中岡 伸哉 院長の独自取材記事
中岡整形外科
(寝屋川市/寝屋川市駅)
最終更新日:2025/06/11

京阪本線・寝屋川市駅より徒歩10分。クリニックモール2階ある「中岡整形外科」は2004年に開業。以来、20年以上にわたり、腰痛・肩凝り、ケガや打撲、骨粗しょう症、変形性膝関節症など幅広い疾患に対応し、整形外科のかかりつけ医として、多くの患者を支えてきた。「患者さん一人ひとりの立場に立ち、その人にとって必要な治療を提供したい」という中岡伸哉院長に、これまでの経歴や大切にしていること、患者への思いなど語ってもらった。
(取材日2025年5月20日)
整形外科と救命救急センターでの経験を患者に還元
先生はなぜ医師の道へ進んだのですか?

物作りが好きだったことから、小さい頃は左官屋さんや大工さんといった職人さんに憧れていたんですよ。でも、中学生、高校生と大きくなるにつれて自分が高い所が苦手なことがわかり、じゃあ職人に近い仕事とは何かを考えた時に医師が浮かびました。手術で自分の手を動かして患者さんに技術を提供することは、職人さんと同じではないかと思ったんです。そこで大阪医科大学に進学。整形外科を専門に選んだのは、学生時代に自分自身が何度か骨折やケガをして整形外科にかかったことも理由の一つです。患者としてお世話になる中で興味を持ち、自分に向いているかもと思いました。そして卒業後は大阪医科大学整形外科に入局し、整形外科の医師として研鑽を積みました。
救命救急センターで10年以上ご経験されていますね。
医師になって10年目に大阪府三島救命救急センターに異動しました。同センターは2022年に閉院しましたが、当時は三次救急医療を担っていた施設で、整形外科領域だけではなく、内科系、外科系などさまざまな傷病の患者さんを受け入れていました。救命救急センターの重要な任務は迅速な診断と専門の診療科へつなぐこと。患者さんの顔色を見たり、胸音を聞いたり、おなかを触ったりして、どんな患者さんでも対応できる診断力を身につけることができました。救命救急センターでの経験は今の診療にも生かされていて、例えば、「膝が痛い」という主訴で来られた患者さんの顔を見て、甲状腺の異常を察知できれば、専門の病院へつなげることもできます。「これは整形外科じゃないですね」ではなく、「これは内科のどこどこへ言ってください」とお伝えできるのは、町のかかりつけ医として重要なことだと思います。
こちらのクリニックは開業して20年たつそうですね。

はい。救命救急センターで10年過ごし、体力的につらくなってきたことを感じ、救命救急は次世代にお任せすることにしたのです。ですが、私自身は患者さんを診ることが好きなので、自分のクリニックを持つことを決意。当院を開業したのが2004年のことです。現在の主な患者層としては、お子さん、30、40代以降の働き世代、高齢者が多いですね。整形外科、リウマチ科、リハビリテーション科を標榜し、主訴としては、打撲やケガ、首・背中・腰・手足の痛みやしびれ、高齢者に多く見られる骨粗しょう症や変形性膝関節症など、患者さんが抱えているさまざまな症状や悩みに幅広く対応しています。
患者一人ひとりに必要な治療を提供する
こちらの医院のコンセプトを教えてください。

