河野 紀子 院長の独自取材記事
青い鳥クリニック
(芦屋市/打出駅)
最終更新日:2025/09/10

2002年の開業以来、育児中の家族に寄り添ってきた「青い鳥クリニック」。河野紀子院長は小児の風邪を中心にアレルギー・夜尿症などの幅広い症状を診療し、大人の風邪・胃腸炎・インフルエンザなどにも対応。自身も3児の母であることから、仕事をしている家族が利用しやすいように平日はもちろん土曜日の午後も診療を行い、日曜日の午前中には乳児健診と予防接種を実施。院内は親子が快適に過ごせるよう、おもちゃを置いたプレールームや、車いすやベビーカーで入れるトイレ、感染力の強い疾患に対応した「隔離待合室」を設けている。「子育ての負担が少しでも減ればと思い、日々診療に取り組んでいます」とほほ笑む河野院長に、クリニック名に込めた思い、診療で心がけていること、夜尿症の治療など話を聞いた。
(取材日2019年7月26日)
クリニック名に込めた「幸せは身近にある」という思い
とても印象的なクリニック名ですね。「青い鳥クリニック」と名づけた理由を教えてください。

誰もが知っている童話から名づけました。兄妹が幸せの青い鳥を探しに出かけたものの、どこにも見つからず、最後にわが家で青い鳥を見つけ、「幸せは身近にある。自分は幸せだったんだ」と気づくお話です。子育て中はお母さんの多くが、ストレスでつらい思いをされていると思います。でも、子どもが育ってから考えると、「つらかったけど幸せだったわ」と思えることも多いんですよね。幸せは気がついていなければ、感じられないもの。クリニック名を「青い鳥」にしておけば、「今は大変だけど幸せでもあるのだな」と感じてもらえるかなと思い、この名前をつけました。
こちらのクリニックにはどのような患者さんがいらっしゃいますか?
小児科は一般的には中学3年生までとなっていますが、最近は高校卒業の時期まで来院する方も多いですね。風邪・胃腸炎・インフルエンザなどは大人も診療しているので、お子さんと同じ風邪をひいたお母さんが「一緒に診てください」というケースも受けつけています。症状では、やはり風邪が最も多く、あとはアレルギー・嘔吐・下痢・夜尿症・インフルエンザなど。予防接種も、小児だけでなく大人のインフルエンザワクチン、高齢者の肺炎球菌や帯状疱疹、市で助成があるものも含め全年齢対応しています。また、土地柄か、海外赴任や留学で、狂犬病やA型肝炎、B型肝炎など渡航前予防接種を受けに来られる方も目立ちます。芦屋市内だけではなく、西宮の方もいらっしゃいます。
お子さんとお母さんが快適に過ごせるよう、設備の充実を図っているそうですね。

待合室を広めに確保し、テレビ・絵本・おもちゃを楽しみながらお待ちいただけるようになっています。隣接するプレールームは、お子さんがおもちゃで遊んでいる間に、お母さん同士の交流が生まれる人気のスペースです。お子さんがいると何かと大変なトイレも、車いすやベビーカーで入れるようゆったりと設計し、ベビーサークルを設置しているので、お子さんが勝手に出ていく心配もありません。また、院内には独立した換気扇を設置している「隔離待合室」があり、はしか・水ぼうそう・おたふく風邪・風疹・インフルエンザなどの感染力の強い疾患の方は、こちらでお待ちいただいています。
育児中の家族に寄り添い、応援する
診療で心がけていることはどのようなことでしょうか?

