糖尿病や生活習慣病、甲状腺疾患と
深く関わる睡眠時無呼吸症候群
逗子金沢内科クリニック
(逗子市/逗子駅)
最終更新日:2024/10/03


- 保険診療
寝ている間に頻繁な呼吸停止が繰り返される睡眠時無呼吸症候群。睡眠中に無意識で起こる症状だけに、本人のみでは気づきづらく、ひどいいびきや呼吸の停止を家族らから指摘されてようやく受診に至るケースが多いようだ。「睡眠時無呼吸症候群は糖尿病や高血圧といった生活習慣病と関わりが深く、トータルに管理することが求められます」と話すのは、「逗子金沢内科クリニック」の谷祐至院長。糖尿病やバセドウ病、橋本病などの甲状腺疾患を含む内分泌疾患を専門とし、専門家の立場から、これら疾患に深く関連する生活習慣病や睡眠時無呼吸症候群の診療にも注力している。そんな谷院長に、睡眠時無呼吸症候群についてや、生活習慣病、甲状腺疾患との関連などについて、詳しく解説してもらった。
(取材日2024年9月10日)
目次
複数疾患と関わり、心不全・脳卒中リスクも高める睡眠時無呼吸症候群は、トータルな管理が重要
- Q睡眠時無呼吸症候群と糖尿病・生活習慣病、甲状腺疾患の関連は?
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A
▲糖尿病や甲状腺疾患の治療に尽力してきた谷院長
睡眠時無呼吸症候群は、二次性高血圧のベースとなっているケースがあります。呼吸停止により血液中の酸素濃度が低化すると、必要な酸素を全身へ届けるために、交感神経が優位となって心臓の働きを促進。結果として血圧が高まり、心臓や血管に負担がかかるのです。また、糖尿病患者さんでは過体重の状態にある方も少なくなく、そうした方で睡眠時無呼吸の症状が見られることもよくあります。交感神経優位となった緊張状態ではストレスホルモンが過剰分泌され、インスリンの正常な働きが妨げられて、糖尿病が悪化することもあるのです。さらに、橋本病などで起こる甲状腺の機能低下で上気道の筋肉が弛緩し、睡眠時無呼吸が起こるケースもあります。
- Q睡眠時無呼吸症候群の検査と治療について教えてください。
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A
▲検査や治療については、丁寧な説明を行いながら進行していく
まず、自宅で睡眠中の血中酸素状態を確認する簡易検査を行います。「パルスオキシメーター」と呼ばれる装置を手元に装着してお休みいただき、血液中の酸素飽和濃度を記録するとともに、呼吸の状態を調べます。簡易検査で重度の診断がつけば治療へと移行しますが、疑わしい場合には、当院ではグループ内の「みなとみらいクリニック」において1泊入院でのPSG(ポリソムノグラフィ)という精密検査をご紹介します。治療はCPAP(持続陽圧呼吸療法)が軸となり、睡眠中1時間あたり20回以上の呼吸停止がある場合に、一部条件つきで保険適用できます。鼻に装着したマスクから送る空気の圧力で気道を広げることをめざす治療です。
- Q糖尿病の合併症について教えてください。
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A
▲早期発見・早期治療が要になると話す
糖尿病は初期では自覚症状に乏しい病気ですが、血糖値の高い状態が長く続くと、全身の血管に負担がかかり、動脈硬化の状態につながってしまいます。これにより、最悪のケースでは心不全や脳梗塞、脳出血、くも膜下出血などの脳卒中が起こり、突然死してしまうことも。命に関わるリスクが高まる、恐ろしい病気といえます。また、糖尿病の三大合併症といわれる糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害は、失明や腎不全、運動障害などにつながり、いずれも生活の質を大きく下げてしまいます。重篤な状態に至ってから後悔することのないよう、自覚症状のない初期の段階から、適切な対応を継続する必要があるのです。
- Q糖尿病の治療について教えてください。
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A
▲患者それぞれのライフスタイルに合わせた治療を実施
薬剤や医療機器の進歩が著しい近年では、糖尿病の治療の選択肢も広がっています。当院では24時間継続的に血糖値をモニターできる測定機器も導入。日常生活を送る中での血糖値の変動を詳細に把握し、それを反映した治療をご提案することに努めています。管理栄養士や糖尿病療養に関する専門知識を持つ技師が在勤しており、タッグを組んで患者さんお一人お一人の生活にも介入。それぞれのライフスタイルに合わせた食事や運動、睡眠などのアドバイスを提供し、薬のみに頼ることなく状態を改善させることをめざしています。医師のみでなく、さまざまな専門性を持つ多職種がチームであたることで、より良い診療が提供できるのです。