当院が大切にしているのは、「その人にとって必要な治療を選ぶこと」ですね。はやりの治療法はありますが、その患者さんにとってのベストは何かということを常に考えて提供しています。例えば、家族の事情で入院治療を受けることができない場合もあります。その人が一人暮らしなのか、家族と住んでいるのか、一軒家なのかマンションなのか、マンションであってもエレベーターがあるのか、階段で上り下りしているのかなど、一人ひとりの条件は異なり、それにより治療内容はもちろん、治療をするタイミングも変わってきます。ですから診療時は、家庭での生活の仕方や家族構成など、いろいろお聞きしていますね。患者さんからすると雑談だと思われているかもしれませんが(笑)、でも雑談の中で拾えることも多く、治療のヒントにさせていただいています。
先生が患者さんと接する際に心がけていることはありますか?
「できること」「できたこと」を維持していくような声がけですね。超高齢社会において大事なのは、ただ長生きをするのではなく生活の質(QOL)を高く維持することです。しかし、身体運動に関わる骨・筋肉・関節・神経などに痛みがある状態では、今までできたことができなくなっていき、「できない」「できなくなってきた」ことばかりになると、やはり気持ちは沈み、生活の質も下がります。でもできることを覚えていくと、「じゃあこれもできるかな」と考え方が足し算になっていくんです。その足し算の中で生活していくほうが、楽しい気持ちで過ごすことができますし、いろんな意味でいいサイクルになります。そのために、私が患者さんに口うるさく伝えているのは、「まず外に出てください」ということ。一歩外へ出たら、次は歩いてみようかなという気になり、歩いていると今度は体動かしてみようかなとなっていきますから。
クリニックには広いリハビリルームがありますね。

リハビリルームには、マイクロ波治療器や、赤外線治療器、けん引器、筋肉を鍛える運動機器、マッサージ機器など豊富なアイテムを設置しています。必要に応じて各種機器を使用した物理療法を組み合わせ、症状の改善をお手伝いさせていただきます。また、ご自宅でできる筋力強化の方法もレクチャーしています。あとはラジオ体操をよくお勧めしていますね。皆さん子どもの時からやっているから動きを覚えていることもあり、いつでもどこでも始められる、お金がかからないという意味でも、始めやすいと思います。まずはご自宅で初めて、少しずつ外で集まってやっているラジオ体操にも足を運んでほしいなと思います。
自分の家族をケアするような気持ちで患者を支える
スタッフさんについても教えてください。

現在、スタッフは受付、リハビリ助手、看護師を含めて15人ほど在籍しています。みんなには「自分の身内だと思って接するといいよ」と伝えていますが、本当に家族をケアするような気持ちで、親身になって患者さんをサポートしてくれています。患者さんというのは、スタッフと仲良くなると、「膝が痛くて通っていたけど、本当は腰も痛いのよね」といったように、気になっていることや心配事を伝えてくれるようになるんです。医師にはなんとなく伝えにくいことは、リハビリ中にリハビリ助手や看護師に話していただいて構いません。その情報を、医師に共有してもらっています。必要な情報を迅速に共有する院内コミュニケーションが、スムーズな診療につながっています。
ところで先生はピアノがご趣味だそうですね。
そうなんです。きっかけはもともと娘が使っていたピアノが家にあって、これを処分するかどうかという話になり、「じゃあ、自分が弾こう」と。最初はインターネットの動画共有サイトを見ながら弾いていたのですが、患者さんにピアノの先生がいまして、習いに行くことになりました。月2回ぐらいですのでなかなか上達はしませんが、先日は初めて発表会に出ました。革のジャケットでちょい悪風の格好をして、イージーリスニングの曲を披露したのですが、ものすごく緊張しました(笑)。
最後に、読者へのメッセージをお願いいたします。

今はインターネットでさまざまな情報が上がっていますが、調べると今以上に心配になることもあるでしょう。困り事や心配事があれば、取りあえず医師に聞いてみたらいいと思います。内科の先生に整形のことを聞いてもいいし、整形の先生に内科のことを聞いても構いません。必要に応じて「ここの病院に行ったらいい」というアドバイスがもらえるはずです。ごはんを食べに行くとお店のお任せコースが一番おいしかったりしますよね。医療も同じで、信頼できる医師を見つけたら、大まかなところはお任せするほうが患者さん自身も必要以上に心配せず気が楽になると思います。当院は地域の皆さんが、当院に来て良かったと笑顔になれるかかりつけ医をめざしておりますので、気軽にご相談ください。