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湊 秀次 院長の独自取材記事

みなと歯科医院

(世田谷区/芦花公園駅)

最終更新日:2023/10/24

湊秀次院長 みなと歯科医院 main

芦花公園駅から徒歩5分の住宅街にある「みなと歯科医院」。緑豊かなこのエリアに次々とマンションが立つ様子を、長きにわたり見届けてきた湊秀次院長。東京医科歯科大学歯学部附属病院(現・東京医科歯科大学病院)の口腔外科での難症例の執刀経験を生かし、入院が必要な治療以外はほぼクリニック内で可能だ。ともに年齢を重ねてきた患者たちに、近年は根面う蝕のリスクが増大していることを湊院長は危惧している。治療が終わっているはずの歯が根本から折れることもあるそうだが、そうならないために大事になってくるのが予防歯科だ。メンテナンスの重要性に関してもわかりやすい言葉で説明することを心がける湊院長に、診療にかける思いなどを詳しく聞いた。

(取材日2023年7月21日)

大学病院の口腔外科でさまざまな外科処置を経験

歯学に興味を持ったきっかけを教えてください。

湊秀次院長 みなと歯科医院1

最初は虫歯をなくすために細菌学を勉強したいと思っていました。虫歯の原因は虫歯菌なのは明らかなので、口内の他の細菌を活性化して虫歯菌に餌が行かないようにできないかと考えたんです。でも、虫歯菌は古くから人類と共存していて、なかなか難しい。縄文時代の人骨化石にも虫歯があったとされるくらいですから。結局、大学では細菌学ではなく矯正を専門に勉強しましたが、次第に口腔外科へと興味が移っていきました。

鹿児島大学では活動的な青春時代を過ごされましたね。

新宿生まれ三鷹育ちなので、地方都市での生活はとても新鮮でした。大学の先生たちがヨットや小型飛行機の免許を持っていたので、東京ではできない遊びにも誘ってくれましたね。握り飯と本だけ持って出かけて、外洋の島でのんびり過ごした日もありました。ところがある時、屋久島からの帰りに前線に入ってしまい、海は大荒れ。仲間たちは必死にヨットを操っていたのに、自分は船酔いしてしまい何もできなかったんです。東京では口先がうまい人物ができる人のように振る舞っていますが、大自然の中で何ができるのか男としての力を試されたようなものでした。遊びも勉強も寝る時間を削って全力でしたし、ワイルドになって東京に戻りましたね。

大学卒業後は東京医科歯科大学歯学部附属病院(現・東京医科歯科大学病院)口腔外科に勤務しました。

湊秀次院長 みなと歯科医院2

親知らずの抜歯、歯の根に膿がたまる歯根嚢胞や腫瘍の除去、受け口などの顎変形症の顎矯正手術のほか、さまざまな手術を経験しました。口腔がんも数多く診断しましたね。口腔外科は一つ一つの手術内容が違うので、毎回、新しい発見や挑戦があってとても楽しかったです。10年間大学病院で研鑽を積んだ後、当院を開院したのは1999年のことでした。

この場所で開業した理由をお聞かせください。

子どもの頃、この辺りは父の車で何度も通りかかっていてなじみがあったんです。といっても、当時はまだ全然開けていなくて、辺り一面、野原でした。患者さんは近所の方が多いですが、引っ越しても通ってくださる方、どなたかのご紹介で遠方からの方も少なくありません。開院当初からお付き合いがある方で今でも通ってくださる方がいるのはありがたいですね。患者さんとともに年齢を重ねて来られたのは幸せなことです。一方、20代の新規の患者さんも結構いるのですが、この辺りもマンションなどがずいぶん増えたからでしょうかね。

入院を伴わない治療に幅広く対応。予防歯科にも注力

患者さんの訴えはどんなことが多いのでしょうか?

湊秀次院長 みなと歯科医院3

やはり、虫歯の方は多いですね。注意したいのが、50代以上によく見られる根面う蝕です。歯周病の進行などで歯肉が下がり、露出した部分の清掃が不十分になった時に起きます。エナメル質の歯冠部と違い、セメント質の根面は虫歯の進行も早く、根本からポキっと折れてしまうことも少なくありません。銀歯にしていても、歯肉が下がれば当然リスクは生じます。また、年齢とともに歯と歯が隣接している部分の三角形の隙間、いわゆる歯間鼓形空隙も広がり汚れがたまりやすくなるので、しっかりと管理していかなくてはいけません。

貴院ではどのような治療をしていますか?

