあえて診療所らしくないようにして、サロンに来たような気分で受診してもらえるように配慮しました。また不妊治療中の患者さんは妊婦さんを見るとどうしても気持ちが落ちやすい方もいらっしゃいますので、妊娠されたら早い段階で転院していただくようにし、お子さん連れの来院もお断りしています。
診療とは別に無料の説明会も開いていると伺いました。
【文世院長】1つは体外受精に関する説明会です。これは体外受精がなぜ必要で、どういう治療を行うのかを知ってもらうためのものです。人工授精がうまくいかず、次に進むべきか悩んでいる患者さんに、事前に心づもりをしていただくためにお勧めしています。もう1つは、一般的に妊娠が難しくなる35歳以上の方のための説明会で、妊娠と年齢の関係について正しい知識を身につけてもらうために開いています。この他、当院では生殖医療相談の担当者による個別相談も行っています。不妊に関する知識があり、話を聞くトレーニングを積んでいるスタッフなので、集団で説明を受けたくない方も安心して相談していただけると思いますよ。
男女の先生がいるというのも、患者さんにとってメリットがありそうですね。
【靖典副院長】男女の違いというよりも複数の医師がいた方が、幅広く患者さんの要望に応えることができると思います。
【文世院長】実は不妊治療は生理のタイミングで受診できる日が決まってしまうので、患者さんは自分で来院日を選ぶことが難しいんです。そこで午前は私、午後からは副院長など時間帯で担当を分けて、希望の医師を選びやすいように工夫しています。
患者が希望を持って治療に取り組めるよう注力
お二人はなぜ産婦人科の医師に?
【文世院長】研修医時代に出会った産婦人科部長の人柄がすばらしく、この人の下で薫陶を受けたいと思ったからです。診療科よりも師匠を選んでたどり着いた感じです。また私が学生の頃に国内で体外受精が始まりましたので、不妊治療にはその頃から高い関心を持っていました。その後、名古屋の不妊治療専門病院の臨床に携わらせてもらったことから、この分野を専門とするようになりました。
【靖典副院長】私も実は同じ先生の影響で産婦人科に進みました。最初は小児科に行こうと思っていたのですが、その方から「生まれる前から診てはどうか」と誘われまして。実際に診療してみると、入院しておめでとうと言われるのは産科だけですし、内科的な診療から外科手術まであらゆることに携われるのが何よりの魅力でしたね。また、出産したお母さんからお子さんを紹介してもらったときのうれしさも、この科ならではだと思います。
診療の際に心がけていることを教えてください。
【文世院長】患者さん一人ひとりで状況は違いますが、誰もができる限りの希望を持てるような診療を提供することを心がけています。仮に生理が来た場合にも、「では次」と淡々と治療を続けるのではなく、患者さんと一緒に状況を確認しながら一歩一歩進めていきます。体外受精だと治療が連続するとつらい気持ちになる方もいらっしゃいますが、落ち込んでいるときにも前向きになれるような情報の提供、声のかけ方ができるように気をつけていますね。本当に苦しい状況になることもありますが、それでも寄り添うことだけはできます。やむを得ず治療を断念する場合も、頑張ったことを誇りに思えるよう支えたいです。
副院長はいかがですか?
【靖典副院長】今はインターネット上に玉石混交の情報があふれていますが、まじめな患者さんほど自分にできることを探して一人で思い悩んでしまわれます。そこで、まずは医学的に正しいことをきちんと知ってもらうことを心がけています。また不妊治療にはどうしても費用がかかりますから、無理なく続けてもらうために、その人に合う必要最低限の検査と治療で、最大限の効果が出せるように力を注いでいます。不妊という病態だけにとらわれず「全人的に診る」ということが最も大切だと考えています。
大事な時間を失わないように早期の相談を呼びかける
不妊の相談をためらう人もいると思いますが?
【文世院長】不妊治療は年齢がすごく大事なんです。特に35歳を過ぎるとどうしても妊娠の可能性は低くなってしまいます。ですから、まずはその事実を知っておいてほしいのです。漠然とした不安と迷いを抱えたまま大事な時間を過ごしてしまうのはもったいないことです。昔よりも仕事を持つ女性の割合が非常に増えているので、働きながら通院の時間を取ることは確かに大変だと思います。ですが子どもを産むことを考えているなら、早い時期に相談に来てほしいです。
今後力を入れていきたいことは?
【文世院長】プレコンセプションケアといって、結婚前から将来の妊娠に備えて健康や生活を見直すことを普及させていきたいですね。例えば、妊娠を希望する患者さんの中には、麻疹・風疹のワクチン接種が足りず、まずそこから始めなければならない人も少なくありません。すると不妊治療を始めるタイミングがますます遅れてしまうんです。このように結婚や出産を考え始める前にできることはたくさんあるので、内科検診のような感覚で婦人科を受診してほしいですね。また月経痛がひどくて苦しんでいる人は、ピルを服用して生理をコントロールしたほうが体にとっていいこともあります。病気がみつかることもあるので、妊娠しづらい状況を予防するためにも、若いうちから自分の体に関心を持ってください。
妊娠を望む人が日常生活で注意すべきことはありますか?
【靖典副院長】月経不順を引き起こす痩せ過ぎはいけません。カロリーは摂取していても栄養が取れていない人も多いので、バランスの取れた食事を心がけてください。体を冷やすのも良くないですね。またストレスを抱えると、自己防衛本能が働くので妊娠しづらくなることが懸念されます。適度な運動を取り入れながら、なるべくリラックスして過ごしてほしいです。女性の健康について正しい知識が普及するには、やはり学校教育の場から知る機会を増やしていく必要があるのではないでしょうか。今後は啓発にも力を入れて、不妊に悩む人が少しでも減ればと願っています。
読者へメッセージをお願いします。
【文世院長】検査や治療は痛い、怖いと思っている人もいるかもしれませんが、実際に受けてみると「想像していたほどではなかった」と安心されることが多いです。無理強いはせず、嫌なことは事前に伝えてもらえればしませんから、悩む前に相談していただければと思います。
【靖典副院長】子どもがほしいと思う前からライフプランを考えることが大切です。婦人科は決して敷居の高いところではありません。どんな相談でも歓迎しますから、カップルで気軽にお越しください。
自由診療費用の目安
自由診療とは体外受精:20万円~60万円、人工受精:約1万5000円、顕微授精:5万円、胚移植:5万円(すべて税抜き価格)