内視鏡検査の痛みや不安
さまざまな工夫で軽減をめざす
花野井クリニック
(柏市/柏の葉キャンパス駅)
最終更新日:2025/11/14
- 保険診療
胃がんや大腸がんをはじめ、不調の原因特定や病気の早期発見に役立つ内視鏡検査。胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)では食道・胃・十二指腸を、大腸カメラ(下部消化管内視鏡検査)では大腸全体を、体の中から確認することができる。だが、胃の不快感や便通異常で内視鏡検査を受けたいと思っても、「痛いのではないか」などと躊躇する人もいるだろう。「花野井クリニック」の蔡岳泰院長もそのような患者の声を多く聞いてきたが、「苦痛を恐れて内視鏡検査を嫌い、病気を見逃してはいけません」と語る。患者が気楽に受けられるようにさまざまな工夫を凝らす蔡院長に、内視鏡検査の必要性や、同院の検査の流れについて聞いた。
(取材日2025年10月10日)
目次
検診・治療前の素朴な疑問を聞きました!
- Q胃カメラ検査では何がわかるのでしょうか?
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A
胃カメラ検査では、先端にカメラのついた細い管状の機器を口もしくは鼻から挿入し、体の中から食道・胃・十二指腸を直接観察します。胃がんや食道がん、逆流性食道炎、胃炎、胃潰瘍や十二指腸潰瘍などの病気を早期に発見し、適切な治療につなげることが目的です。胸やけやみぞおちの痛み、喉の違和感などがあって検査を希望される方が多いですね。中には「長引く咳の原因の裏に逆流性食道炎が潜んでいた」というケースもありますから、このような症状があれば自己判断せずに検査を受けにいらしてください。その他、ピロリ菌の確認や除菌、その後の定期的なチェックにも胃カメラが有用です。
- Q大腸カメラ検査についても教えてください。
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A
大腸カメラ検査では肛門から機器を挿入し、大腸全体を詳しく調べます。大腸ポリープや大腸がん、潰瘍性大腸炎などを早期に発見することが可能です。中でも大腸ポリープは比較的多くの方に見られる病変ですが、放置すると大腸がんに進行してしまうことも。便秘や下痢、腹痛、血便などの症状が現れたら、原因をはっきりさせるためにも放置せずに検査を受けましょう。便潜血検査で陽性を指摘された方も要注意です。また病気が進行しても症状がまったく現れないこともありますから、例えば40歳・50歳・60歳……と、何もなくても定期的に検査を受ける習慣をつけると良いですね。
- Q痛みや不安の軽減のためにどのような工夫をされていますか?
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A
胃カメラ検査では、経口と経鼻のどちらの場合も極細の内視鏡を使っています。大腸カメラ検査ではできるだけ腸を伸ばさないような挿入法や炭酸ガスを用いるなど、痛みや不快感の軽減に努めています。私は数多くの内視鏡検査に携わってきた、日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医です。安心してお任せください。とはいえ、特に内視鏡検査を初めて受ける方は「大丈夫だろうか」と不安でいっぱいなことでしょう。その不安を解消すべく、検査中はこまめなお声がけを心がけ、同席するスタッフが背中をさするなどのサポートをするよう努めています。また「寝ている間に検査を終わらせたい」というご要望があれば、鎮静剤を使用することも可能です。
検診・治療START!ステップで紹介します
- 1問診後、検査について説明
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初診時に医師から症状や既往歴について詳しく確認。大腸カメラの場合は腸の癒着に関わるため帝王切開などの手術歴も確認し、医師の判断に基づいて内視鏡検査の実施と日時が決まる。麻酔やポリープ切除についての説明や確認が行われた後、スタッフから食事制限や下剤の服用など検査前後の注意点について説明がある。胃カメラの場合は、電話予約の上、問診後にそのまま検査に移ることも可能だ。
- 2前日や当日の準備
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胃カメラ・大腸カメラ検査ともに、前日もしくは当日の決められた時間までに食事を済ませる。大腸カメラ検査で13時もしくは14時の検査に備える場合、当日の朝から処方された下剤を自宅で服用。薬は1.5リットルほどあるため何回かに分けて服用し、便が透明になってくるかを確認する。来院後、胃カメラの場合は喉や鼻に麻酔を行う。大腸カメラの場合は鍵つきロッカーのある更衣室で着替えを済ませ、検査に備える。
- 3内視鏡検査
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胃カメラ検査は5~10分程度。鎮静剤を使わない経鼻検査ならば、医師と会話をすることもできる。大腸カメラ検査では、苦痛を感じにくい挿入法や炭酸ガスを使用することでスムーズにカメラ挿入ができるよう配慮し、10分ほどかけて丁寧に観察を行うという。同院では先進の内視鏡システムを導入しており、撮影画像はとても鮮明だ。また、検査中は、痛みや不安に寄り添ったこまめな声がけやスタッフによるサポートが受けられる。
- 4リカバリールームで休息
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同院の2階は内視鏡専用のフロアになっており、検査中に患者同士がすれ違うことのないよう工夫されている。検査室の隣にあるリカバリールームはプライバシーが保たれており、他の患者の目を気にせず休める環境だ。鎮静剤を使用した場合は、検査後にリクライニングつきのベッドで30分~1時間ほど休息。随時、看護師が体調の確認を行い、問題がなければ診察室に移動して医師から検査結果の説明を受ける。
- 5医師より検査結果の説明
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検査画像は即時で診察室のモニターに反映されており、その画像を見ながら医師が説明を行う。ポリープなど生検検査に出した場合は2週間後に結果が出るので再度来院する。蔡院長は消化器内視鏡専門医として症状をしっかりと見極めており、必要に応じて病院へ紹介を行うことも可能。また、ピロリ菌が疑われる場合は血液検査を行い、数日後の結果次第で除菌を実施。その後の検査頻度については症状や年齢に合ったアドバイスを受ける。