私にも3人の子どもがおり、子育ての大変さが十分にわかるので、育児中のご家族に寄り添うようにしています。例えば、お子さんが「薬を飲んでくれない」という時は「そうだよね」と共感し、「こうすると飲みやすくなるよ」とお伝えしたり。また、近隣の薬局さんが協力的なので、事前に薬の味見をして、飲みやすそうなものを選んで処方しています。予防接種の後のご褒美として、シールやラムネなどを用意して終わったら「あげるね。どれがいい?」と選んでもらいますね。わんわん泣いていたのに、ぴたっと泣きやんで「どれにしよう?」と考え込む子や、選び終わったらまた泣き始める子など、いろんなお子さんたちの様子が見られるとかわいいですよね。また、病院での検査や治療が必要なときには、兵庫県立こども病院や神戸大学医学部附属病院、兵庫医科大学病院、市立芦屋病院、県立西宮病院など、患者さんのご希望に合わせてご紹介できるようにしています。
夜尿症に悩むお子さんの受診も多いそうですね。
そのうち治るだろうと思っていたらなかなか治らず、小学校1年生くらいから宿泊研修前の小学3年生ぐらいで受診される方が多いですね。昔は、夜尿症は「ストレスや愛情不足によるもの」といわれていましたが、現在は、睡眠中のおしっこを減らすホルモンの分泌が少ないことや膀胱が小さいことが主な原因であることがわかってきています。つまり、成長の段階で起こる症状です。ホルモンの分泌を調整するための薬や、おしっこが出たらブザーが鳴る装置を使用して対処していきます。ぜひ恥ずかしがらずに来ていただきたいですね。
先生が小児科の医師としてやりがいを感じるのはどのような時でしょうか?

子どもたちが元気になるとうれしいですね。子どもはつらいと本当につらそうにするので、はたから見ていてもわかりやすいんです。いつもきょうだいで来てちょろちょろしているお子さんが、次はぐったりして来て、元気になったらまたちょろちょろ動き出す。子どもは素直でかわいいなと思います。あとは、昔診ていた子がママになって「私も小さい頃、ここに通っていたんですよ」と言われるとうれしいですね。
家族と医師、子どもの病気を治すために頑張る「同志」
先生が小児科の医師を志したきっかけは何でしょうか?

中学3年生の時に、「大人になったら何か世の中の役に立たないといけない」と思ったことがきっかけですね。得意な理系が生かせる医学部なら、ダイレクトに人の役に立てると思い国立富山医科薬科大学(現・富山大学)の医学部に入りました。小児科を選んだ理由は、全身を診ることができる科だったから。あとは、子どもが好きだったということも大きな理由です。
大学時代の思い出や、開業までの経緯をお聞かせください。
大学時代は勉強の傍ら、海が近かったのでよくウインドサーフィンをしていましたね。とはいっても富山の海は夏に風が吹かないので、コンディションはあまり良くなかったのですが、楽しかったですね。大学を卒業した後は、神戸大学医学部附属病院小児科、兵庫県立こども病院の血液内科や千船病院のNICU(新生児集中治療室)、神鋼加古川病院小児科(現・加古川東市民病院)、神戸の神鋼病院などで、勤務医として経験を積み、いろいろなご縁があって2002年にこのクリニックを開業しました。
今後の展望についてお聞かせください。
これからも今のスタンスで、忙しいお母さんの子育てを支援・サポートしていきたいですね。当クリニックでは、お仕事をしているご家族が利用しやすいよう、日曜日の午前中に乳児健診と予防接種を行っているので、「平日は仕事で予防接種に連れていけない」という方はご利用いただければと思います。完全予約制ですが、ご予約は前日まで受けつけていますので。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

今は仕事をしながらの子育てで、大変な思いをされているお母さんが増えています。そのため、子育ての負担が少しでも減ればと思い、日々診療に取り組んでいます。基本的に、血液検査や点滴といった痛い処置は必要なとき以外はしませんので、気になることがあれば気軽にお越しください。診察時にお子さんの家での状況情報をお話しいただければ、「こういうときはこういう処置をしましょう」「このようなことに気をつけましょう」とアドバイスをさせていただき、処置や投薬を行います。ご家族とクリニックは、子どもの病気を治すという同じ目標のため、一緒に頑張る「同志」や「仲間」のようなもの。数日後に経過を見て症状に合わせて治療方針を変更し、お子さんの健康につなげていければと思っています。一緒に頑張りましょう。
自由診療費用の目安
自由診療とは狂犬病ワクチン/1万7710円、A型肝炎ワクチン/8910円、B型肝炎ワクチン/6710円