超音波検査下で行う
痛みへのハイドロリリース・スポーツ障害治療
わだ整形外科クリニック
(枚方市/長尾駅)
最終更新日:2025/01/17


- 保険診療
最近、整形外科の分野では、超音波検査が飛躍的に改良され、今まで経験的に行われていた注射治療の「見える化」が進んでいる。超音波を使用することにより、障害の原因である関節や筋肉、靱帯、神経までも観察でき、超音波ガイド下で注射を行うことで、ミリ単位のアプローチができると「わだ整形外科クリニック」の和田誠院長は熱く語る。和田院長は、約10年前から超音波での治療に取り組んでおり、特にスポーツ障害で最も多いとされる靱帯損傷や肉離れの超音波評価に力を注いでいる。肉離れに関しては、日本整形外科学会整形外科専門医として、勉強会において教育研修講演を行い、整形外科の専門家の中でもトップランナーを志し、先進の治療を行っている。和田院長に詳しく話を聞かせてもらった。
(取材日2022年3月11日)
目次
超音波検査器を使用して適切な位置にアプローチし、痛みの改善をめざす
- Qハイドロリリースについて詳しく教えてください。
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A
▲診察を受ける前に問診票の記入
ハイドロリリースとは、超音波検査装置を使用し、痛みの原因に直接アプローチする治療方法です。骨とは違い、筋肉や靱帯・腱はエックス線画像に映らないため、これまでは、診察した医師の経験に基づき治療を行っていました。もちろんその方法で多くの方は治癒をめざせるのですが、中には治らない痛みやつっぱり感などの不快な症状に悩む方がいます。そんなときに有用なのがハイドロリリースです。具体的には、超音波検査装置で痛みの原因を見つけ出し、癒着部に生理食塩水を主とした薬液を注入します。精密に痛みの原因にアプローチするため、痛みの緩和を図ることが可能になるのです。
- Qハイドロリリースはどのような痛みに対して効果が望めますか?
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A
▲スポーツ障害における肩関節の疼痛評価を行っている診察風景
例えば、今まで五十肩と呼ばれていた病態でも、実はたくさんの原因が集まって痛みが出ています。超音波で「見える化」することで、どこに炎症があるかが判断できます。つまり、血流をみるドップラーで炎症の位置を見つけることが可能となります。そして、超音波を見ながら精密に炎症を抑えるための薬液を注射で入れることで炎症の改善を促し、痛み止めを入れることで痛みの緩和を図ります。長い間、神経痛に苦しんでいる方でも超音波を見ながら神経の周りに「ハイドロリリース」を行うことで改善を望めることも少なくありません。肉離れや肩凝り、腰痛、スポーツ障害などの問題を抱えている方がいたら、ぜひ一度ご相談いただければと思います。
- Qスポーツ障害である肉離れの治療について教えてください。
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A
▲超音波検査により痛みを可視化しハイドロリリースを行う
肉離れは、太ももの裏やふくらはぎに起こる筋線維の損傷です。アスリートをはじめ多くの人に起こる症状ですが、これまでの治療は、医師の経験や勘に頼った部分が大きいものでした。しかし、実は肉離れにはさまざまなタイプの損傷があり、安静の期間や復帰までの道のりも多岐にわたるのです。しっかりと評価しないと再発を繰り返したり、競技レベルが低下します。超音波を使用し、適正な時期に再発させないスポーツ復帰を心がけています。
- Q治療にかかる時間や費用、流れについて教えてください。
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A
▲整形外科的な原因を追究し、その治療法について説明する様子
まずは問診と診察を行い、疼痛の部位を切り分ける各種徒手テストを行います。そして、最終的に超音波検査器を使用して患部を探し出します。この診察では正確さが重要になってきますので、初診時には30分ほどかかる場合もあります。原因となっている場所を把握したら、超音波検査器で注射針の位置を確認しながら目的の部位に薬液を注入していきます。注射には怖いイメージがあるかもしれませんが、痛みにも配慮していますのでご安心ください。治療後は、症状に合わせた治療計画を立てます。治療には保険が適用されますので、費用の心配もさほどないのではないかと思います。
- Qこちらで受けられる治療の特徴について教えてください。
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A
▲その後、理学療法士によるリハビリテーションで疼痛の再発予防
私は肉離れの治療に非常に高い関心を持っており、研究を続けています。特にハムストリングという太ももの裏の筋肉の肉離れの再発を繰り返しているアスリートは、しっかりとした超音波やMRIによる評価が大事です。競技パフォーマンスが戻らないアスリートは、一度受診していただきたいです。症状を改善するためには、根本的な原因にアプローチすることが非常に重要です。当院には理学療法士が在籍していますので、正しい体の動きが獲得できるようアプローチすることもできます。もちろん肉離れ以外のけがによる痛みについても、より良い治療法を提供できるよう尽力しています。ぜひ、私たちと一緒に痛みに向き合い、治していきましょう。