入院を伴う治療以外のものは、ほぼ大学病院と同じ内容を行える体制が整っています。例えば歯周病の治療なら、歯磨き指導、歯の表面の歯石や細菌の塊を除去するスケーリングはもちろん、歯を支える骨や歯肉を回復させるための歯周組織再生療法も可能です。その他、歯周ポケットが深くてなかなか取れない歯垢や歯石を、歯肉をメスで切って除去する歯肉剥離掻爬術もできます。痛みを感じにくいリラックスした状態を作るために局所麻酔の補助として低濃度の笑気ガスを用いることもできます。また、大学病院で数多くの症例にあたった経験から口腔がんの発見にも強みがあります。口腔がんは内蔵などと違い、見える場所にあるがんです。訓練を積んだ歯科医師が「目で見る」のが非常に重要と言えます。もしもの場合は大学病院やがんセンターも紹介しているので、口内炎があるなど気になることがあれば、できるだけ早く一度診せてください。

診療で大事にしてきたことを教えてください。

湊秀次院長 みなと歯科医院4

何事にも全力投球でやってきました。常に直球勝負で変化球は持っていません(笑)。「歯科医師としてはこの治療方法がお勧め」というのがあっても、あの手この手で患者さんを納得させようとはしないですね。すべて正直にお話しして、患者さんの選択を第一にしています。また、わかりやすく説明するのも大切にしてきました。例えば、予防歯科に関しては、「めんどくさい、もったいないという気持ちを持たないでほしい」と、お話ししています。もったいないからと先がバラバラになった歯ブラシを使ったりせず、とにかく毎日コツコツ磨いていくのが大切ですからね。当院の歯科衛生士は開業当初からともに働いてきたエキスパートなのですが、彼女に会うのを楽しみにメンテナンスに通う患者さんも多く助かっています。

患者の心に寄り添う、優しい歯科医師をめざす

今後の展望についてお聞かせください。

湊秀次院長 みなと歯科医院5

患者さんからの声をフィードバックして、常により良い診療をしていきたいと思っています。最近、磨き残しをアプリでチェックできる電動歯ブラシがあるそうなので、今度、試してみるつもりです。やはり、自分で使ってみないとわからないですからね。ただ、電動歯ブラシは使っているだけで完璧に歯磨きできていると誤解しがちなので注意が必要です。患者さんには「部屋の隅まで行かない電動ロボットで掃除をするのと、ほうきで隅々まで掃くのと、どっちがきれいになりますか?」と、お話しするようにしています。これからも、できるだけ患者さんの心に届きそうな言葉を選びながらお伝えしていきたいです。あとは、これまでやってきたことをこれまでどおりに続けていきたいですね。

お忙しい毎日ですが休日はどうお過ごしですか?

子どもの頃から将棋が好きで、小学生の頃は有名棋士が多数在籍していた渋谷の将棋道場に通っていたこともありました。最近は若い棋士の活躍も目覚ましく、対局を見るのが趣味なのですが「え、そんな手を打つの?」ということも少なくありません。テレビで解説をしているプロ棋士も「これは読めなかった」などと驚いているので、新時代の将棋ということなのでしょうか。この頃、将棋アプリで遊んでみることもあるのですが、コンピューターが打ってくる手も読めないんですよ(笑)。時間ができた時にはウェブで人間を相手に対局することもあります。

最後に読者へのメッセージをお願いします。

湊秀次院長 みなと歯科医院6

「優しい歯医者さんです。安心してください」といったところでしょうか(笑)。何も悪いことはしていないのに、なぜか歯科医院は嫌われます。確かに、私も子どもの頃に親から「いたずらばかりしていると歯科医院に連れて行くから」などと、叱られたものです。今の子たちはそんなこともないかもしれませんが、それでもまだ嫌われています。でも、お口の中のことは自分のことでもありますし、気軽に通ってほしいですね。早期発見・早期治療に勝るものはありません。虫歯一つでも早めに来ていればレジン充填で終わったのに、神経を取ったり抜歯をしたりしなくてはいけなくなってしまうこともあります。ご自身で歯の健康を管理できるようにしていくのも、私たちの仕事です。そうしないと、超高齢社会の中、訪問歯科で一日中走り回らなくてはいけない事態にもなりかねませんからね。人任せにせず、できることから始めてみませんか。

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